ダイアモックス注射用500mg
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作成又は改訂年月
**2011年12月改訂(第7版、使用上の注意の改訂)
*2009年7月改訂
日本標準商品分類番号
872134
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
1982年1月
薬効分類名
炭酸脱水酵素抑制剤
承認等
ダイアモックス注射用500mg
販売名コード
2134400D1039
承認・許可番号
承認番号
21800AMX10558000
商標名
DIAMOX for Inj. 500mg
薬価基準収載年月
2006年12月
販売開始年月
2006年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
製造後4年(外箱及びバイアルに表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
ダイアモックス注射用500mgは、1バイアル中にアセタゾラミドナトリウム550mg(アセタゾラミド 500mg)を含有する製剤である。
添加物
水酸化Na及び塩酸を適量含有する。
性状
ダイアモックス注射用500mgは、白色の結晶性の粉末又は塊で、用時溶解して用いる注射用製剤である。本剤を、注射用水に100mg/mLで溶解したときのpHは9.0~10.0、浸透圧比は約3(生理食塩液に対する比)である。
一般的名称
アセタゾラミドナトリウム注射剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1. 次の患者には投与しないこと
(1)
本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
(2)
肝硬変等の進行した肝疾患又は高度の肝機能障害のある患者[血中アンモニア濃度を上昇させ、肝性昏睡を誘発するおそれがある。]
(3)
無尿、急性腎不全の患者[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。]
(4)
高クロール血症性アシドーシス、体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者、副腎機能不全・アジソン病の患者[電解質異常が増悪されるおそれがある。]
2. 次の患者には長期投与しないこと
慢性閉塞隅角緑内障の患者[緑内障の悪化が不顕性化されるおそれがある。]
効能又は効果
緑内障、てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、メニエル病及びメニエル症候群
用法及び用量
緑内障
アセタゾラミドとして、通常成人1日250mg~1gを分割して静脈内又は筋肉内注射する。
てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)
アセタゾラミドとして、通常成人1日250~750mgを分割して静脈内又は筋肉内注射する。
肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善
アセタゾラミドとして、通常成人1日1回250~500mgを静脈内又は筋肉内注射する。
メニエル病及びメニエル症候群
アセタゾラミドとして、通常成人1日1回250~750mgを静脈内又は筋肉内注射する。
なお、いずれの場合も、年齢、症状により適宜増減する。
注射液の調製法
本剤は注射用水、生理食塩液、又は5%ブドウ糖液で完全に溶解してから使用する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
経口投与が困難な場合や緊急の場合、また、経口投与で効果が不十分と考えられる場合にのみ行うこと。なお、経口投与が可能で効果が十分と判断された場合には速やかに経口投与に切り替えること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症の患者[急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。]
2.
重篤な腎障害のある患者[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。]
3.
肝疾患・肝機能障害のある患者[血中アンモニア濃度を上昇させ、肝性昏睡を誘発するおそれがある。]
4.
糖尿病又は耐糖能異常のある患者[血糖値の異常変動が報告されている。]
5.
レスピレータ等を必要とする重篤な高炭酸ガス血症の患者[アシドーシスを進行させることがある。]
6.
ジギタリス剤、糖質副腎皮質ホルモン剤又はACTHを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
7.
減塩療法時の患者[低ナトリウム血症を起こすおそれがある。]
8.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
9.
乳児[「小児等への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
**
連用する場合、電解質異常があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
2.
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
降圧剤
臨床症状・措置方法
降圧剤の作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
機序は明らかではないが、降圧剤の作用を増強するといわれている。
2. 薬剤名等
ジギタリス製剤(ジゴキシン、ジギトキシン)
臨床症状・措置方法
これらの心臓への作用を増強するおそれがあるので、併用する場合は血中カリウム値をモニターし、カリウム補給を考慮すること。
機序・危険因子
本剤による血清カリウムの低下により、ジギタリスの作用が増強すると考えられる。
3. 薬剤名等
カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
カルバマゼピンの中毒症状が発現することがあるので、併用する場合にはカルバマゼピンの中毒症状の発現に注意し、その血清中濃度を測定して、その減量を考慮すること。
機序・危険因子
機序は明らかではないが、併用によりカルバマゼピンの血清中濃度が上昇するとの報告がある。
4. 薬剤名等
糖質副腎皮質ホルモン剤、ACTH
臨床症状・措置方法
過剰のカリウム放出を起こすおそれがある。
機序・危険因子
両剤ともにカリウム排泄を促進するので、併用によってカリウム排泄が増大すると考えられる。
5. 薬剤名等
塩化アンモニウム
臨床症状・措置方法
本剤の効果が阻害される。
機序・危険因子
機序は不明である。
6. 薬剤名等
ビタミンCの大量投与
臨床症状・措置方法
腎・尿路結石が起こりやすい。
機序・危険因子
大量のビタミンC服用後は、その代謝物である蓚酸の尿中排泄が増加し、カルシウム析出を助長して腎・尿路結石が発生しやすくなると考えられる。
7. 薬剤名等
フェノバルビタール、フェニトイン等
臨床症状・措置方法
クル病、骨軟化症があらわれたとの報告がある。このような症状があらわれた場合には減量あるいは投与を中止すること。
機序・危険因子
明らかではないが、本剤による代謝性アシドーシスのため、カルシウムやリン酸塩の排泄が促進され、抗てんかん剤による骨代謝障害が増悪すると考えられる。
8. 薬剤名等
アスピリンの大量投与
臨床症状・措置方法
本剤の副作用が増強されるとの報告がある。異常が認められた場合には減量あるいは投与を中止すること。
機序・危険因子
血漿蛋白における競合結合や腎排泄の競合により、本剤の排泄遅延が起こることが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
1. **代謝性アシドーシス、電解質異常
代謝性アシドーシス、低カリウム血症、低ナトリウム血症等の電解質異常があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
2. **ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、血小板減少性紫斑病
再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)の重篤な血液障害、また、骨髄機能低下、白血球減少、血小板減少、血小板減少性紫斑病等があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 急性腎不全、腎・尿路結石
急性腎不全、腎・尿路結石があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血尿、結晶尿、乏尿等があらわれた場合には、投与を中止すること1,2)。
6. 精神錯乱、痙攣
精神錯乱、痙攣等の中枢神経症状があらわれることがあるので観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7. 肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P等の上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
(1) **代謝異常注1)(頻度不明)
高尿酸血症、血糖値上昇、血糖値低下
(2) 皮膚(頻度不明)
光線過敏症
(3) 過敏症注2)(頻度不明)
発熱、発疹
(4) 消化器(頻度不明)
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、味覚異常
(5) 精神神経系(頻度不明)
知覚異常(しびれ等)、麻痺、めまい、頭痛、興奮、いらいら感、うつ状態、傾眠、見当識障害、振戦
(6) 感覚器(頻度不明)
一過性近視、聴覚障害
(7) 腎・尿路系(頻度不明)
多尿、尿糖
(8) その他(頻度不明)
けん怠感、潮紅
注1)観察を十分に行い、減量又は休薬等適切な処置を行うこと。
注2)投与を中止すること。
高齢者への投与
次の点に注意し、低用量から投与を開始するとともに、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では、急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症等を誘発するおそれがある。
(2)
腎機能の低下した高齢者において、代謝性アシドーシスにより、低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊娠初期又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。[妊娠マウスの器官形成期に皮下投与した実験で、死亡胎児の増加及び骨形成不全等が認められている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[ヒト母乳中への移行が報告されている。]
小児等への投与
1.
小児等に対する安全性は確立されていない。
2.
小児に長期投与した場合、成長遅延が報告されている。[慢性的な代謝性アシドーシスによると考えられている。]
過量投与
1. 徴候、症状
電解質異常(特に低カリウム血症)、アシドーシス及び中枢神経系障害を起こす可能性がある。
2. 処置
本剤の特異的解毒薬は不明である。過量投与が生じた場合は、電解質(特にカリウム)及び血液pHのモニターを行い、必要により電解質の補充、炭酸水素ナトリウムを投与すること。本剤は腎排泄性でありかつ血液透析により除去されることより、特に腎障害者において過量投与により状態が悪化した場合は血液透析の適応も考慮すること。
適用上の注意
1. 投与経路
投与経路は静脈内注射を原則とし、他剤との混注は避けること。
2. 筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。また、筋肉内注射により、注射部位に疼痛があらわれることがある。
(1)
筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。また、新生児、低出生体重児、乳児、小児には特に注意すること。
(2)
神経走行部位を避けるよう注意すること。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
3. 静脈内注射時
静脈内注射により、血管痛があらわれることがあるので、注射はできるだけゆっくり行うこと。
その他の注意
1.
**
適応外であるが、脳梗塞、モヤモヤ病等の患者に脳循環予備能の検査目的で本剤を静脈内投与した際に、脳梗塞等の症状の増悪あるいは再発、急性心不全が認められたとの報告がある。
2.
夜間の休息が特に必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
3.
*
海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
薬物動態
小児水頭症患者2名にアセタゾラミドをそれぞれ14mg/kg、18mg/kg、静脈内投与したとき、血中濃度は、それぞれ70μg/mL、80μg/mL以上に達し、その半減期は90~100分である(米国)3)。
薬効薬理
炭酸脱水酵素は腎上皮、赤血球、脳、毛様体上皮等に存在し、生体内で、炭酸ガスと水から炭酸を生成する可逆反応(CO2+H2O←→H2CO3)にあずかる酵素である。アセタゾラミドはこの酵素を特異的に抑制し、以下の作用を発揮する。
1. 眼圧低下4)
アセタゾラミドは毛様体上皮中に存在する炭酸脱水酵素の作用を抑制することによって房水の産生を減じ、眼圧を低下させるといわれている。
2. てんかん発作の抑制5)
アセタゾラミドは中枢神経組織内に存在する炭酸脱水酵素を抑制し、脳のCO2濃度を局所的に増大させることにより、脳の異常な興奮を抑制して、精神神経系の諸症状を緩解すると考えられている。
3. 呼吸性アシドーシスの改善6)
アセタゾラミドは炭酸脱水酵素抑制作用により肺胞中のHCO3-の尿中排泄を増加させるとともに、他方代謝性アシドーシスを起こし、H+を増加させる。増加したH+により呼吸中枢が刺激され、換気量が増大し、併せて低酸素・炭酸ガス換気応答が改善される。この換気量の増大により血中O2が増加し、CO2は減少し、呼吸性アシドーシスが改善する。
4. メニエル症候群の改善7)
メニエル症候群に対するアセタゾラミドの効果は内耳の局所的リンパ分泌抑制作用、利尿による内耳水腫の除去、中枢神経系に対する抑制作用等によるといわれている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
Acetazolamide Sodium アセタゾラミドナトリウム
化学名
N-(5-Sulfamoyl-1,3,4-thiadiazol-2-yl)-acetamide monosodium salt
構造式
分子式
C4H5N4NaO3S2
分子量
244.23
性状
アセタゾラミドナトリウムは白色の結晶性の粉末又は塊である。
包装
ダイアモックス注射用500mg:1バイアル、10バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
佐藤保生 他:小児科診療 42(5):625,1979
2)
Higenbottam T,et al:Postgr Med J 54(628):127,1978
3)
Maren TH,et al:Bull Johns Hopkins Hosp 106:1,1960
4)
三根亨 他:臨床眼科 20(2):241,1966
5)
小林提樹 他:小児科診療 20(9):790,1957
6)
笹本浩 他:日本内科学会雑誌 48(2):288,1959
7)
切替一郎 他:治療 43(3):521,1961
文献請求先
株式会社三和化学研究所 コンタクトセンター
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電話番号
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製造販売元
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