Nitorol Tablets(Isosorbide Dinitrate)硝酸异山梨醇酯片,ニトロール錠5mg
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作成又は改訂年月
** 2014年7月改訂(第10版)
* 2009年2月改訂
日本標準商品分類番号
872171
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
1998年3月
薬効分類名
虚血性心疾患治療剤
承認等
販売名
ニトロール錠5mg
販売名コード
2171016F1082
承認・許可番号
承認番号
21900AMX00011000
商標名
Nitorol
薬価基準収載年月
1978年2月
販売開始年月
1963年1月
貯法・使用期限等
*貯 法
室温保存
バラ包装は、開栓後気密性を保ち、湿気を避けて保存すること。
使用期限
外箱又はラベルに表示の使用期限内に使用すること。
注 意
「取扱い上の注意」の項参照
基準名
日本薬局方
硝酸イソソルビド錠
規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
本剤は、1錠中に硝酸イソソルビド5mgを含有する白色の素錠である。
添加物としてカルメロースカルシウム、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、リン酸水素カルシウム水和物を含有する。
性状
剤形
素錠
識別コード
NR5
外形:表
外形:裏
外形:側面
直径
6.1mm
質量
100mg
厚さ
2.6mm
性状
白色
一般的名称
硝酸イソソルビド錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者
〔血管拡張作用によりさらに血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。〕
2.
閉塞隅角緑内障の患者
〔眼圧を上昇させるおそれがある。〕
3.
頭部外傷又は脳出血のある患者
〔頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。〕
4.
高度な貧血のある患者
〔血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。〕
5.
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
6.
**ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者
〔併用により降圧作用が増強され、過度に血圧を低下させることがある。「相互作用」の項参照〕
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患
用法及び用量
(経口)
通常成人は、1回1~2錠(硝酸イソソルビドとして1回5~10mg)を1日3~4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(舌下)
狭心発作時には、通常成人1回1~2錠(硝酸イソソルビドとして1回5~10mg)を舌下投与する。
狭心発作時以外には、通常成人1回1~2錠(硝酸イソソルビドとして5~10mg)を1日3~4回舌下投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
低血圧の患者
〔血管拡張作用により、さらに血圧を低下させるおそれがある。〕
2.
心筋梗塞の急性期の患者
〔血圧を低下させるおそれがある。〕
3.
原発性肺高血圧症の患者
〔心拍出量が低下し、ショックを起こすことがある。〕
4.
肥大型閉塞性心筋症の患者
〔心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
過度の血圧低下が起こった場合には、本剤の投与を中止し下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。
2.
起立性低血圧を起こすことがあるので注意すること。
3.
本剤の投与開始時には、他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤と同様に血管拡張作用による頭痛等の副作用が起こりやすく、これらの副作用のために注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、このような場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
4.
**本剤とホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を低下させることがあるので、本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
**ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩
(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
タダラフィル
(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
臨床症状・措置方法
併用により、降圧作用を増強することがある。
機序・危険因子
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
2.
薬剤名等
**グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト(アデムパス)
臨床症状・措置方法
併用により、降圧作用を増強することがある。
機序・危険因子
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
血圧低下等が増強されるおそれがある。過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
血管拡張作用が増強される。
2. 薬剤名等
利尿剤
臨床症状・措置方法
血圧低下等が増強されるおそれがある。過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
血圧低下作用を増強させる。
3. 薬剤名等
血管拡張剤
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
臨床症状・措置方法
頭痛、血圧低下等の副作用が増強されるおそれがある。過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
血管拡張作用が増強される。
副作用
副作用等発現状況の概要
経口投与した場合、総症例2,083例中、353例(16.95%)の副作用が報告されている。(臨床試験成績集計)
舌下投与した場合、総症例958例中、43例(4.49%)の副作用が報告されている。(臨床試験成績集計)
循環器
0.1~5%未満
めまい、血圧低下、潮紅、動悸
循環器
頻度不明
熱感、失神
精神神経系
5%以上
頭痛
精神神経系
0.1~5%未満
脱力感
精神神経系
頻度不明
不快感
過敏症注)
0.1%未満
発疹
消化器
0.1~5%未満
悪心・嘔吐、胃部不快感、食欲不振
肝臓
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等
注)このような場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。
〔動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。〕
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
その他の注意
1.
本剤使用中に本剤又は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し耐薬性を生じ、作用が減弱することがある。
なお、類似化合物(ニトログリセリン)の経皮吸収型製剤での労作狭心症に対するコントロールされた外国の臨床試験成績によると、休薬時間を置くことにより、耐薬性が軽減できたとの報告がある。
2.
硝酸イソソルビド製剤の投与によって、メトヘモグロビン血症があらわれたとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人男子5名に本剤1錠(硝酸イソソルビドとして5mg)を経口投与した際、投与後25.6分に最高血漿中濃度(Cmax=5.8ng/mL)を示した。その後血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、消失半減期は18.2分(α相)、93.5分(β相)であった。投与6時間後の血漿中濃度は0.07ng/mLであった。なお、AUC(0→∞)は7.5ng・hr/mLであった。
ニトロール錠5mg経口投与後の血漿中
硝酸イソソルビド濃度
健康成人男子12名に本剤1錠(硝酸イソソルビドとして5mg)を舌下投与した際、投与後18.2分に最高血漿中濃度(Cmax=35.7ng/mL)に達した。その後血漿中濃度は2相性を示し、消失半減期は7.5分(α相)、55.2分(β相)であった。なお、AUC(0→∞)は21.0ng・hr/mLであった。1)
ニトロール錠5mg舌下投与後の血漿中
硝酸イソソルビド濃度
2. 尿中排泄
本剤1錠(硝酸イソソルビドとして5mg)を5名の健康成人に経口投与した場合、投与後48時間迄の尿中排泄量は遊離型2‐一硝酸イソソルビド及び遊離型5‐一硝酸イソソルビドとしてそれぞれ0.23%、4.02%、それらのグルクロン酸抱合体として0.47%、10.03%であった。
薬物動態の表
ニトロール錠5mg経口投与時の薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) |
tmax
(min) |
AUC
(ng・hr/mL) |
t1/2α
(min) |
t1/2β
(min) |
5.8±0.7 |
25.6±4.9 |
7.5±1.3 |
18.2±1.4 |
93.5±20.0 |
(Mean±S.E., n=5)
ニトロール錠5mg舌下投与時の薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) |
tmax
(min) |
AUC
(ng・hr/mL) |
t1/2α
(min) |
t1/2β
(min) |
35.7±6.4 |
18.2±3.2 |
21.0±2.7 |
7.5 |
55.2 |
(Mean±S.E., n=12)
臨成績
臨床効果
狭心症患者の狭心発作の抑制作用の発現、運動耐容量の増加、心電図所見の改善に対して、一般臨床試験により本剤の有用性が認められている。2) 3) 4)
薬効薬理
1. 前負荷、後負荷の軽減作用
麻酔イヌによる実験で、本薬は静脈系容量血管を拡張することにより、静脈還流の減少、肺動脈楔入圧及び左室拡張終期圧の低下(前負荷の軽減)をもたらす。同時に末梢動脈を拡張して、総末梢血管抵抗を減少(後負荷の軽減)させる。これらの作用により、心筋の酸素需要を軽減させる。5) 6)
2. 冠血管拡張作用
麻酔イヌによる実験で、本薬は比較的太い冠動脈(conductive vessel)を拡張し、冠血管抵抗を減少させるとともに側副血行路も拡張し、冠血流量の増加は軽微であるが、虚血部心筋、特に内膜下層心筋への血流供給の再配分をうながして、心筋の酸素供給を増加することが認められている。7)
3. cGMP産生作用
KClであらかじめ、収縮させた子ウシの摘出冠動脈に本薬を添加すると、冠動脈の弛緩作用に比例してcGMPの産生が増加する。8)
有効成分に関する理化学的知見
一 般 名
硝酸イソソルビド(Isosorbide Dinitrate)
化 学 名
1, 4 : 3, 6‐Dianhydro‐D‐glucitol dinitrate
分 子 式
C6H8N2O8
分 子 量
236.14
構 造 式
物理化学的性状
硝酸イソソルビドは白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに硝酸ようのにおいがある。
本品はN,N‐ジメチルホルムアミド又はアセトンに極めて溶けやすく、クロロホルム又はトルエンに溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
本品は急速に熱するか又は衝撃を与えると爆発する。
取扱い上の注意
1.
*温度、湿度の高いところに長期間保存すると錠剤表面に結晶が析出することがある。
2.
*本剤は、無包装開放状態で含量の低下が認められているので、自動分包機内での保存は避けること。また、長期の分包処方は避けること。
3.
*分包後は、なるべく涼しいところで保管するよう注意すること。
包装
日本薬局方 硝酸イソソルビド錠
ニトロール錠5mg:100錠(PTP)
日本薬局方 硝酸イソソルビド錠
ニトロール錠5mg:500錠(バラ)
日本薬局方 硝酸イソソルビド錠
ニトロール錠5mg:1,000錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
深見健一ら:臨床薬理, 18, 515 (1987) NR‐0811
2)
塩田憲三ら:総合臨床, 13, 2365 (1964) NR‐0048
3)
森博愛ら:臨牀と研究, 41, 1847 (1964) NR‐0049
4)
原岡昭一ら:診療, 18, 521 (1965) NR‐0050
5)
平川千里ら:最新医学, 29, 170 (1974) NR‐0036
6)
Wendt, R.L.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 180, 732 (1972) NR‐0020
7)
高山幸男ら:脈管学, 21, 351 (1981) NR‐0347
8)
Matlib, M.A. et al. : Am. Heart J., 110, 204 (1985) NR‐0728
文献請求先
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
エーザイ株式会社 hhcホットライン
電話番号
0120‐419‐497
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
エーザイ株式会社
東京都文京区小石川4‐6‐10