質はアルブミンであった8)(in vitro試験)。
4. 代謝
ペフィシチニブは主に硫酸抱合代謝を受け、一部はメチル化代謝を受けた9)。ペフィシチニブの主代謝酵素は硫酸転移酵素であるSULT2A1であり、メチル転移酵素であるNNMTも寄与することが示された10)(in vitro試験)。
5. 排泄
日本人健康成人(各群6例)にペフィシチニブ20、60、200mgを単回経口投与したとき注)、ペフィシチニブの尿中排泄率は12.5%〜16.8%であった5)。
健康成人(6例)に14Cで標識したペフィシチニブ100mgを単回経口投与したとき、放射能として投与量の36.8%が尿中に、56.6%が糞中に排泄された11)(外国人データ)。
6. 腎機能障害患者
軽度(8例)、中等度(8例)、重度(7例)の腎機能障害患者及び腎機能正常被験者(8例)に、ペフィシチニブ150mgを単回経口投与したとき、軽度腎機能障害患者では腎機能正常被験者に比べCmaxは10.4%、AUCinfは12.7%低かった。中等度腎機能障害患者では腎機能正常被験者に比べCmaxは21.7%、AUCinfは16.9%低かった。重度腎機能障害患者では腎機能正常被験者に比べCmaxは21.7%低く、AUCinfは8.7%高かった12)。(「薬物動態の表」表2参照)
7. 肝機能障害患者
軽度(8例)、中等度(8例)の肝機能障害患者及び肝機能正常被験者(8例)にペフィシチニブ150mgを単回経口投与したとき、軽度肝機能障害患者では肝機能正常被験者に比べCmaxは3.9%、AUCinfは18.5%高かった。中等度肝機能障害患者では肝機能正常被験者に比べCmaxは82.4%、AUCinfは92.3%高かった13)。(「薬物動態の表」表3参照)
8. 相互作用
(1) ペフィシチニブの薬物動態に及ぼす併用薬の影響
1) In vitro試験
ペフィシチニブはP糖蛋白(P-gp)の基質である14)。
2) 臨床薬物相互作用試験
(「薬物動態の表」表4参照)
(2) 併用薬の薬物動態に及ぼすペフィシチニブの影響
1) In vitro試験
ペフィシチニブはCYP3A及びCYP2C8を阻害する17)。また、ペフィシチニブは排出トランスポーターであるBCRP及び取り込みトランスポーターであるOATP1B1及びOCT1を阻害する18)〜20)。
2) 臨床薬物相互作用試験
(「薬物動態の表」表5参照)
9. QT間隔に対する影響
健康成人(56例)を対象に、QT/QTc評価試験を実施した結果、ペフィシチニブ150mg及び450mgを食後単回投与したとき注)、プラセボと比較してQTcF間隔の延長は認められなかった一方で、最大で12.0〜14.7msecのQTcF間隔の短縮が認められた25)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法・用量は「通常、成人にはペフィシチニブとして150mgを1日1回食後に経口投与する。なお、患者の状態に応じて100mgを1日1回投与できる。」である。
薬物動態の表
表1 単回投与時のペフィシチニブの血漿中薬物動態パラメータ5)
投与量 被験者数 Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) t1/2
(h) AUCinf
(ng・h/mL)
20mg 6 76.87±24.19 1.4±0.8 3.7±0.7 259.50±42.91
60mg 6 241.13±74.74 1.3±0.3 4.0±1.0 782.78±158.56
200mg 6 648.73±55.48 1.8±0.4 7.5±4.9 2524.88±234.45
平均値±標準偏差
表2 腎機能障害の程度がペフィシチニブの薬物動態に及ぼす影響12)
腎機能障害の程度 幾何平均比(90%信頼区間)
腎機能障害患者/腎機能正常被験者:Cmax 幾何平均比(90%信頼区間)
腎機能障害患者/腎機能正常被験者:AUCinf
軽度腎機能障害患者
(60mL/min/1.73m2=2) 0.896
(0.595, 1.349) 0.873
(0.610, 1.250)
中等度腎機能障害患者
(30mL/min/1.73m2=2) 0.783
(0.520, 1.179) 0.831
(0.581, 1.190)
重度腎機能障害患者
(15mL/min/1.73m2=2) 0.783
(0.513, 1.197) 1.087
(0.738, 1.602)
表3 肝機能障害の程度がペフィシチニブの薬物動態に及ぼす影響13)
肝機能障害の程度 幾何平均比(90%信頼区間)
肝機能障害患者/肝機能正常被験者:Cmax 幾何平均比(90%信頼区間)
肝機能障害患者/肝機能正常被験者:AUCinf
軽度肝機能障害患者
(Child-Pugh分類A、スコア 5〜6) 1.039
(0.705, 1.531) 1.185
(0.857, 1.638)
中等度肝機能障害患者
(Child-Pugh分類B、スコア 7〜9) 1.824
(1.238, 2.686) 1.923
(1.391, 2.658)
表4 ペフィシチニブの薬物動態に及ぼす併用薬の影響15)16)(外国人データ)
併用薬 併用薬投与量 ペフィシチニブ投与量 幾何平均比(90%信頼区間)
併用/単独:Cmax 幾何平均比(90%信頼区間)
併用/単独:AUC
ベラパミル
(P-gp阻害) 80mg
1日3回 150mg
単回 1.3919
(1.2634, 1.5334) 1.2685
(1.2185, 1.3206)
メトトレキサート 15〜25mg
週1回 100mg
1日2回注) 0.9195
(0.7821, 1.0809) 0.9815
(0.9104, 1.0582)
表5 併用薬の薬物動態に及ぼすペフィシチニブの影響6)16)21)〜24)
併用薬 併用薬投与量 ペフィシチニブ投与量   |