態の表
シタラビンの尿中排泄率
投与経路 |
投与量
(mg/m2) |
患者数 |
24時間累積尿中排泄(%、平均値)
合計 |
24時間累積尿中排泄(%、平均値)
Ara-C |
24時間累積尿中排泄(%、平均値)
Ara-U |
静脈内注射 |
47~3,000 |
8 |
78.0 |
7.1 |
70.9 |
持続点滴静脈内注射 |
100~400 |
4 |
83.8 |
7.8 |
76.0 |
臨床成績
1. 急性白血病に対する効果4)~8), 35)
国内22施設において小児急性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、単球性白血病、赤白血病及び慢性骨髄性白血病の急性転化例を対象に、キロサイド注の臨床試験を実施した。
(臨床成績の表1参照)
2. 消化器癌、 肺癌、 乳癌、 女性性器癌等に対する効果 (多剤併用療法)9)~11), 35)
国内9施設において各種固形癌を対象に、キロサイド注を組み入れたMFC、FCMT、FAMC、METVFC等の多剤併用療法を実施した。
(臨床成績の表2参照)
3. 膀胱腫瘍に対する効果12)~17), 35)
(1) 単独膀胱内注入療法
膀胱腫瘍患者36例中11例(30.6%)に腫瘍の消失又は縮小効果がみられた。また、術後の再発防止の検討では、113例の4年間の観察においてマイトマイシンCと同程度の効果を示した。
(2) キロサイド・マイトマイシンC併用療法
膀胱腫瘍患者150例中92例(61.3%)に有効であり、再発防止の検討では、237例の4年間の観察においてマイトマイシンCと同程度の効果を示した。
臨床成績の表
表1
完全寛解率 |
部分寛解率 |
寛解率
(「部分寛解」以上) |
30.1%(43/143) |
31.5%(45/143) |
61.5%(88/143) |
表2
疾患名 |
有効率
(有効以上例数/評価対象例数) |
消化器癌 |
41.0%(68/166) |
肺癌 |
26.6%(17/64) |
乳癌 |
33.3%(4/12) |
女性性器癌 |
65.6%(21/32) |
全体 |
38.7%(128/331) |
薬効薬理
シタラビンの代謝拮抗性作用機序は、DNA合成過程におけるCDPreductaseレベルとDNApolymeraseレベルでの阻害によると考えられている18)。最近では、本剤がDNA合成能の低下したstationary phaseの白血病細胞に対しても、濃度依存的な殺細胞作用を示すことや19)、殺細胞作用以下の作用濃度で白血病細胞の分化を誘導することも報告されている20)。
(1) 抗腫瘍作用(in vitro)
シタラビンはL1210白血病21)をはじめとする各種マウス腫瘍に抑制効果を示す22)。更に腹水肝癌AH66を移植したラットの生存日数を延長するのみならず23)、ヒト膀胱腫瘍株KU-1の増殖をも抑制する24)。
(2) 併用効果
シタラビンはマイトマイシンC、フルオロウラシル、メルカプトプリン水和物、ダウノルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩、カルボコンと相乗的、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、シクロホスファミド水和物と相加的抗腫瘍効果を示す21), 25)。更にマイトマイシンC、フルオロウラシルとの3剤併用MFC25), 26)及びダウノルビシン塩酸塩、メルカプトプリン水和物との3剤併用DCMP(DPC)26), 27)は相乗効果を示す(L1210マウス白血病)。またフルオロウラシル、シタラビン、マイトマイシンC、クロモマイシンA3の4剤併用FCMTはFAMTに比し、AH7974を移植したラットの生存率を高める28)。シタラビンはマイトマイシンC、カルボコン、ドキソルビシン塩酸塩と併用することにより、ラット膀胱腫瘍株BC-35、BC-50に対して抗腫瘍効果を増強する29)~31)。株化ヒト結腸癌細胞を用いた実験で、シスプラチンと相乗効果のあることも認められている32)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
シタラビン(Cytarabine)(JAN)
慣用名
シトシンアラビノシド(Cytosine arabinoside)
化学名
1-β-D-Arabinofuranosylcytosine
分子式
C9H13N3O5
分子量
243.22
化学構造式
融点
約214℃(分解)
性状
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品は水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
本品は0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
取扱い上の注意
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に薬液が付着した場合は、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
包装
キロサイド注20mg:10管、50管
キロサイド注40mg:10管、50管
キロサイド注60mg:10管
キロサイド注100mg:10管
キロサイド注200mg:10管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)