) 47)。
テノホビル アラフェナミド:ヒトTリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ及び末梢血リンパ球初代培養細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビル アラフェナミドの抗ウイルス活性を評価した。テノホビル アラフェナミドのEC50値は,0.1~15.7nMの範囲であった48)。
3. 薬剤耐性
(1) in vitro 試験
エムトリシタビン:エムトリシタビンに対する感受性低下は,HIV-1逆転写酵素のM184V/I変異と関連が認められた49)。
テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドに対する感受性が低下したHIV-1分離株では,K65R変異が発現しており,K70E変異も一過性に認められた50)。
(2) 臨床試験
抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0104試験及び292-0111試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後96週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1を解析し,19例(2.2%,19/866例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,10例(1.2%,10/866例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のM184V/I(9例),K65R/N(2例)及びK70R(1例),インテグラーゼ領域のT66A/I/V(2例),E92Q(4例),Q148R(1例)及びN155H/S(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して28倍から117倍超低下したHIV-1分離株が8例(0.9%,8/866例)に,テノホビルに対する感受性が野生株に対して3倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/866例)に認められた。
ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠の臨床試験(299-0102試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後48週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1株を解析し,6例(5.8%,6/103例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,1例(1.0%,1/103例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のK65K/R及びM184M/Iであった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性に大きな変化はなく,エムトリシタビンに対する感受性の低下は野生株に対し2.5倍,テノホビルに対する感受性の低下は野生株に対し0.73倍であった。
抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0109試験)において,投与後96週時で遺伝子型及び表現型解析の対象となった被験者のうち,3例(0.3%,3/959例)にエムトリシタビン又はエルビテグラビルの耐性変異が認められた。遺伝子型解析結果で認められた変異は,逆転写酵素領域のM184V/I(3例)及びインテグラーゼ領域のE92Q/G(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して3.8倍から117倍超低下したHIV-1分離株が3例(0.3%,3/959例)に,エルビテグラビルに対する感受性が野生株に対して10倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/959例)に認められた。なお,テノホビルに対する感受性の低下は認められなかった。
4. 交差耐性
エムトリシタビン:核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。エムトリシタビン耐性のM184V/I変異を有するHIV-1株は,ラミブジンに対して交差耐性を示した。また,アバカビル,ジダノシン及びテノホビルの投与によりin vivo で出現したK65R変異を有するHIV-1株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された50) 51)。
テノホビル アラフェナミド:K65R及びK70E変異を持つHIV-1株は,アバカビル,ジダノシン,ラミブジン,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性の低下を示すが,ジドブジンに対する感受性を維持する。T69S二重挿入変異又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち,核酸系逆転写酵素阻害薬に多剤耐性を示すHIV-1は,テノホビルに対する感受性の低下を示した52) 53) 54)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エムトリシタビン Emtricitabine
化学名
4-Amino-5-fluoro-1-[(2R ,5S )-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H )-one
分子式
C8H10FN3O3S
分子量
247.25
化学構造式
性状
白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
融点
約155℃
分配係数
-0.43(オクタノール/水)
一般名
テノホビル アラフェナミドフマル酸塩 Tenofovir Alafenamide Fumarate
化学名
1-Methylethyl N -[(S )-{[(1R )-2-(6-amino-9H -purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phenoxyphosphinoyl]-L-alaninate hemifumarate
分子式
(C21H29N6O5P)2・C4H4O4
分子量
1069.00
化学構造式
性状
白色~灰白色又は白色~くすんだ黄赤色の粉末であり,メタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,水又は2-プロパノールにやや溶けにくく,アセトン又はアセトニトリルに溶けにくく,トルエンに極めて溶けにくい。
融点
約132℃
分配係数
1.6(1-オクタノール/pH7のリン酸塩緩衝液)
承認条件
1.
医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること。
2.
本剤の使用に当たっては,患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること等を十分に説明し,インフォームドコンセントを得るよう,医師に要請すること。
3.
海外において現在実施中又は計画中の臨床試験については,終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
4.
日本人を対象とした薬物