Suglat Tablets(Ipragliflozin L-Proline)スーグラ錠25mg/スーグラ錠50mg
ダウンロード
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作成又は改訂年月
**2015年9月改訂(第6版)
*2015年1月改訂
日本標準商品分類番号
873969
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2014年1月
薬効分類名
選択的SGLT2阻害剤 -2型糖尿病治療剤-
承認等
販売名
スーグラ錠25mg
販売名コード
YJ(医情研)コード
3969018F1022
承認・許可番号
承認番号
22600AMX00009
商標名
Suglat Tablets 25mg
薬価基準収載年月
2014年4月
販売開始年月
2014年4月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
ケース等に表示(製造後3年)
規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分(1錠中)
イプラグリフロジン L-プロリン 32.15mg(イプラグリフロジンとして25mg)
添加物
D-マンニトール、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン、タルク、黄色三二酸化鉄
*性状
剤形
フィルムコーティング錠
色
淡黄色
外形
表
外形
裏
外形
側面
大きさ
直径
約8.1mm
大きさ
厚さ
約3.6mm
重量
約186mg
販売名
スーグラ錠50mg
販売名コード
YJ(医情研)コード
3969018F2029
承認・許可番号
承認番号
22600AMX00010
商標名
Suglat Tablets 50mg
薬価基準収載年月
2014年4月
販売開始年月
2014年4月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
ケース等に表示(製造後3年)
規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
*組成
有効成分(1錠中)
イプラグリフロジン L-プロリン 64.3mg(イプラグリフロジンとして50mg)
添加物
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黒酸化鉄
*性状
剤形
フィルムコーティング錠
色
淡紫色
外形
表
外形
裏
外形
側面
大きさ
直径
約8.6mm
大きさ
厚さ
約3.9mm
重量
約227mg
一般的名称
イプラグリフロジン L-プロリン錠
Ipragliflozin L-Proline
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡[輸液、インスリン製剤による速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
3.
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
効能又は効果
2型糖尿病
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
2.
重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと。(「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」及び「臨床成績」の項参照)
3.
中等度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。(「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」及び「臨床成績」の項参照)
用法及び用量
通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。
用法及び用量に関連する使用上の注意
重度の肝機能障害のある患者に対しては低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。(「慎重投与」の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
・栄養不良状態、るいそう、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取者
2.
重度の肝機能障害のある患者[使用経験がなく安全性が確立していない。(「薬物動態」の項参照)]
3.
他の糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤)を投与中の患者[併用により低血糖を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意(1)」、「相互作用」、「副作用」及び「臨床成績」の項参照)]
4.
**尿路感染、性器感染のある患者[症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意(7)」の項参照)]
5.
脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等)[本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意(8)」、「相互作用」、「副作用」及び「高齢者への投与」の項参照)]
重要な基本的注意
1.
本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合には、これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。(「相互作用」、「副作用」及び「臨床成績」の項参照)
2.
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
3.
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
4.
本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切な治療法への変更を考慮すること。
5.
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また患者の不養生、感染症の合併症等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、体重の推移、血糖値に留意の上、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
6.
本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること。
7.
**尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。また、膣カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること。(「副作用」の項参照)
8.
本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。(「相互作用」、「副作用」及び「高齢者への投与」の項参照)
9.
**本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。(「副作用」の項参照)
(1)
**悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)
**特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
(3)
**患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について説明するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること。
10.
排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
11.
本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。
12.
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
13.
本剤とインスリン製剤、GLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
相互作用
相互作用の概略
本剤は主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける。(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
糖尿病用薬
インスリン製剤、スルホニルウレア剤、チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、速効型インスリン分泌促進剤、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害剤等
臨床症状・措置方法
糖尿病用薬との併用時には、低血糖の発現に注意すること。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。
機序・危険因子
糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤)との併用時には、本剤の血糖コントロール改善により、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤を併用する場合には、血糖降下作用の増強によりさらに血糖が低下する可能性があるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により血糖降下作用が増強されるおそれがある。
薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤
副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤を併用する場合には、血糖降下作用の減弱により血糖が上昇する可能性があるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
薬剤名等
利尿作用を有する薬剤
ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤の併用により、利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの国内の臨床試験では、1,669例中549例(32.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は頻尿149例(8.9%)、口渇71例(4.3%)、便秘53例(3.2%)、尿中β2ミクログロブリン増加41例(2.5%)、体重減少39例(2.3%)であった。(承認時:2014年1月)
重大な副作用
1. 低血糖
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤)との併用で低血糖があらわれることがある。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合も低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。(「重要な基本的注意(1)」及び「臨床成績」の項参照)
2. **腎盂腎炎(0.1%)、敗血症(頻度不明)
腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意(7)」の項参照)
3. 脱水(頻度不明)
脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。(「重要な基本的注意(8)」及び「高齢者への投与」の項参照)
4. **ケトアシドーシス(頻度不明)
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意(9)」の項参照)
その他の副作用
血液及びリンパ系障害
1%未満
貧血
眼障害
1%未満
糖尿病網膜症
胃腸障害
1~5%未満
便秘
胃腸障害
1%未満
下痢、胃炎、胃食道逆流性疾患、上腹部痛、腹部膨満
全身障害及び投与局所様態
1~5%未満
口渇、体重減少
全身障害及び投与局所様態
1%未満
空腹、倦怠感
肝胆道系障害
1%未満
肝機能異常
感染症
1~5%未満
膀胱炎、外陰部膣カンジダ症
感染症
1%未満
鼻咽頭炎
神経系障害
1%未満
糖尿病性ニューロパチー、浮動性めまい、体位性めまい、頭痛、感覚鈍麻
腎及び尿路障害
5%以上
頻尿
腎及び尿路障害
1~5%未満
多尿
腎及び尿路障害
1%未満
尿管結石、腎結石症
生殖系及び乳房障害
1%未満
陰部そう痒症
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
1%未満
上気道の炎症
**皮膚及び皮下組織障害注)
1%未満
湿疹、発疹、蕁麻疹
**皮膚及び皮下組織障害注)
頻度不明
そう痒症
血管障害
1%未満
高血圧
臨床検査
1~5%未満
尿中β2ミクログロブリン増加
臨床検査
1%未満
尿中β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、血中ケトン体増加、尿中α1ミクログロブリン増加
その他の副作用の注意
**注)投与初期に比較的多く発現していることから、投与後は十分な観察を行い、症状がみられた場合は投与を中止するなどし、必要に応じて皮膚科専門医と相談して適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
1.
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
2.
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦等:
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。類薬の動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。また、本剤の動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。]
2. 授乳婦:
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行及び出生児の体重増加抑制が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
雌雄ラットに本剤12.5、40、125、250mg/kg/日(250mg/kg/日群は雌のみで実施)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、40mg/kg/日以上の雄及び125mg/kg/日以上の雌で副腎髄質の褐色細胞腫の発生頻度増加が認められた。ラットに本剤40mg/kg/日(雄)又は125mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約10倍又は約60倍であった。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与
1)
健康成人男性に本剤1~300mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与後1~3時間でCmaxに達し、その後速やかに消失した1)。(「薬物動態の表」表1参照)
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
2)
2型糖尿病患者(8例)に、本剤50mgを食前単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは下図及び下表のとおりである2)。(「薬物動態の表」表2参照)
(2) 反復投与
2型糖尿病患者(各群9例)に本剤50又は100mgを1日1回14日間食前反復経口投与したとき、最終投与後のCmaxは1225及び2030ng/mL、AUC24hは4808及び9213ng・h/mLであった3)。
(3) 食事の影響
健康成人男性(30例)に本剤50mgを空腹時、食前又は食後単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食前投与のCmax及びAUClastの幾何平均比(90%信頼区間)は1.23(1.14~1.33)及び1.04(1.01~1.07)、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUClastの幾何平均比(90%信頼区間)は0.82(0.76~0.89)及び1.00(0.97~1.03)であった2)。
2. 吸収(外国人データ)
健康成人男女(14例)に本剤25mgを空腹時1時間持続静脈内投与又は100mgを空腹時単回経口投与したとき、イプラグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティは90.2%と高く、本剤の吸収は良好と考えられた4)。
3. 分布
イプラグリフロジンの血漿蛋白結合率は94.6%~96.5%であり、主要結合蛋白質はアルブミンであった(in vitro試験)5)6)。
4. 代謝
イプラグリフロジンは主にグルクロン酸抱合代謝を受け、ヒト血漿中には4種のグルクロン酸抱合代謝物が認められた7)。また、1種の硫酸抱合代謝物が少量認められた。イプラグリフロジンの主代謝酵素はUGT2B7であり、UGT2B4、UGT1A8及びUGT1A9も寄与することが示された(in vitro試験)8)。
イプラグリフロジンの各種CYP及びUGT分子種に対する阻害作用は弱く、CYP1A2及びCYP3A4に対する誘導作用もほとんど示さなかった(in vitro試験)9)~11)。
5. 排泄
イプラグリフロジンはP-gpの基質であった(in vitro試験)12)。
健康成人男性に本剤1~300mgを空腹時単回経口投与したとき、未変化体の尿中排泄率は約1%であった1)。
外国人健康成人男性(6例)に14C-イプラグリフロジン100mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後48時間までに大部分(84.4%)の放射能が排泄された。投与後144時間までの放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ67.9%及び32.7%(合計100.6%)であり、投与した放射能のほとんどは尿中又は糞中に排泄された。呼気中には放射能は検出されなかった13)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
6. 腎機能低下患者
腎機能の程度が異なる2型糖尿病患者(25例)に、本剤50mgを食前単回経口投与したとき、腎機能正常患者(8例)に対する軽度腎機能低下患者(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満、9例)のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は1.12(0.83~1.52)及び0.94(0.69~1.26)、中等度腎機能低下患者(eGFR:30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満、8例)のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は1.17(0.85~1.60)及び1.21(0.89~1.65)であった。1日あたりの尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量は、腎機能正常患者で約71g、軽度腎機能低下患者で約61g、中等度腎機能低下患者で約38gであり、腎機能低下患者で低かった2)。一方、腎機能の程度が異なる外国人2型糖尿病患者に本剤100mgを空腹時単回経口投与したとき、腎機能正常患者(8例)に対する重度腎機能低下患者(8例)のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は1.05(0.85~1.31)及び1.47(1.12~1.92)であった。20時間あたりの尿中グルコース排泄量は、腎機能正常患者で約49g(ベースライン値:約1g)であったのに対し、重度腎機能低下患者では約12g(ベースライン値:約2g)であった2)。
7. 肝機能低下患者(外国人データ)
中等度(Child-Pugh分類B、スコア7~9)の肝機能低下患者(8例)に本剤100mgを空腹時単回経口投与したとき、健康成人(8例)に対する中等度肝機能低下患者のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は1.27(0.93~1.73)及び1.25(0.94~1.66)であった14)。
8. 高齢者(外国人データ)
健康な高齢(25例)及び非高齢(24例)男女に本剤100mgを食前反復経口投与したとき、非高齢男性に対する高齢男性のCmax及びAUC24hの幾何平均比(90%信頼区間)は0.99(0.84~1.16)及び1.21(1.06~1.38)であった。一方、非高齢女性に対する高齢女性のCmax及びAUC24hの幾何平均比(90%信頼区間)は1.25(1.06~1.49)及び1.45(1.27~1.67)であった2)。
9. 相互作用
(1) メトホルミン(外国人データ)
2型糖尿病患者(18例)にメトホルミン(850、1000又は1500mg)を1日2回及び本剤300mgを1日1回14日間反復併用投与したとき、メトホルミンのCmax及びAUC10hの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は1.11(1.03~1.19)及び1.18(1.08~1.28)であった15)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
(2) ミグリトール
健康成人男性(30例)に本剤100mg及びミグリトール75mgを空腹時単回併用投与したとき、ミグリトールのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.761(0.672~0.861)及び0.796(0.719~0.881)であった。一方、イプラグリフロジンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は1.034(0.944~1.132)及び1.015(0.988~1.043)であった2)。
(3) ピオグリタゾン(外国人データ)
健康成人男女(32例)に本剤150mgを8日間食前反復投与及びピオグリタゾン30mgを併用投与(本剤投与5日目に食前単回投与)したとき、ピオグリタゾンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.986(0.877~1.108)及び1.017(0.966~1.070)であった。健康成人男女(32例)にピオグリタゾン30mgを10日間食前反復投与及びイプラグリフロジン150mgを併用投与(ピオグリタゾン投与7日目に食前単回投与)したとき、イプラグリフロジンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.935(0.863~1.012)及び1.000(0.981~1.020)であった16)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
(4) シタグリプチン(外国人データ)
健康成人男女(32例)に本剤150mgを7日間食前反復投与及びシタグリプチン100mgを併用投与(本剤投与5日目に食前単回投与)したとき、シタグリプチンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.924(0.828~1.031)及び1.001(0.969~1.035)であった。健康成人男女(32例)にシタグリプチン100mgを7日間食前反復投与及び本剤150mgを併用投与(シタグリプチン投与4日目に食前単回投与)したとき、イプラグリフロジンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.965(0.904~1.031)及び0.950(0.934~0.966)であった16)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
(5) グリメピリド(外国人データ)
健康成人男女(26例)に本剤150mgを7日間食前反復投与及びグリメピリド2mgを併用投与(本剤投与5日目に食前単回投与)したとき、グリメピリドのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は1.100(1.019~1.188)及び1.051(1.013~1.090)であった。健康成人男女(26例)にグリメピリド1mgを5日間食前反復投与及び本剤150mgを併用投与(グリメピリド投与3日目に単回投与)したとき、イプラグリフロジンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.973(0.892~1.062)及び0.991(0.966~1.016)であった16)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
(6) ミチグリニド
健康成人男性(30例)に本剤100mgを3日間食前反復投与及びミチグリニド10mgを併用投与(本剤投与3日目に食前単回投与)したとき、ミチグリニドのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.871(0.769~0.986)及び1.011(0.994~1.029)であった。健康成人男性(30例)にミチグリニド10mgを1日3回4日間食前反復投与及び本剤100mgを併用投与(ミチグリニド投与2日目に食前単回投与)したとき、イプラグリフロジンのCmax及びAUCinfの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は0.946(0.896~0.999)及び1.004(0.982~1.026)であった2)。
(7) フロセミド(外国人データ)
健康成人男女(24例)に本剤150mgを1日1回5日間及びフロセミド40mgを1日1回7日間併用投与したとき、1日あたりの尿中ナトリウム排泄量のフロセミド単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は、投与開始1日目では1.137(1.091~1.185)、投与開始5日目では0.993(0.926~1.065)であった。また、投与開始5日目のフロセミドのCmax及びAUCtauの単独投与時に対する幾何平均比(90%信頼区間)は1.071(0.884~1.296)及び1.062(0.950~1.187)であった2)。
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
薬物動態の表
表1 単回投与時の血漿中薬物動態パラメータ
投与量 |
n |
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(h) |
t1/2
(h) |
AUCinf
(ng・h/mL) |
1mg |
6 |
18±4 |
0.75±0.27 |
4.35±1.05 |
59±11 |
3mg |
6 |
54±16 |
0.92±0.20 |
10.01±2.28 |
245±35 |
10mg |
6 |
174±14 |
0.92±0.20 |
13.34±4.99 |
855±168 |
30mg |
6 |
524±103 |
1.58±1.11 |
12.43±5.05 |
2896±363 |
100mg |
6 |
1392±423 |
2.33±1.21 |
11.71±2.00 |
9696±2242 |
300mg |
5 |
3421±690 |
2.60±1.34 |
10.34±1.59 |
27299±4622 |
(平均値±標準偏差)
表2 本剤50mg単回投与時の血漿中薬物動態パラメータ
投与量 |
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(h) |
t1/2
(h) |
AUCinf
(ng・h/mL) |
50mg |
1045±348 |
1.43±1.86 |
14.97±4.58 |
4821±1558 |
(平均値±標準偏差、n=8)
臨床成績
いずれの試験もLOCF(Last observation carried forward)法を適用した。
1. 単独療法
(1) 第II相二重盲検比較試験17)
食事療法、運動療法のみで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤(12.5、25、50、100mg)又はプラセボを1日1回12週間投与した。本剤12.5~100mg/日のいずれの用量においてもプラセボに比べ有意なHbA1c値(NGSP値)の低下が確認された(P<0.001)。低血糖症状の副作用発現率は本剤100mgで1.4%(72例中1例)、本剤12.5mg、25mg、50mg、プラセボは0%(74例、74例、72例、69例中0例)であった。(「臨床成績の表」表3参照)
(注)本剤の承認された1回用量は50mg(効果不十分な場合は100mgまで)である。
(2) 第III相二重盲検比較試験18)
食事療法、運動療法のみで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤50mg又はプラセボを1日1回16週間投与した。本剤50mgはプラセボに対して、有意なHbA1c値(NGSP値)の低下が確認された(P<0.001)。低血糖症状の副作用発現率は本剤50mg及びプラセボでそれぞれ0%(62例中0例)及び0%(67例中0例)であった。(「臨床成績の表」表4参照)
(3) 長期投与試験(24週)19)
食事療法、運動療法のみで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(174例)を対象に、本剤50mgを1日1回24週間投与した結果、HbA1c値(NGSP値:平均値±標準偏差)のベースライン(7.65±0.663%)から最終評価時までの変化量は-0.32±0.671%であり、安定した血糖コントロールが得られた。低血糖症状の副作用発現率は1.7%(174例中3例)であった。
(4) 長期投与試験(52週)20)
食事療法、運動療法のみで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(182例)を対象に、本剤50mg又は100mg(増量時)を1日1回52週間投与した結果、HbA1c値(NGSP値:平均値±標準偏差)のベースライン(7.93±0.791%)から最終評価時までの変化量は-0.51±0.806%であり、安定した血糖コントロールが得られた。また、朝食前及び朝食後投与における検討において、食前・食後の投与による効果に影響はみられなかった。低血糖症状の副作用発現率は1.1%(182例中2例)であった。
2. 併用療法
(1) メトホルミン21)、ピオグリタゾン22)、スルホニルウレア剤23)との併用試験
1) 二重盲検比較試験
食事療法、運動療法に加えてメトホルミン、ピオグリタゾン、スルホニルウレア剤で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤50mg又はプラセボを1日1回24週間投与した。本剤50mgの併用投与はメトホルミン、ピオグリタゾン、スルホニルウレア剤の各単独投与に対して、有意なHbA1c値(NGSP値)の低下が確認された(P<0.001)。併用療法における低血糖症状の副作用発現率は本剤50mg及びプラセボでそれぞれメトホルミン併用時0%(112例中0例)及び0%(56例中0例)、ピオグリタゾン併用時1.0%(97例中1例)及び0%(54例中0例)、スルホニルウレア剤併用時0.6%(166例中1例)及び1.3%(76例中1例)であった。(「臨床成績の表」表5参照)
2) 長期継続投与試験
上記1)の二重盲検比較試験に引き続き、本剤50mg又は100mg(増量時)を1日1回28週間(合計52週間)投与した。ベースラインから最終評価時までのHbA1c値(NGSP値)の変化量(平均値±標準偏差)はメトホルミンを併用した群(112例)で-0.95±0.671%、ピオグリタゾンを併用した群(97例)で-0.74±0.694%、スルホニルウレア剤を投与した群(165例)で-0.84±0.714%であり、52週にわたって安定した血糖コントロールが得られた21)~23)。低血糖症状の副作用発現率はメトホルミン併用時0%(112例中0例)、ピオグリタゾン併用時1.0%(97例中1例)、スルホニルウレア剤併用時3.0%(166例中5例)であった。
(2) α-グルコシダーゼ阻害剤24)、DPP-4阻害剤25)、ナテグリニド26)との併用試験
食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、ナテグリニドで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤50mg又は100mg(増量時)を1日1回52週間投与した。ベースラインから最終評価時までのHbA1c値(NGSP値)の変化量(平均値±標準偏差)はα-グルコシダーゼ阻害剤を併用した群(109例)で-0.82±0.712%、DPP-4阻害剤を併用した群(105例)で-0.81±0.617%、ナテグリニドを併用した群(118例)で-0.75±0.720%であり、52週にわたって安定した血糖コントロールが得られた(ベースラインはそれぞれ、7.96±0.820%、7.84±0.767%、7.99±0.801%であった)。低血糖症状の副作用発現率はα-グルコシダーゼ阻害剤併用時0%(113例中0例)、DPP-4阻害剤併用時0.9%(106例中1例)、ナテグリニド併用時2.5%(122例中3例)であった。
3. 腎機能低下患者での効果
(1) 二重盲検比較試験27)
食事療法、運動療法もしくはα-グルコシダーゼ阻害剤、ピオグリタゾン、スルホニルウレア剤で血糖コントロールが不十分かつ軽度(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)から中等度(eGFR:30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)の腎機能低下を伴う2型糖尿病患者を対象に、本剤50mg又はプラセボを1日1回24週間投与した。低血糖症状の副作用発現率は本剤50mg及びプラセボでそれぞれ軽度腎機能低下患者で0%(61例中0例)及び0%(23例中0例)、中等度腎機能低下患者で1.7%(58例中1例)及び0%(23例中0例)であった。(「臨床成績の表」表6参照)
(2) 長期継続投与試験27)
上記(1)の二重盲検比較試験に引き続き、本剤50mg又は100mg(増量時)を1日1回28週間(合計52週間)投与した。ベースラインから最終評価時までのHbA1c値(NGSP値)の変化量(平均値±標準偏差)は-0.44±0.595%であった。腎機能別にサブグループ解析した結果、軽度腎機能低下患者では-0.54±0.478%、中等度腎機能低下患者では-0.33±0.684%であった。低血糖症状の副作用発現率は軽度腎機能低下患者で6.6%(61例中4例)、中等度腎機能低下患者で3.4%(58例中2例)であった。
臨床成績の表
表3 第II相二重盲検比較試験の結果(最終評価時)
投与群 |
HbA1c(%):ベースライン(標準偏差) |
HbA1c(%):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
HbA1c(%):プラセボとの差[95%信頼区間]a |
空腹時血糖(mg/dL):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
空腹時血糖(mg/dL):プラセボとの差[95%信頼区間]b |
プラセボ(n=69) |
8.36(0.787) |
0.49(1.004) |
- |
9.8(26.17)d |
- |
イプラグリフロジン25mg(n=74) |
8.32(0.831) |
-0.47(0.693) |
-0.97※
[-1.210,-0.721] |
-23.0(33.17) |
-35.7※
[-44.10,-27.28] |
イプラグリフロジン50mg(n=72) |
8.33(0.795) |
-0.79(0.567)c |
-1.29※
[-1.536,-1.041] |
-31.4(28.67) |
-46.0※
[-54.54,-37.55] |
イプラグリフロジン100mg(n=72) |
8.25(0.764) |
-0.79(0.715) |
-1.31※
[-1.554,-1.060] |
-45.9(29.68) |
-58.9※
[-67.37,-50.43] |
a:共分散分析(投与群、ベースラインのHbA1c値をモデルに含む)
b:共分散分析(投与群、ベースラインの空腹時血糖値をモデルに含む)
c:n=71、d:n=68、※:P<0.001
表4 第III相二重盲検比較試験の結果(最終評価時)
投与群 |
HbA1c(%):ベースライン(標準偏差) |
HbA1c(%):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
HbA1c(%):プラセボとの差[95%信頼区間]a |
空腹時血糖(mg/dL):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
空腹時血糖(mg/dL):プラセボとの差[95%信頼区間]b |
プラセボ(n=67) |
8.25(0.678) |
0.54(1.003) |
- |
6.3(30.05) |
- |
イプラグリフロジン50mg(n=62) |
8.40(0.857) |
-0.76(0.697) |
-1.24※
[-1.537,-0.950] |
-40.2(33.34) |
-45.8※
[-55.50,-36.10] |
a:共分散分析(投与群、スクリーニング期開始前8週以内の血糖降下薬投与の有無及びベースラインのHbA1c値をモデルに含む)
b:共分散分析(投与群、スクリーニング期開始前8週以内の血糖降下薬投与の有無及びベースラインの空腹時血糖値をモデルに含む)
※:P<0.001
表5 メトホルミン、ピオグリタゾン、スルホニルウレア剤との併用試験の結果(最終評価時)
試験名
投与群 |
HbA1c(%):ベースライン(標準偏差) |
HbA1c(%):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
HbA1c(%):プラセボとの差[95%信頼区間]a |
空腹時血糖(mg/dL):ベースラインからの変化量(標準偏差) |
空腹時血糖(mg/dL):プラセボとの差[95%信頼区間]b |
メトホルミン併用試験:メトホルミン単独投与(n=56) |
8.38
(0.738) |
0.38
(0.708) |
- |
10.7
(27.46) |
- |
メトホルミン併用試験:イプラグリフロジン50mg併用投与(n=112) |
8.25
(0.719) |
-0.87
(0.655) |
-1.30※
[-1.501,-1.095] |
-22.2
(26.72) |
-39.4※
[-46.96,-31.85] |
ピオグリタゾン併用試験:ピオグリタゾン単独投与(n=54) |
8.39
(0.644) |
0.22
(0.811) |
- |
6.1
(30.99) |
- |
ピオグリタゾン併用試験:イプラグリフロジン50mg併用投与(n=97) |
8.24
(0.670) |
-0.64
(0.609) |
-0.88※
[-1.108,-0.648] |
-36.4
(33.35) |
-41.0※
[-50.34,-31.66] |
スルホニルウレア剤併用試験:スルホニルウレア剤単独投与(n=75) |
8.34
(0.727) |
0.32
(0.963) |
- |
-1.0
(40.20) |
- |
スルホニルウレア剤併用試験:イプラグリフロジン50mg併用投与(n=165) |
8.38
(0.641) |
-0.83
(0.717) |
-1.14※
[-1.348,-0.936] |
-41.4
(30.80) |
-38.0※
[-45.27,-30.75] |
a:共分散分析(投与群、ベースラインのHbA1c値をモデルに含む)
b:共分散分析(投与群、ベースラインの空腹時血糖値をモデルに含む)
※:P<0.001
表6 腎機能低下患者での二重盲検比較試験の結果(最終評価時)
HbA1c(%) |
全体(軽度~中等度)腎機能低下患者:プラセボ(n=46) |
全体(軽度~中等度)腎機能低下患者:イプラグリフロジン50mg(n=118) |
軽度腎機能低下患者:プラセボ(n=23) |
軽度腎機能低下患者:イプラグリフロジン50mg(n=60) |
中等度腎機能低下患者:プラセボ(n=23) |
中等度腎機能低下患者:イプラグリフロジン50mg(n=58) |
ベースライン(標準偏差) |
7.52
(0.536) |
7.52
(0.550) |
7.57
(0.523) |
7.45
(0.485) |
7.47
(0.554) |
7.59
(0.605) |
ベースラインからの変化量(標準偏差) |
-0.17
(0.516) |
-0.42
(0.514) |
-0.26
(0.522) |
-0.56
(0.397) |
-0.09
(0.507) |
-0.28
(0.581) |
プラセボとの差[95%信頼区間] |
- |
-0.25a
[-0.415,-0.080] |
- |
-0.35b
[-0.545,-0.153] |
- |
-0.17b
[-0.449,0.103] |
P値 |
- |
P=0.004a |
- |
P<0.001b |
- |
P=0.215b |
a:共分散分析(投与群、ベースラインのHbA1c値及びeGFRのカテゴリーをモデルに含む)
b:共分散分析(投与群、ベースラインのHbA1c値をモデルに含む)
薬効薬理
1. 作用機序
Na+/グルコース共輸送担体(SGLT:Na+-glucose cotransporter)は、Na+の濃度勾配を駆動力としてグルコースを細胞内へ能動輸送するトランスポーターである。ヒトにおけるSGLT1とSGLT2の機能について、消化管におけるグルコース吸収はSGLT1が、腎近位尿細管におけるグルコース再吸収はSGLT2が、それぞれ主たる役割を担っていることが明らかになっている28)。イプラグリフロジンは腎近位尿細管に発現するSGLT2を阻害し、血液中の過剰なグルコースを体外に排出することで血糖降下作用を発揮する。
2. 薬理作用
(1) ヒトSGLT2阻害作用
イプラグリフロジンは、ヒトSGLT2に対して選択的な阻害作用を示し、その50%阻害濃度(IC50値)は、7.38nmol/Lであった。SGLT1に対するIC50値は、1880nmol/Lであった29)。
(2) 尿中グルコース排泄促進作用及び血糖降下作用
イプラグリフロジンは、正常マウス、ニコチンアミド/ストレプトゾトシン誘発軽症2型糖尿病マウス及び2型糖尿病KK-Ayマウスにおいて単回経口投与により投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた30)。また、イプラグリフロジンは、それらのマウスにおいて単回経口投与により液体栄養剤負荷後の血糖値上昇を抑制した31)。更に、イプラグリフロジンは2型糖尿病KK-Ayマウス並びにdb/dbマウスにおいて、1日1回28日間の反復経口投与によりHbA1c低下作用を示した32)33)。
2型糖尿病患者を対象に、本剤50mg、100mg又はプラセボを1日1回14日間投与したところ、本剤投与群において最終投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量が増加した。また、空腹時血糖値のベースラインからの変化量も増加した3)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イプラグリフロジン L-プロリン(Ipragliflozin L-Proline)
化学名
(1S)-1,5-Anhydro-1-C -{3-[(1-benzothiophen-2-yl)methyl]-4-fluorophenyl}-D-glucitol-(2S)-pyrrolidine-2-carboxylic acid(1:1)
構造式
分子式
C21H21FO5S・C5H9NO2
分子量
519.58
融点
約205℃(分解)
性状
イプラグリフロジン L-プロリンは白色~微帯褐白色の結晶又は粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
*包装
錠25mg:100錠(10錠×10)
錠25mg:140錠(14錠×10)
錠50mg:100錠(10錠×10)
錠50mg:140錠(14錠×10)
錠50mg:300錠(バラ)
錠50mg:500錠(10錠×50)
主要文献及び文献請求先
主要文献
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Kadokura, T. et al.:Diabetol. Int. 2(4):172, 2011 [SGL-00020]
2)
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3)
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4)
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5)
社内報告書(血漿蛋白結合率・薬物動態)(DIR130172)
6)
社内報告書(血漿中主要結合蛋白の推定・薬物動態)(DIR130173)
7)
社内報告書(代謝物の検索及び同定・薬物動態)(DIR130174)
8)
社内報告書(UGT分子種同定・薬物動態)(DIR130175)
9)
社内報告書(CYP阻害作用・薬物動態)(DIR130176)
10)
社内報告書(UGT阻害作用・薬物動態)(DIR130177)
11)
社内報告書(CYP誘導作用・薬物動態)(DIR130178)
12)
社内報告書(P-gp基質性・薬物動態)(DIR130212)
13)
社内報告書(健康成人・マスバランス試験)(DIR130187)
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社内報告書(尿中グルコース排泄促進作用・薬理試験)(DIR130161)
31)
社内報告書(液体栄養剤負荷後高血糖の改善作用・薬理試験)(DIR130162)
32)
社内報告書(KK-Ayマウス反復投与試験・薬理試験)(DIR130163)
33)
社内報告書(db/dbマウス反復投与試験・薬理試験)(DIR130164)
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内報告書につきましても下記にご請求下さい。
**アステラス製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
0120-189-371
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
アステラス製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
販売提携
寿製薬株式会社
長野県埴科郡坂城町大字上五明字東川原198
販売提携
MSD株式会社
東京都千代田区九段北1-13-12