150~200mg(力価)を30分~2時間かけて点滴静注する。必要に応じ、1日150~200mg(力価)を2回に分けて点滴静注することもできる。また、静脈内投与が困難な場合、アルベカシン硫酸塩として、1日150~200mg(力価)を1回又は2回に分けて筋肉内注射することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
2. 小児への投与
通常、小児にはアルベカシン硫酸塩として、1日1回4~6mg(力価)/kgを30分かけて点滴静注する。必要に応じ、1日4~6mg(力価)/kgを2回に分けて点滴静注することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤の薬効は最高血中濃度と最も相関するとされていることから、1日1回静脈内投与が望ましい。
2.
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
3.
本剤の使用にあたっては、腎機能異常及び聴力障害等の副作用に留意し、本剤の投与期間は、原則として14日以内とすること。患者の状態などから判断して、14日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、漫然とした継続投与は行わないこと。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
2.
低出生体重児、新生児[「小児等への投与」の2.、3.の項参照]
3.
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
重要な基本的注意
1.
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
(1)
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
(3)
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
2.
眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので慎重に投与すること。特に腎機能障害患者、小児(特に低出生体重児及び新生児)、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなり易く、聴力障害の危険性がより大きくなるので、可能な限り聴力検査を実施することが望ましい。
アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。また、3歳未満の患者においては、ABR(聴性脳幹反応)を用いた聴力検査が有用である。
3.
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、投与中は腎機能検査を行うなど慎重に投与すること。特に高齢者や重篤な基礎疾患・合併症を有する患者では、投与量の設定等にも十分留意し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
4.
神経筋遮断作用による呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、麻酔剤、筋弛緩剤と併用する場合、あるいは重症筋無力症の患者に投与する場合には、慎重に投与すること。
5.
本剤を点滴静脈内投与するときには、副作用の発生を防ぐため、必ず30分以上かけて投与すること。また、投与後は血中濃度をモニタリングすることが望ましい。
小児に投与する場合には、原則として本剤の投与終了直後と次回投与直前に血中濃度を測定し、適切な投与計画をたてること。
6.
本剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に対してのみ有用性が認められている。なお、MRSAが検出されただけではMRSA感染症とは限らないので、本剤投与にあたっては、次の点に留意すること。
(1)
MRSA感染症の診断が確定した場合にのみ投与することを原則とする。
(2)
臨床症状及び菌の検出状況からMRSA感染症であることが推定された場合には、個々の患者背景や臨床症状の推移などを考慮のうえ、本剤の投与の可否を判断する。
7.
小児に投与する場合には、本剤により症状が改善されない場合は、速やかに他剤に切り替えること。[小児(特に低出生体重児・新生児)では防御機構が未熟であるため、容易に症状が増悪するおそれがある。]
8.
肝機能障害があらわれることがあるので、投与中は肝機能検査を行うなど慎重に投与すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
腎障害を起こすおそれのある血液代用剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等)
臨床症状・措置方法
腎障害が発現、悪化することがあるので、併用は避けることが望ましい。
腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある。
薬剤名等
ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド、アゾセミド等)
臨床症状・措置方法
腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。
機序・危険因子
機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある。
薬剤名等
腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(バンコマイシン、エンビオマイシン、白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等)
臨床症状・措置方法
腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けること。やむを得ず併用する場合は、減量するなど慎重に投与すること。
ただし、小児(特に低出生体重児・新生児)では、バンコマイシンは原則併用しないこと。
機序・危険因子
両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明。
薬剤名等
(小児に投与する場合)
他のアミノグリコシド系抗生物質(注射剤)
臨床症状・措置方法
腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがある。
機序・危険因子
小児(特に低出生体重児・新生児)では腎機能が未発達であるため。
薬剤名等
麻酔剤
筋弛緩剤(ツボクラリン、パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、トルペリゾン、