肝機能正常群、軽度、中等度及び高度肝機能障害群に群分けし(高度肝機能障害群は1例のみ)、パノビノスタット30mgを単回経口投与したとき、Cmaxは、正常群に比べ軽度及び中等度障害群でそれぞれ57%及び83%増加し(高度肝機能障害の1例では69%増加)、AUCは、それぞれ43%及び105%増加した(高度肝機能障害の1例では81%増加)。Tmax及びT1/2は群間で同様であった(各群10、7、6及び1例)。10)(外国人のデータ)
6. 腎機能障害患者
進行固形癌患者をクレアチニンクリアランス(CLcr)に基づき腎機能正常群(CLcr 80mL/min以上)、軽度腎機能障害群(CLcr 50~80mL/min)、中等度腎機能障害群(CLcr 30~50mL/min)及び高度腎機能障害群(CLcr 30mL/min未満)に群分けし、パノビノスタット30mgを単回経口投与したとき、腎機能正常群に比べ腎機能障害群(軽度、中等度及び高度)で血漿中濃度の上昇は認められなかった(各群11、10、10及び6例)。末期腎疾患患者及び透析を受けている患者での試験は行っていない。11)(外国人のデータ)
7. 薬物相互作用
進行固形癌患者(14例)にケトコナゾール(経口剤は国内未発売)400mg(5~9日目に投与)及びパノビノスタット20mg(1日目及び8日目に投与)を併用したとき、パノビノスタットのCmax及びAUCはそれぞれ62%及び78%増加した。8)(外国人のデータ)
進行性又は転移性の固形癌患者(14例)にデキストロメトルファン60mg(1日目及び8日目に投与)及びパノビノスタット20mg(3日目、5日目及び8日目に投与)を併用したとき、デキストロメトルファンのCmax及びAUCは83%及び64%増加した。12)(外国人のデータ)
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者(15例)にパノビノスタット20mg(週3回、2週間)及びボルテゾミブ1.3mg/m2(週2回、2週間)を併用したときと比べ、パノビノスタット、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン20mg(週4回、2週間)を併用したとき、パノビノスタットのAUCは20%減少した。13)(外国人のデータ)
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションから、パノビノスタットとリファンピシンを併用投与した場合、パノビノスタットのAUCが約70%減少すると推定された。14)
In vitroにおいて、パノビノスタットはP-糖タンパク(P-gp)の基質であることが示されている。
(本剤の承認された効能・効果、用法・用量はそれぞれ【効能又は効果】、【用法及び用量】の項を参照)
薬物動態の表
〈再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にパノビノスタット20mgを週3回、3週の投与サイクルで経口投与したときの薬物動態パラメータ〉
Cmax
(ng/mL) |
Tmax※
(h) |
AUC0-48h
(ng・h/mL) |
T1/2
(h) |
1日目
(n=13) |
10.8±5.7
(9.16) |
2.00
(0.5-4.0) |
81.8±28.2
(76.0) |
15.4±2.3
(15.2) |
8日目
(n=12) |
16.4±6.8
(15.3) |
2.02
(0.5-4.0) |
123±33.8
(119) |
17.0±3.7
(16.7) |
臨床成績
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(日本を含めた世界34ヵ国で実施された二重盲検比較試験)1)
1~3回の前治療歴を有する再発又は難治性注3)の多発性骨髄腫患者を対象に、ボルテゾミブ注4)及びデキサメタゾン注5)の併用下で、プラセボを対照群としてパノビノスタット20mg注6)を経口投与した。
合計768例(日本人患者34例を含む)がパノビノスタット群(387例、うち日本人は18例)又はプラセボ群(381例、うち日本人は16例)に無作為割付けされた。主要評価項目である治験責任医師判定に基づく無増悪生存期間の最終解析結果(中央値[95%信頼区間])は、パノビノスタット群で11.99[10.32~12.94]ヵ月、プラセボ群で8.08[7.56~9.23]ヵ月であり、パノビノスタット群で有意な延長が認められた(ハザード比0.63、95%信頼区間0.52~0.76:層別ログランク検定p<0.0001、2013年9月10日データカットオフ)。また、副次評価項目である全生存期間の中間解析結果(中央値[95%信頼区間])は、パノビノスタット群で38.24[34.63~45.37]ヵ月、プラセボ群で35.38[29.37~39.92]ヵ月であり、有意な延長は認められていない(ハザード比0.87、95%信頼区間0.70~1.07:層別ログランク検定p=0.1783、2014年8月18日データカットオフ)。
治験責任医師の判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
注3)(1)直近の治療により奏効が認められ、治療中又は治療後60日以内に病勢進行が認められなかった再発例、又は(2)1レジメン以上の前治療に対して再発し、ボルテゾミブ以外の前治療に対して奏効が認められなかった又は治療中若しくは治療後60日以内に病勢進行が認められた難治性例が対象とされた。ただし、前治療でボルテゾミブに抵抗性を示した患者は除外された。
注4)ボルテゾミブの用法・用量は、1.3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間(1、4、8及び11日目)静脈内に投与した後、10日間休薬(12~21日目)した。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返した。8サイクルを超えて継続投与する場合には、週1回、2週間(1及び8日目)静脈内に投与した後、13日間休薬(9~21日目)し、6週間を1サイクルとし、4サイクル投与を繰り返した。なお、症状に応じ適宜減量した。
注5)デキサメタゾンの用法・用量は、1日1回20mgを週4回、2週間(1、2、4、5、8、9、11及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)した。この3週間を1サイクルとし、投与を