代謝物であるAra-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている。
副作用
副作用等発現状況の概要
1. 静・動脈内注射
本剤単独投与の場合(評価症例198例)の副作用は、悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器障害が最も多く出現した(26.8%)。なお他の抗腫瘍剤との併用時(評価症例3,494例)には、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢等の消化器障害(42.7%)及び白血球減少、血小板減少等の血液障害(24.6%)が主な副作用であった。(承認時~1976年4月までの集計)
2. 膀胱内注入
本剤単独投与の場合(評価症例341例)は、白血球減少(1.76%)、膀胱刺激症状(1.76%)が出現した。マイトマイシンCとの併用の場合(評価症例917例)には膀胱刺激症状(11.1%)、白血球減少(2.18%)及び発疹(1.20%)が主な副作用であった。(再審査終了時)
なお、自発報告のみで認められた副作用は頻度不明とした。
重大な副作用
1. 骨髄機能抑制に伴う血液障害
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(12.9%)、血小板減少(4.0%)、貧血(1.8%)、網赤血球減少(頻度不明)、巨赤芽球様細胞の発現(頻度不明)等があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
2. ショック
ショック(頻度不明)を起こすことがある。呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシー様症状を伴うことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められる場合は投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
3. 消化管障害
消化管潰瘍、出血、好中球減少性腸炎等の消化管障害(頻度不明)があらわれたとの報告があるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 急性呼吸促迫症候群、間質性肺炎
急性呼吸促迫症候群、間質性肺炎(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 急性心膜炎、心のう液貯留
急性心膜炎、心のう液貯留(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. **中枢神経系障害
脳症(白質脳症を含む)、麻痺、痙攣、小脳失調、意識障害(意識消失を含む)等の中枢神経系障害(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 皮膚
5%未満
発疹等
2. 皮膚
頻度不明
脱毛(症)、有痛性紅斑
3. 消化器
10~20%未満
悪心・嘔吐、食欲不振
4. 消化器
5~10%未満
腹痛・下痢
5. 消化器
5%未満
口内炎等
6. 精神神経系
5%未満
倦怠感、頭痛等
7. 肝臓
5%未満
肝障害
8. 腎臓
頻度不明
腎機能異常
9. 泌尿器
5~10%未満
膀胱内注入療法の場合、頻尿、排尿痛、膀胱炎、血尿等の膀胱刺激症状
10. その他
5%未満
発熱
11. その他
頻度不明
結膜炎、血栓性静脈炎
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状況を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されている。]
2. 授乳婦
授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。
[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
**髄腔内化学療法の場合、低出生体重児、新生児又は乳児(1歳未満)に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
過量投与
大量投与により、まれに白質脳症等の中枢神経系障害、シタラビン症候群(発熱、筋肉痛、骨痛)があらわれることがある。
適用上の注意
1. 皮下・筋肉内投与時
本剤の皮下・筋肉内投与後、神経麻痺又は硬結等を来すことがあるので、下記のことに注意すること。なお、乳児、小児、高齢者、衰弱者においては特に注意すること。
(1)
注射部位については、神経走行部位(特に橈骨神経、尺骨神経、坐骨神経等)を避けて慎重に投与すること。
(2)
繰り返し注射する場合には、同一注射部位を避けること。なお、乳児・小児においては連用しないことが望ましい。
(3)
注射針刺入時、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き部位を変えて注射すること。
2. アンプルカット時
本剤には「一点カットアンプル」を採用しているが、異物の混入を避けるため、カット部をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
**その他の注意
1.
本剤と他の抗腫瘍剤を併用した患者に、白血病、肺腺癌等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
2.
染色分体の切断を含む重度の染色体異常及びげっ歯類の培養細胞の悪性形質転換が報告されている。33)、34)
薬物動態
1. 血漿中濃度1)~3), 注)
(1) 単回静脈内注射
3H-シタラビンの67~3,000mg/m2を癌患者に単回静脈内注射した場合、血漿中のシタラビン濃度は二相性を示し、第一相10~20分、第二相2~3時間の半減期で消失した。
(2) 持続点滴静脈内注射
シタラビン20mg/m2/日を非定型性白血病患者に14日間持続点滴静脈内注射した場合の血漿中濃度推移を示す。
2. 代謝と排泄1)~3), 注)
シタラビン(Ara-C)を癌患者に静脈内注射あるいは持続点滴静脈内注射すると90%以上が肝臓、血液中等でuracil arabinoside(Ara-U)に代謝され、その大部分が24時間以内に尿中に排泄された。
(薬物動態の表参照)
3. 膀胱粘膜よりの吸収1)~3), 注)
ウサギ膀胱内注入時シタラビンは安定であり、その吸収率は0.2%を示すにすぎない。
注):日本人のデータではない。
注):本剤の承認された1回用量は0.2~1.6mg/kgである。
薬物動