梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。(「相互作用」、「副作用」及び「高齢者への投与」の項参照)
9.
*本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。(「副作用」の項参照)
(1)
悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)
特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
(3)
患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について説明するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること。
10.
排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
11.
本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。
12.
本剤とインスリン製剤、GLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
13.
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。
相互作用
本薬は主としてCYP2C18、CYP4A11、CYP4F3B及びアルコール脱水素酵素等により代謝される。(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
糖尿病用薬
スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬等
臨床症状・措置方法
糖尿病用薬との併用時には低血糖が起こるおそれがある。特にスルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖発現のリスクが増加するおそれがあることから、併用に注意すること。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「副作用」及び「臨床成績」の項参照)
機序・危険因子
血糖降下作用の増強による。
2. 薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等
臨床症状・措置方法
更に血糖が低下するおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
機序・危険因子
血糖降下作用の増強による。
3. 薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤
副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等
臨床症状・措置方法
血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
機序・危険因子
血糖降下作用の減弱による。
4. 薬剤名等
利尿作用を有する薬剤
ループ利尿剤、チアジド系利尿剤等
臨床症状・措置方法
利尿作用が増強されるおそれがあるので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を確認し、脱水症状の発現に注意すること。
機序・危険因子
本剤との併用により、利尿作用が増強されるおそれがあるため、必要に応じ利尿剤の用量を調整するなど注意すること。
5. 薬剤名等
プロベネシド
臨床症状・措置方法
併用すると本剤のCmaxが1.22倍、AUCが2.33倍に増加する。(「薬物動態」の項参照)
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
臨床試験において、1,060例中397例(37.5%)に副作用が認められた。主な副作用は血中ケトン体増加117例(11.0%)、口渇80例(7.5%)、頻尿80例(7.5%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 低血糖
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤(14.7%))との併用で低血糖(初期症状:脱力感、高度の空腹感、発汗等)があらわれることがある。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合も低血糖(3.3%)が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取させるなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「相互作用」及び「臨床成績」の項参照)
2. *腎盂腎炎、敗血症(頻度不明)
腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
3. 脱水(頻度不明)
脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。(「慎重投与」及び「重要な基本的注意」の項参照)
4. *ケトアシドーシス(頻度不明)
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
その他の副作用
1. **皮膚
1%未満
発疹
2. **皮膚
頻度不明
そう痒症
3. 腎臓
5%以上
頻尿
4. 腎臓
1~5%未満
尿路感染、尿量増加、尿中ケトン体陽性
5. 腎臓
1%未満
尿路結石、夜間頻尿、尿中β2ミクログロブリン増加
6. 消化器
1~5%未満
便秘、空腹
7. 消化器
1%未満
下痢、腹痛
8. 精神神経系
1~5%未満
めまい
9. 精神神経系
1%未満
頭痛
10. 生殖器
1~5%未満