れている。]
小児等への投与
1.
体の大きい小児に投与するときには、成人の1日最高量200mg(力価)を超えないよう注意すること。
2.
筋注については、低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。点滴静注については、低出生体重児に対する安全性は確立していない。
3.
腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続することにより、最低血中濃度2μg/mLを超えるおそれがあるので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与すること。
特に低出生体重児においては、正常な新生児と比較しても著しく半減期が延長し、かつ、個体差が大きいことが知られているので、少なくとも次回投与直前に血中濃度を測定し、投与間隔を調整すること。
4.
小児に投与する場合には、腎毒性の発現を防ぐため、腎機能検査を行い、慎重に投与すること。
過量投与
徴候、症状
腎障害、聴覚障害、前庭障害、神経筋遮断症状、呼吸麻痺があらわれることがある。
処置
血液透析、腹膜透析による薬剤の除去を行う。神経筋遮断症状、呼吸麻痺に対してはコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与又は機械的呼吸補助を行う。
適用上の注意
1. 調製時
(1)
アンプルカット時に異物の混入を避けるため、アンプルの首部の周りをエタノール綿等で清拭しカットすること。
(2)
現在までに、次の注射剤と混合後、配合変化をおこすことが確認されているので、混注しないこと。
ア.スルバクタム/セフォペラゾン、セファゾリン、セフゾナム、フェノバルビタール、D-マンニトール、ブロムヘキシン塩酸塩、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル、塩化カルシウム水和物、ドキソルビシン塩酸塩と混注すると、白濁・沈殿を生じることがある。
イ.アンピシリン、アンピシリン/クロキサシリン、イミペネム/シラスタチン、セフメタゾール、ピペラシリン、フロモキセフ、ラタモキセフと混注すると、両剤の反応によりアミドを形成し、本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与すること。
(3)
点滴静注にあたって本剤の希釈には、通常「日局」生理食塩液、「日局」5%ブドウ糖注射液を用いるが、この他に現在までに配合変化がないことが確認されている補液は、アスパラK注射液、マルトス-10、10%ESポリタミン注射液、強力モリアミンS、ソリタT3号、フィジオゾール・3号、ポタコールR、プロテアミン12X注射液、KN補液3B、ラクテックG注があり、これらのいずれも用いることができる。
2. 溶解後
点滴静注に用いる場合は、希釈後は速やかに使用すること。
3. 筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため下記の点に注意すること。
(1)
同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。
また、小児には特に注意すること。(「小児等への投与」の2.の項参照)
(2)
神経走行部位を避けるよう注意すること。
なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
(3)
注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
(4)
硬結をきたすことがあるので、注射直後は局所を十分にもむこと。
その他の注意
クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺があらわれることがある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 健康成人1~3)
健康成人に本剤200mg(力価)を1時間かけて点滴静注したときの血清中濃度は、図1のとおりで、薬物動態パラメータは、表1のとおりであった。また、75mg(力価)又は100mg(力価)を1時間かけて点滴静注又は筋注したときの薬物動態パラメータは、表1のとおりであった。
図1 200mg(力価)1時間点滴静注(単回投与)したときの血清中濃度推移(健康成人)
(2) 小児患者(乳児・幼児:生後29日以上6歳未満まで、新生児:生後28日まで)4)
乳児・幼児、新生児に本剤2~3mg(力価)/kgを30分間点滴静注したときの血漿中濃度は、図2のとおりで、薬物動態パラメータは表2のとおりであった。CLtotは新生児よりも乳児・幼児の方が大きかった。
図2 2~3mg(力価)/kg30分間点滴静注(単回投与)したときの血漿中濃度推移(小児患者)
(3) 腎機能障害患者
1) 200mg(力価)30分間点滴静注5)
腎機能障害程度の異なる患者に本剤200mg(力価)を30分間点滴静注したときの血中濃度は図3のとおりで、薬物動態パラメータは表3のとおりであった。腎機能が正常な患者と軽度腎機能障害患者では各パラメータはほぼ同様であり、中等度-高度腎機能障害患者では、腎機能正常患者と比較してCmin、T1/2、AUC0-24が大きく、CLtotは小さかった。(5.血中濃度モニタリングの項参照)
図3 200mg(力価)30分間点滴静注(単回投与)したときの血中濃度推移(腎機能による層別)
2) 100mg(力価)1時間点滴静注6)
健康成人及び腎機能障害程度の異なる患者に本剤100mg(力価)を1時間点滴静注したところ、障害の程度に応じてT1/2の延長が認められた(表4)。
また、クレアチニン・クリアランス(Ccr)が50未満の患者の24時間までの尿中排泄率は56.9%でCcrが100の健康成人のそれは90.3%で明らかに障害程度が高くなるにつれ、尿中排泄の遅延傾向が認められた。
2. 分布
(1) 蛋白結合7)
平衡透析法により測定したヒト血清蛋白との結合率は5~20μg/mLの濃度範囲で3~12%であった(in vitro)。
(2) 体液・組織内濃度
1) 喀痰中濃度8,9)
慢性気道感染症患者に本剤100mg(力価)を点滴静注したときの喀痰中濃度の最高値は1.15~1.32μg/mLを示した。
2) 腹水中濃度10,11)
腹膜炎患者に本剤75mg(力価)を点滴静注したときの最高腹水中濃度は0.36~5.29μg/mLであった。
3) 胆汁中濃度12)
胆道手術患者に本剤75mg(力価)を筋注したときの胆汁中濃度は2時間後に最高値0.67μg/mLを示した。
3. 代謝13)
尿中に抗菌活性代謝物は認められていない。
4. 排泄1~3)
本剤は、主として腎臓より排泄される。健康成人に本剤20