INHIBACE Tablet(Cilazapril hydrate)西拉普利水合物,インヒベース錠0.25/インヒベース錠0.5/インヒベース錠1
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作成又は改訂年月
** 2014年6月改訂(第14版)
* 2013年3月改訂
日本標準商品分類番号
872144
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1998年3月
薬効分類名
持続性ACE阻害剤
承認等
販売名
インヒベース錠0.25
販売名コード
2144005F1028
承認・許可番号
承認番号
02AM0953
商標名
INHIBACE
薬価基準収載年月
1990年11月
販売開始年月
1990年11月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存、気密容器(開封後は湿気を避けて保存すること)
使用期限
3年(外箱に表示の使用期限内に使用すること)
基準名
日本薬局方
シラザプリル錠
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分(1錠中) 有効成分・含有量
日局シラザプリル水和物 0.261mg(無水物として0.25mg)
成分(1錠中) 添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒプロメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール6000、シリコーン樹脂、酸化チタン
性状
色・剤形
白色フィルムコーティング錠
識別コード
NR41
外形(平面)

外形(側面)
直径
約5.1mm
厚さ
約1.9mm
重量
約42.5mg
販売名
インヒベース錠0.5
販売名コード
2144005F2024
承認・許可番号
承認番号
02AM0952
商標名
INHIBACE

薬価基準収載年月
1990年11月
販売開始年月
1990年11月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存、気密容器(開封後は湿気を避けて保存すること)
使用期限
3年(外箱に表示の使用期限内に使用すること)
基準名
日本薬局方
シラザプリル錠
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分(1錠中) 有効成分・含有量
日局シラザプリル水和物 0.522mg(無水物として0.5mg)
成分(1錠中) 添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒプロメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール6000、シリコーン樹脂、酸化チタン
性状
色・剤形
白色フィルムコーティング錠
識別コード
ROCHE242
外形(平面)

外形(側面)

直径
約6.1mm
厚さ
約2.7mm
重量
約84mg
販売名
インヒベース錠1
販売名コード
2144005F3020
承認・許可番号
承認番号
02AM0954
商標名
INHIBACE
薬価基準収載年月
1990年11月
販売開始年月
1990年11月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存、気密容器(開封後は湿気を避けて保存すること)
使用期限
3年(外箱に表示の使用期限内に使用すること)
基準名
日本薬局方
シラザプリル錠
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分(1錠中) 有効成分・含有量
日局シラザプリル水和物 1.043mg(無水物として1mg)
成分(1錠中) 添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒプロメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール6000、シリコーン樹脂、酸化チタン
性状
色・剤形
白色フィルムコーティング錠(割線入り)
識別コード
ROCHE243
外形(平面)

外形(側面)

直径
約7.1mm
厚さ
約3.1mm
重量
約125mg
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[高度の呼吸困難を伴う血管浮腫を発現することがある。]
3.
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の患者[ショックを起こすことがある(「相互作用」の項参照)。]
4.
*アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた血液透析施行中の患者[アナフィラキシーを発現することがある(「相互作用」の項参照)。]
5.
腹水を伴う肝硬変のある患者[本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、重篤な低血圧を起こすことがある。]
6.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
7.
*アリスキレンを投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている(「重要な基本的注意」の項参照)。]
効能又は効果
○高血圧症
用法及び用量
通常、成人にはシラザプリル(無水物)として1日1回0.5mgより経口投与し漸次増量するが、最大1日1回2mgまでとする。ただし、重症又は腎障害を伴う患者にはシラザプリル(無水物)として1日1回0.25mgから投与を開始する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
重篤な腎機能障害のある患者では、本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下、腎機能の悪化を起こすことがあるので、血清クレアチニン値が3mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか、又は投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
2.
高カリウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)
3.
重篤な腎機能障害のある患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
4.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
5.
肝硬変のある患者[過度の血圧低下を起こすことがある。]
重要な基本的注意
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
2.
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
3.
本剤の投与により、初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、特に次の患者に投与する場合は、少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。
(1)
重症の高血圧症患者
(2)
血液透析中の患者
(3)
厳重な減塩療法中の患者
(4)
利尿降圧剤投与中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)
4.
*アリスキレンを併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
5.
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
6.
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行
リポソーバー
イムソーバTR
セルソーバ
等
臨床症状・措置方法
血圧低下、潮紅、嘔気、嘔吐、腹痛、しびれ、熱感、呼吸困難、頻脈等の症状があらわれショックを起こすことがある。
機序・危険因子
陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大する。更に本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積すると考えられている。
2.
薬剤名等
*アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析の施行
(AN69)
臨床症状・措置方法
アナフィラキシーを発現することがある。
機序・危険因子
多価イオン体であるAN69により血中キニン系の代謝が亢進し、本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積すると考えられている。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン
トリアムテレン 等
カリウム補給剤
塩化カリウム 等
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意すること。
機序・危険因子
アンジオテンシンII産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させ、カリウム排泄を減少させる。腎機能障害のある患者には特に注意する。
2. 薬剤名等
利尿降圧剤
ヒドロクロロチアジド
フロセミド 等
臨床症状・措置方法
初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、少量より投与を開始すること。
機序・危険因子
利尿剤の長期投与により血漿レニン活性が上昇している状態では、本剤の投与により急激な血圧低下を起こすおそれがある。
3. 薬剤名等
*アリスキレン
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
機序・危険因子
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
4. 薬剤名等
**アンジオテンシンII受容体拮抗剤
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
機序・危険因子
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
5. 薬剤名等
リチウム製剤
炭酸リチウム
臨床症状・措置方法
外国において、他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、リシノプリル)との併用により、リチウム中毒が報告されているので血中のリチウム濃度に注意すること。
機序・危険因子
腎尿細管におけるリチウムの再吸収を促進する。
6. 薬剤名等
*非ステロイド性消炎鎮痛剤
インドメタシン 等
臨床症状・措置方法
降圧作用が減弱することがある。
機序・危険因子
プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧効果を減弱させる。
7. 薬剤名等
*非ステロイド性消炎鎮痛剤
インドメタシン 等
臨床症状・措置方法
腎機能を悪化させるおそれがある。
機序・危険因子
プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
8. 薬剤名等
カリジノゲナーゼ製剤
臨床症状・措置方法
本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。
機序・危険因子
本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血中キニン濃度が増大し血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時迄の調査及び使用成績調査注2)14,929例において、副作用は494例(3.31%)に認められた。主な副作用は、咳295件(1.98%)、ALT(GPT)上昇23件(0.15%)、AST(GOT)上昇22件(0.15%)、めまい・眩暈15件(0.10%)、血清コレステロール上昇14件(0.09%)、低血圧12件(0.08%)、BUN上昇11件(0.07%)等であった。
また、長期投与調査注2)396例において、副作用は58例(14.65%)に認められた。主な副作用は、咳51件(12.88%)、めまい4件(1.01%)、頭痛4件(1.01%)、肩こり3件(0.76%)、咽頭不快感3件(0.76%)等であった。(再審査終了時)
注2)承認時以降の調査
重大な副作用
1. 血管浮腫
(頻度不明)
呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道確保等の適切な処置を行うこと。
他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、腸管の血管浮腫(症状:腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等)があらわれることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 急性腎不全
(頻度不明)
急性腎不全があらわれることがあるので、特に腎障害、脱水症状等を有する患者に投与する場合には、定期的に検査を行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3. 高カリウム血症
(頻度不明)
重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
4. 膵炎
(頻度不明)
膵炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
(頻度不明は※)
1. 過敏症注3)
0.1%未満
発疹、そう痒
2. 腎臓
0.1%未満
BUN、クレアチニンの上昇、蛋白尿
3. 血液注4)
0.1%未満
白血球減少、貧血
4. 精神神経系
0.1%以上又は頻度不明
めまい
5. 精神神経系
0.1%未満
頭痛、ふらつき、不眠、眠気、しびれ感、口内しびれ感、耳鳴
6. 循環器
0.1%未満
低血圧、動悸、心室性期外収縮
7. 消化器
0.1%未満
下痢、嘔気・嘔吐、食欲不振、心窩部痛、胸やけ
8. 肝臓
0.1%以上又は頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇
9. 肝臓
0.1%未満
Al-P、LDHの上昇
10. 呼吸器
0.1%以上又は頻度不明
咳(1.98%)
11. 呼吸器
0.1%未満
咽頭痛、痰
12. その他
0.1%以上又は頻度不明
低血糖※
13. その他
0.1%未満
総コレステロール、尿酸、血清カリウムの上昇、けん怠感、疲労、胸痛、口内異物感、味覚異常、ほてり、肩こり、浮腫、発赤
注3)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注4)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者では低用量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[薬物動態試験で、非高齢者と比較して血漿濃度が高く、クリアランスの低下が認められており、高い血中濃度が持続するおそれがある(【薬物動態】の項参照)。また、高齢者では一般に過度の降圧により脳梗塞等が起こるおそれがある。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。[妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。]
2.
授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
2.
*外国において、他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩)服用中の患者が膜翅目毒(ハチ毒)による脱感作中にアナフィラキシーを発現したとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人男子6例にシラザプリルとして0.5、1.25mgを単回経口投与したとき、速やかに吸収されて活性代謝物シラザプリラートに変換され、投与後約2時間でそれぞれ最高血中濃度4.2、16.5ng/mLに達し、その後2相性(t1/22.6と2.0時間及び52.6と66.0時間)に減少した。1)
なお、高血圧症患者(腎機能正常5例、腎機能障害患者7例)にシラザプリルとして1.25mgを1日1回5~8日間反復経口投与したとき、クレアチニン・クリアランスとシラザプリラートの血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が負の相関を示し、腎機能障害のある患者では、腎機能正常の患者に比べて血中シラザプリラート濃度の上昇が認められた。2)
健康成人における単回経口投与後の血中濃度の推移

(表1)
(外国人のデータ)
腎機能の正常な高齢者(65~83歳)と健康成人(18~31歳)各12例にシラザプリルとして1mgを単回経口投与したとき、シラザプリラートの最高血中濃度はそれぞれ11.5ng/mL、8.3ng/mL、総クリアランスはそれぞれ12.8L/hr、16.0L/hrであり、腎機能の正常な高齢者は健康成人に比べ最高血中濃度は40%上昇し、総クリアランスは20%減少した。3)
2. 尿中排泄
健康成人男子6例にシラザプリルとして0.5mg、1.25mgを単回経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の約20%以上がシラザプリルとして、39~67%がシラザプリラートとして尿中に排泄され、投与後48時間までに投与量の約20%がシラザプリルとして、投与量の70~80%がシラザプリラートとして尿中に排泄された。1)
薬物動態の表
表1 健康成人における単回経口投与後の血中濃度パラメーター
\パラメーター |
投与量 |
tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
t1/2
(hr) |
AUC0-24hr
(ng・hr/mL) |
シラザプリル |
0.5mg(6例) |
1.4 |
26.4 |
1.5 |
84.0 |
シラザプリル |
1.25mg(6例) |
0.9 |
66.8 |
1.3 |
162.7 |
シラザプリラート
(活性代謝物) |
0.5mg(6例) |
2.1 |
4.2 |
2.6注5)
52.6注6) |
26.3 |
シラザプリラート
(活性代謝物) |
1.25mg(6例) |
2.0 |
16.5 |
2.0注5)
66.0注6) |
72.2 |
注5)Initial phase
注6)Terminal phase
臨床成績
国内120施設における一般臨床試験成績は、表2のとおりであった。
臨床成績の表
表2
対象 |
例数 |
「下降」以上の例数(有効率) |
軽症・中等症本態性高血圧症(単独投与) |
144 |
98(68.1%) |
軽症・中等症本態性高血圧症(併用投与) |
81 |
57(70.4%) |
重症高血圧症 |
41 |
33(80.5%) |
腎障害を伴う高血圧症 |
34 |
25(73.5%) |
薬効薬理
1. 作用機序
本剤は経口投与後速やかに吸収され活性代謝物シラザプリラートに変換される。シラザプリラートは、主として血中・血管壁等に存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性を阻害し、昇圧物質であるアンジオテンシンIIの生成を抑制する。
アンジオテンシンIIの生成抑制は、末梢血管拡張のほか交感神経終末からのノルアドレナリン遊離抑制、ノルアドレナリンの血管収縮作用減弱、アルドステロン分泌抑制につながり、これらが総合的に作用して降圧をもたらすと考えられる。また、本剤はブラジキニンの不活性化抑制作用及び血管拡張性プロスタグランジンの産生促進作用を有しており、これらの作用も降圧効果に寄与していると考えられる。
(1) ACE阻害作用
1)
シラザプリラートは、in vitroにおいて、ウサギ肺、ヒト血漿及び肺、ブタ腎臓から調製したACEの活性を阻害した。4)
2)
麻酔ラットにおいて、外因性アンジオテンシンIによる昇圧反応が抑制された。5)
3)
自然発症高血圧ラット(SHR)において、血清ACE活性並びに各種血管平滑筋ACE活性に対し阻害作用を示した。6)
(2) 交感神経活性抑制作用
1)
麻酔イヌにおいて、アンジオテンシンI持続注入下腎交感神経刺激によるノルアドレナリンの遊離を抑制した。7)
2)
脳脊髄破壊ラットにおいて脊髄電気刺激により遊離されるノルアドレナリンの血管平滑筋収縮作用による昇圧反応を抑制した。8)
(3) キニン不活性化抑制作用
副腎髄質摘除SHRにおいて、ブラジキニンの降圧作用を増強した。4)
2. 降圧作用
(1)
SHR及び2腎1クリップ型腎性高血圧ラットにおいて、持続的な降圧作用を発揮した。4)
(2)
SHRにおいて、反復投与による降圧作用の減弱は認められなかった。4)
(3)
高血圧症患者(成人)において、1日1回投与により、投与1時間後より降圧が認められた。2)
(4)
高血圧症患者(成人)において、1日1回投与により、24時間にわたり有意な降圧が持続したが、血圧及び脈拍の日内変動パターンには影響を及ぼさなかった。9)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
シラザプリル水和物(Cilazapril Hydrate)(JAN)
化学名
(1S,9S)-9-[(1S)-(1-Ethoxycarbonyl-3-phenylpropyl)amino]-10-oxooctahydro-6H-pyridazino[1,2-a][1,2]diazepine-1-carboxylic acid monohydrate
構造式
分子式
C22H31N3O5・H2O
分子量
435.51
性 状
白色~帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、水に溶けにくい。
光によって徐々に黄色となる。
融 点
約101℃(分解)
包装
インヒベース錠0.25:100錠(PTP)
インヒベース錠0.5:100錠(PTP)、500錠(PTP、バラ)
インヒベース錠1:100錠(PTP)、500錠(PTP、バラ)、1,000錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
中島光好,他:臨床医薬,4:2221,1988
2)
Shionoiri,H.,et al.:J.Cardiovasc.Pharmacol. 11:242,1988
3)
Williams,P.E.O.,et al.:Br.J.Clin.Pharmacol. 27:211,1989
4)
Natoff,I.L.,et al.:J.Cardiovasc.Pharmacol. 7:569,1985
5)
Attwood,M.R.,et al.:FEBS Lett. 165:201,1984
6)
Nakamura,Y.,et al.:J.Hypertens. 6:105,1988
7)
Satoh,S.,et al.:Jpn.J.Pharmacol. 48:287,1988
8)
Satoh,S.,et al.:Asia Pacific J.Pharmacol. 3:231,1988
9)
吉永 馨,他:臨床医薬,5:237,1989
文献請求先
中外製薬株式会社 医薬情報センター
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町 2-1-1
電話:0120-189706
Fax:0120-189705
http://www.chugai-pharm.co.jp
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
中外製薬株式会社
東京都中央区日本橋室町2-1-1
-
「下降」以上:「著明下降」+「下降」