ドイル静注用1g/ドイル静注用2g
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作成又は改訂年月
2009年6月改訂(第9版、指定医薬品削除)
*2008年6月改訂
日本標準商品分類番号
876131
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1994年12月
再評価結果公表年月(最新)
2004年9月
薬効分類名
合成ペニシリン製剤
承認等
販売名
ドイル静注用1g
販売名コード
6131405D1038
承認・許可番号
承認番号
21800AMX10342000
商標名
DOYLE
薬価基準収載年月
2006年6月
販売開始年月
1987年8月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
バイアルラベル及び外箱に表示
注意
「取扱い上の注意」の項参照
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1瓶中)
日局アスポキシシリン水和物 1g(力価)
添加物
塩化ナトリウム 50mg
水酸化ナトリウム 66mg
その他の添加物としてpH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム)を含有する
性状
凍結乾燥品。用時溶解して用いる注射剤である。
容器
バイアル
製剤の外観
白色~微黄色の粉末又は塊
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液の外観
無色~微黄色澄明の液
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液のpH
6.8~7.8
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液の浸透圧比(日局生理食塩液に対する比)
約0.9
販売名
ドイル静注用2g
販売名コード
6131405D2034
承認・許可番号
承認番号
21800AMX10114000
商標名
DOYLE
薬価基準収載年月
2006年6月
販売開始年月
1987年8月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
バイアルラベル及び外箱に表示
注意
「取扱い上の注意」の項参照
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1瓶中)
日局アスポキシシリン水和物 2g(力価)
添加物
塩化ナトリウム 100mg
水酸化ナトリウム 132mg
その他の添加物としてpH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム)を含有する
性状
凍結乾燥品。用時溶解して用いる注射剤である。
容器
バイアル
製剤の外観
白色~微黄色の粉末又は塊
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液の外観
無色~微黄色澄明の液
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液のpH
6.8~7.8
本品1g(力価)に水(20mL)を加えて溶かした液の浸透圧比(日局生理食塩液に対する比)
約0.9
一般的名称
注射用アスポキシシリン
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
2.
伝染性単核症のある患者
〔ペニシリン系抗生物質で発疹が出現しやすいという報告がある。〕
原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
本剤の成分又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
〔ショックを起こすおそれがあるので十分な問診を行うこと。〕
効能又は効果
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、インフルエンザ菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)
<適応症>
敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、中耳炎、副鼻腔炎、顎炎
用法及び用量
アスポキシシリンとして、通常成人には1日2~4g(力価)を、小児には1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射又は、点滴静注する。
難治性・重症感染症には症状に応じて、成人は1日8g(力価)、小児では1日160mg(力価)/kgまで増量して点滴静注する。
静脈内注射の際には、通常本剤1g(力価)当たり日本薬局方注射用水、日本薬局方生理食塩液又は日本薬局方ブドウ糖注射液20mLに溶解し緩徐に注射する。
点滴静注の際には、通常日本薬局方生理食塩液、日本薬局方ブドウ糖注射液又は補液に溶解し、通常成人には1~2時間、小児では30分~1時間で投与する。
〈注射液の調製法〉
点滴静注を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いないこと。
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
〔ショックを起こすおそれがあるので十分な問診を行うこと。〕
2.
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者
3.
高度の腎障害のある患者
〔血中濃度が長時間、高濃度に持続するので、投与量を減ずるか、投与の間隔をあけて使用すること。〕
4.
出血素因のある患者
〔出血傾向を助長するおそれがある。〕
5.
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、高齢者、全身状態の悪い患者
〔ビタミンK欠乏症状を起こすことがあるので、観察を十分に行うこと。〕
重要な基本的注意
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
1.
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
2.
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
3.
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
調査総数14,782例中、臨床検査値の変動を含む副作用は、466例(3.15%)で、その主なものは、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等の肝臓・胆道系障害212例(1.43%)、発疹、そう痒等の皮膚・皮膚付属器障害87例(0.59%)、白血球減少、好酸球増多等の白血球・網内系障害83例(0.56%)であった。(再審査終了時)
重大な副作用
1.
ショック(頻度不明)、アナフィラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、気管支痙攣、喘鳴、呼吸困難、顔面潮紅、血管浮腫等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
急性腎不全等の重篤な腎障害(頻度不明)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
汎血球減少症(0.1%未満)、溶血性貧血(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多を伴う間質性肺炎(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
6.
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害(1%未満)や黄疸(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重大な副作用(類薬)
1.
他のペニシリン系抗生物質(アンピシリンナトリウム、ピペラシリンナトリウム等)で、無顆粒球症があらわれることが報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
他のペニシリン系抗生物質(アンピシリンナトリウム、ピペラシリンナトリウム等)で、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
他のペニシリン系抗生物質(ピペラシリンナトリウム)で、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多を伴うPIE症候群(好酸球性肺炎)があらわれることが報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
過敏症
5%以上又は頻度不明
紅斑
過敏症
0.1~5%未満
発疹、そう痒
過敏症
0.1%未満
蕁麻疹、発赤、発熱
血液
0.1~5%未満
顆粒球減少、白血球減少、好酸球増多
血液
0.1%未満
貧血、血小板減少
腎臓
0.1%未満
BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿等の異常
消化器
0.1~5%未満
悪心、下痢
消化器
0.1%未満
嘔吐、食欲不振
菌交代症
5%以上又は頻度不明
口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
0.1%未満
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
0.1%未満
呼吸困難、全身倦怠感、悪寒、熱感、顔面浮腫感
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者には次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
1.
高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
2.
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
また、市販後の調査例数12,478例中、65歳以上の高齢者に投与された4,444例において副作用発現率は2.09%(93/4,444)であり、成人群に比べて特異的な副作用はなかった。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〔動物実験(ウサギ:高投与量)で胎児毒性(骨化遅延)がみられた〕
小児等への投与
低出生体重児及び新生児に対する安全性は確立していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
適用上の注意
1.
調製時:点滴静注を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いないこと。
2.
調製後:溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも室温で6時間以内に使用すること。特に高濃度液(10~20%)の場合は、3時間以内に使用すること。
3.
静脈内投与時:
(1)
本剤は静脈内注射のみに使用すること。
(2)
静脈内投与により、まれに血管痛を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。
その他の注意
本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
薬物動態
1.血中濃度・蛋白結合率
健康成人及び小児に静注、あるいは点滴静注して得られた血中濃度は図1、2のとおりであり、血中濃度は用量依存性を示した。1)
本剤の血清蛋白結合率は8.4%であった。2)
2.尿中排泄
主として腎より排泄され、大部分が未変化体のまま尿中へ排泄される。健康成人に1回1g、2g静注あるいは0.5g、1g、2g、4g点滴静注後8時間までの尿中排泄率は59~88%であった。1)
3.体液・組織内移行
喀痰、胸水、術後創内浸出液、表皮組織、腹水、胆汁、耳漏、上顎洞粘膜、口腔組織、臍帯血、羊水等の各種体液・組織内への移行が認められている。1)
なお、乳汁中への移行は低かった。3,4)
4.腎機能障害時の血中濃度・尿中排泄
腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、血中濃度半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められた。1,5)
したがって、腎機能障害患者に本剤を投与する場合には、投与方法の調節の考慮が必要である。
臨床成績
臨床効果
一般臨床試験及び3種の比較対照試験(呼吸器感染症、術後創感染、化膿性中耳炎)が全国450施設で実施された。総症例2,310例中、効果判定が行われ、かつ、本剤の承認適応症のうち、原因菌の明らかな症例に対する臨床効果は以下のとおりである。
(1)
敗血症、感染性心内膜炎:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌、大腸菌等による敗血症、感染性心内膜炎に対する有効率は61.5%(16/26)であった。
(2)
外科・整形外科感染症:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、大腸菌、バクテロイデス属等による外傷・手術創等の表在性二次感染に対する有効率は81.4%(70/86)であった。
(3)
呼吸器感染症:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌、インフルエンザ菌等による呼吸器感染症(咽喉頭炎、急性気管支炎、扁桃炎、慢性気管支炎、気管支拡張症の感染時、慢性呼吸器疾患の二次感染、肺炎、肺化膿症)に対する有効率は83.4%(373/447)であった。
(4)
肝・胆道感染症:レンサ球菌属、腸球菌、大腸菌等による胆嚢炎、胆管炎に対する有効率は80.0%(24/30)であった。
(5)
腹膜炎:レンサ球菌属、腸球菌、大腸菌、バクテロイデス属等による腹膜炎に対する有効率は90.0%(18/20)であった。
(6)
中耳炎、副鼻腔炎:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸球菌、肺炎球菌、大腸菌、インフルエンザ菌等による中耳炎、副鼻腔炎に対する有効率は63.6%(117/184)であった。
(7)
顎炎:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、インフルエンザ菌による顎炎に対する有効率は90.0%(18/20)であった。
薬効薬理
1.
抗菌作用
(1)
試験管内ではグラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸球菌、肺炎球菌に強い抗菌力を有する。6)
(2)
グラム陰性菌の大腸菌、インフルエンザ菌に優れた抗菌力を示す。6)また、嫌気性菌のバクテロイデス属にも抗菌力を示す。7,8)
(3)
アミノ配糖体系抗生物質と相乗効果を示す。特にゲンタマイシンと強い相乗効果を示す。9)
(4)
攻撃菌量の影響を既存ペニシリン剤と比較した結果、本剤は菌量を増加しても、ほとんど影響を受けない。10)
(5)
大腸菌KC-14感染マウスに本剤を静注して、既存ペニシリン剤と比較した場合、ED50において本剤は優れており、この場合の全身オートバクテリオグラムを検討した結果、ED50に対応した優れたin vivo抗菌作用が観察された。11)
(6)
ヒトを含む各種動物の血清蛋白との結合率は低い。2)
2.
作用機序
細菌細胞壁の合成阻害である。本剤が強い殺菌作用を示すのは、大腸菌K-12の膜画分を用いたペニシリン結合性蛋白(PBPS)に対する親和性を検討した結果、PBPS-2、1A、1BS、3にバランスよく親和性を示し、ペプチドグリカン架橋形成阻害作用の強いことに基づくと考えられる。12)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アスポキシシリン水和物(Aspoxicillin Hydrate)
略号
ASPC
化学名
(2S,5R,6R)-6-[(2R)-2-[(2R)-2-Amino-3-methylcarbamoylpropanoylamino]-2-(4-hydroxyphenyl)acetylamino]-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylic acid trihydrate
分子式
C21H27N5O7S・3H2O
分子量
547.58
構造式
性状
アスポキシシリン水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがある。
N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水にやや溶けにくく、アセトニトリル、メタノール又はエタノール(95)にほとんど溶けない。
取扱い上の注意
ゴム栓への刺針に際しては、注射針を中心部にまっすぐ刺通・注入すること。斜めに刺すと、ゴム栓を削り取り、削り片がバイアル内に混入することがある。
*包装
ドイル静注用1g:10バイアル

ドイル静注用2g:10バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Aspoxicillin論文特集号:Chemotherapy 32(S-2)(1984)を中心に集計
2)
山口東太郎ら:Chemotherapy 32(S-2)119(1984)
3)
松田 静治ら:Chemotherapy 32(S-2)698(1984)
4)
張 南薫ら:Chemotherapy 32(S-2)706(1984)
5)
岩田 次郎ら:Chemotherapy 33 778(1985)
6)
山口東太郎ら:Chemotherapy 32(S-2)77(1984)
7)
渡辺 邦友ら:Chemotherapy 32(S-2)36(1984)
8)
上野 一恵ら:J Antibiot 38 1516(1985)
9)
吉田 弘嗣ら:Chemotherapy 32(S-2)152(1984)
10)
西野 武志ら:Chemotherapy 32(S-2)47(1984)
11)
谷 佳都ら:Chemotherapy 32(S-2)158(1984)
12)
中西 憲之ら:J Antibiot 41 427(1988)
*文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
フリーダイヤル:0120-381-999
FAX:06-6394-7355
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
沢井製薬株式会社
*大阪市淀川区宮原5丁目2-30