ACTEMRA(Tocilizumab(Genetical Recombination))アクテムラ皮下注162mgシリンジ/アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター
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作成又は改訂年月
** 2014年9月改訂(第7版)
* 2014年6月改訂
日本標準商品分類番号
876399
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2005年4月
薬効分類名
ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体
承認等
販売名
アクテムラ皮下注162mgシリンジ

販売名コード
6399421G1022
承認・許可番号
承認番号
22500AMX00871
商標名
ACTEMRA

薬価基準収載年月
2013年5月
販売開始年月
2013年5月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光、2~8℃保存
使用期限
2年(外箱、ラベルに表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
生物由来製品
劇薬
*処方箋医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含有量[1シリンジ(0.9mL)中] 有効成分
トシリズマブ(遺伝子組換え)注2) 162mg
成分・含有量[1シリンジ(0.9mL)中] 添加物
ポリソルベート80 0.18mg
L-アルギニン 0.132mg
L-アルギニン塩酸塩 18.8mg
L-メチオニン 4.03mg
L-ヒスチジン 1.40mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 1.90mg
注2)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。また、細胞培養工程の培地成分として、ウシの乳由来のガラクトースを使用している。
性状
剤形
注射剤(シリンジ)
性状
無色~淡黄色の液
pH
5.5~6.5
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
販売名
アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター

販売名コード
6399421G2029
承認・許可番号
承認番号
22500AMX00872
商標名
ACTEMRA

薬価基準収載年月
2013年5月
販売開始年月
2013年5月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光、2~8℃保存
使用期限
2年(外箱、ラベルに表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
生物由来製品
劇薬
*処方箋医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含有量[オートインジェクター(0.9mL)中] 有効成分
トシリズマブ(遺伝子組換え)注2) 162mg
成分・含有量[オートインジェクター(0.9mL)中] 添加物
ポリソルベート80 0.18mg
L-アルギニン 0.132mg
L-アルギニン塩酸塩 18.8mg
L-メチオニン 4.03mg
L-ヒスチジン 1.40mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 1.90mg
注2)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。また、細胞培養工程の培地成分として、ウシの乳由来のガラクトースを使用している。
性状
剤形
注射剤(オートインジェクター)
性状
無色~淡黄色の液
pH
5.5~6.5
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
一般的名称
トシリズマブ(遺伝子組換え)注
警告
1. 感染症
本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。本剤はIL-6の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応は抑制されるため、感染症に伴う症状が抑制される。そのため感染症の発見が遅れ、重篤化することがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。
2.
治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。
3.
本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識と関節リウマチの治療経験をもつ医師が使用し、自己投与の場合もその管理指導のもとで使用すること。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある。]
2.
活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
3.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
○既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
効能又は効果に関連する使用上の注意
過去の治療において、少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること。
用法及び用量
通常、成人には、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回162mgを2週間隔で皮下注射する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
血清中トシリズマブ濃度が維持されない状態で投与を継続すると、抗トシリズマブ抗体が発現する可能性が高くなるため、用法・用量を遵守すること。
2.
1回に本剤の全量を使用すること。
3.
本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。また、本剤による治療開始後、医師により適用が妥当と判断された患者については、自己投与も可能である。(「重要な基本的注意」の項参照)
4.
注射部位反応が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。(「重要な基本的注意」及び「適用上の注意」の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者[感染症が悪化するおそれがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
2.
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させる可能性が否定できないので、胸部X線検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。](「重要な基本的注意」の項参照)
3.
易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
4.
間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。](「重大な副作用」の項参照)
5.
腸管憩室のある患者(「重大な副作用」の項参照)
6.
白血球減少、好中球減少、血小板減少のある患者[白血球減少、好中球減少、血小板減少が更に悪化するおそれがある。](「重大な副作用」の項参照)
重要な基本的注意
1.
アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬等)や緊急処置を直ちに実施できるようにしておくこと。異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。
2.
本剤投与により、投与時反応(発熱、悪寒、嘔気、嘔吐、頭痛、発疹等)が発現する可能性があるため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
3.
本剤投与後、注射部位反応(紅斑、そう痒感、血腫、腫脹、出血、疼痛等)が発現することが報告されていることから、投与にあたっては、注射部位反応の発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
4.
感染症を合併している患者に本剤を投与することにより、感染症が重篤化するおそれがあるため、下記の点に留意すること。
(1)
投与開始に際しては、肺炎等の感染症の有無を確認すること。なお、関節リウマチの臨床症状(発熱、けん怠感、リンパ節腫脹等)は感染症の症状と類似しているため、鑑別を十分に行うこと。
(2)
易感染性の状態では、日和見感染が顕在化するおそれがあることから、投与を避けることが望ましい。なお、リンパ球数減少が遷延化した場合(目安として500/μL)は、投与を開始しないこと。
(3)
感染症を合併している場合は感染症の治療を優先すること。
5.
**抗リウマチ生物製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者及び既往感染者に本剤を投与する場合は、最新のB型肝炎治療ガイドラインを参考に肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
6.
本剤投与により、急性期反応(発熱、CRP増加等)、感染症状が抑制され、感染症発見が遅れる可能性があるため、急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数を定期的に測定し、これらの変動及び喘鳴、咳嗽、咽頭痛等の症状から感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し適切な処置を行うこと。また、呼吸器感染のみならず皮膚感染や尿路感染等の自他覚症状についても注意し、異常が見られる場合には、速やかに担当医師に相談するよう、患者を指導すること。
7.
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診(結核の既往歴、結核患者との濃厚接触歴等)及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の投与開始前に適切に抗結核薬を投与すること。
(1)
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
(2)
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
(3)
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
(4) 結核患者との濃厚接触歴を有する患者
本剤投与中は、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに担当医師に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与せず、結核の治療を優先すること。
8.
本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと。
9.
臨床試験において胸膜炎(感染症が特定できなかったものを含む)が報告されている。治療期間中に胸膜炎(所見:胸水貯留、胸部痛、呼吸困難等)が認められた場合には、その病因を十分に鑑別し、感染症でない場合も考慮して適切な処置を行うこと。
10.
総コレステロール値、トリグリセリド値、LDLコレステロール値の増加等の脂質検査値異常があらわれることがあるので、投与開始3カ月後を目安に、以後は必要に応じて脂質検査を実施し、臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。
11.
肝障害を起こす可能性のある薬剤と併用する場合や活動性肝疾患又は肝障害の患者に投与する場合には、トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと(「その他の注意」の項参照)。
12.
臨床試験において心障害が認められていることから、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて心電図検査、血液検査、胸部エコー等を実施すること。心疾患を合併している患者に投与する際は、定期的に心電図検査を行いその変化に注意すること。
13.
本剤と他の抗リウマチ生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。また、他の抗リウマチ生物製剤から本剤に切り替える際には、感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
14.
本剤の有効性は点滴静注用製剤と比較し低い可能性があることから、本剤で十分な効果が認められない場合には、点滴静注用製剤等への切り替えを考慮すること(【臨床成績】の項参照)。
15. 自己投与における注意
(1)
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
(2)
自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療機関へ連絡するよう患者に指導を行うこと。
(3)
使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導の徹底を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第III相臨床試験における安全性解析対象症例346例のうち、初回投与24週後までに、皮下投与群173例中144例(83.2%)、点滴静注群173例中149例(86.1%)に副作用が認められた。皮下投与群の主な副作用は、上気道感染55例(31.8%)、コレステロール増加31例(17.9%)、LDL増加24例(13.9%)、注射部位反応21例(12.1%)、トリグリセリド増加18例(10.4%)等であった。点滴静注群の主な副作用は、上気道感染53例(30.6%)、コレステロール増加33例(19.1%)、LDL増加30例(17.3%)、発疹19例(11.0%)、トリグリセリド増加17例(9.8%)、ALT(GPT)上昇17例(9.8%)等であった。(承認時)
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の発現頻度は、点滴静注用製剤の国内臨床試験783例(キャッスルマン病:35例、関節リウマチ:601例、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎:19例、全身型若年性特発性関節炎:128例)、特定使用成績調査(全例調査)8,080例(関節リウマチ:7,901例、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎:179例)及び皮下注製剤の国内臨床試験(関節リウマチ)378例の結果を合わせて算出した。
※本剤の効能・効果は関節リウマチである。
重大な副作用
1. アナフィラキシーショック(0.1%未満)、アナフィラキシー様症状(0.1%)
血圧低下、呼吸困難、意識消失、めまい、嘔気、嘔吐、そう痒感、潮紅等があらわれることがあるので、本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬を投与するなど適切な処置を行うとともに症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。また、投与終了後も症状のないことを確認すること。
2. 感染症
肺炎(2.0%)、帯状疱疹(1.6%)、感染性胃腸炎(0.6%)、蜂巣炎(1.0%)、感染性関節炎(0.3%)、敗血症(0.2%)、非結核性抗酸菌症(0.2%)、結核(0.1%未満)、ニューモシスチス肺炎(0.2%)等の日和見感染を含む重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。本剤投与後は、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
3. 間質性肺炎
(0.4%)
間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線、CT及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-D-グルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。
4. 腸管穿孔
(0.1%)
腸管穿孔が報告されている。本剤投与により、憩室炎等の急性腹症の症状(腹痛、発熱等)が抑制され、発見が遅れて穿孔に至る可能性があるため、異常が認められた場合には、腹部X線、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと。
5. 無顆粒球症(0.1%未満)、白血球減少(4.7%)、好中球減少(1.9%)、血小板減少(2.1%)
無顆粒球症、白血球減少、好中球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
6. 心不全
(0.1%未満)
心不全の報告があるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、休薬・中止など適切な処置を行うこと。
1. 抵抗機構
0.1~1%未満
ヘルペスウイルス感染、インフルエンザ、口腔カンジダ症、耳下腺炎
2. 抵抗機構
0.1%未満
創傷感染
3. 呼吸器
1%以上
上気道感染〔鼻咽頭炎、上気道炎等〕(10.7%)、気管支炎、咽喉頭疼痛
4. 呼吸器
0.1~1%未満
咳嗽、副鼻腔炎、鼻炎、鼻漏、喘息、胸膜炎、咽頭不快感
5. 呼吸器
0.1%未満
喀血、咽頭紅斑、鼻出血、鼻閉、気管支拡張症
6. 代謝
1%以上
コレステロール増加(6.2%)、トリグリセリド増加、LDL増加、高脂血症、高コレステロール血症
7. 代謝
0.1~1%未満
LDH上昇、HDL増加、高トリグリセリド血症、CK(CPK)上昇、血中尿酸増加、糖尿病増悪、総蛋白減少
8. 代謝
0.1%未満
血中カリウム減少、血糖増加、血清フェリチン減少、血中リン増加・減少、血中カルシウム減少
9. 肝臓
1%以上
肝機能異常、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、γ-GTP上昇
10. 肝臓
0.1~1%未満
ビリルビン増加、Al-P上昇、脂肪肝
11. 肝臓
0.1%未満
胆石症
12. 循環器
1%以上
高血圧
13. 循環器
0.1~1%未満
血圧上昇、血圧低下、動悸、T波逆転・振幅減少、上室性・心室性期外収縮
14. 循環器
0.1%未満
ST部分上昇・下降、T波振幅増加
15. 血液・凝固
1%以上
リンパ球数減少
16. 血液・凝固
0.1~1%未満
貧血、フィブリノゲン減少、好酸球数増加、白血球数増加、好中球数増加、フィブリン分解産物〔FDP、Dダイマー〕増加、ヘモグロビン減少、リンパ節炎、リンパ節腫脹
17. 血液・凝固
0.1%未満
ヘマトクリット減少、赤血球数減少、TAT増加
18. 消化器
1%以上
口内炎、胃腸炎、下痢、腹痛
19. 消化器
0.1~1%未満
便秘、悪心、嘔吐、口唇炎、腹部不快感、胃・腸ポリープ、逆流性食道炎、痔核、腹部膨満、食欲不振
歯周病、齲歯、歯肉炎、歯痛
20. 消化器
0.1%未満
消化不良、舌炎、胃潰瘍、口渇、急性膵炎
歯根膜感染
21. 精神神経
1%以上
頭痛
22. 精神神経
0.1~1%未満
浮動性めまい、感覚減退、不眠症
23. 精神神経
0.1%未満
末梢性ニューロパシー
24. 耳
0.1~1%未満
中耳炎、眩暈
25. 耳
0.1%未満
耳鳴、外耳炎、突発難聴、耳不快感
26. 眼
0.1~1%未満
結膜炎、麦粒腫、結膜出血、眼乾燥、霰粒腫
27. 眼
0.1%未満
白内障、硝子体浮遊物、網膜出血、眼瞼炎
28. 皮膚
1%以上
発疹〔湿疹、痒疹、丘疹等〕、そう痒症、白癬、皮膚感染
29. 皮膚
0.1~1%未満
膿瘍、爪感染、蕁麻疹、紅斑、皮膚潰瘍、皮下出血、角化症、脱毛症、嵌入爪、ざ瘡、皮膚乾燥、水疱
30. 皮膚
0.1%未満
皮膚嚢腫
31. 筋・骨格
0.1~1%未満
関節痛、背部痛、筋痛〔筋痛、肩こり〕、骨粗鬆症、頚部痛、四肢痛、骨密度減少
32. 筋・骨格
0.1%未満
若年性関節炎増悪
33. 泌尿器
0.1~1%未満
膀胱炎、尿路感染、尿中赤血球陽性、BUN増加、尿糖、腎盂腎炎、尿蛋白
34. 泌尿器
0.1%未満
腎結石、NAG増加、頻尿、尿中白血球陽性
35. 生殖器
0.1~1%未満
腟感染
36. 生殖器
0.1%未満
性器出血、子宮頚管ポリープ
37. その他
1%以上
発熱
38. その他
0.1~1%未満
浮腫、注射部位反応〔紅斑、そう痒感、腫脹、出血、血腫、疼痛等〕、けん怠感、免疫グロブリンG減少、悪寒、季節性アレルギー、胸痛、CRP増加、アレルギー性鼻炎、胸部不快感、気分不良、体重増加、ほてり、潮紅
39. その他
0.1%未満
抗核抗体陽性注3)、血栓性静脈炎、DNA抗体陽性注3)、リウマチ因子陽性、発汗障害
注3)点滴静注用製剤における関節リウマチ第III相2試験でのDNA抗体の推移は、217例において陰性化10例(4.6%)、陽性化0例である。抗核抗体の推移は216例において陰性化24例(11.1%)、陽性化18例(8.3%)である。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。また、カニクイザルにおいて本剤は胎盤関門を通過することが報告されている。]
2.
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 投与経路
皮下にのみ投与すること。
2. 投与前
(1)
室温に戻しておくこと。
(2)
投与直前まで本剤の注射針のキャップを外さないこと。キャップを外したら直ちに投与すること。
3. 投与時
(1)
注射部位は、腹部、大腿部又は上腕部を選ぶこと。同一箇所へ繰り返し注射することは避け、新たな注射部位は前回の注射部位から少なくとも3cm離すこと。
(2)
皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発疹、発赤、硬結等)には注射しないこと。
(3)
他の薬剤と混合しないこと。
(4)
本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
(5)
注射器を分解しないこと。
(6)
アクテムラ皮下注162mgオートインジェクターの使用にあたっては、必ず添付の使用説明書を読むこと。
その他の注意
1.
本剤投与により抗トシリズマブ抗体が発現したとの報告がある(皮下注製剤の国内臨床試験(皮下投与群):205例中37例(18.0%)、点滴静注用製剤の国内臨床試験・疾患別、関節リウマチ:601例中18例(3.0%)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎注4):19例中1例(5.3%)、全身型若年性特発性関節炎注4):128例中11例(8.6%)、キャッスルマン病注4):35例中1例(2.9%))。
2.
本邦において、本剤と抗リウマチ薬(DMARD)との併用療法における有効性及び安全性は確立していない。なお、海外の関節リウマチを対象とした点滴静注用製剤の臨床試験では、トランスアミナーゼ値上昇の発現頻度が単剤療法時に比べてDMARD併用療法時で高かった。基準値の3倍を超えるALT(GPT)あるいはAST(GOT)上昇の発現頻度は、DMARD併用療法:8mg/kg+DMARD群103/1582例(6.5%)、プラセボ+DMARD群18/1170例(1.5%)、単剤療法:8mg/kg群6/288例(2.1%)、MTX単剤群14/284例(4.9%)で、これらの異常は一過性で肝炎や肝不全に伴うものではなかった。
3.
本剤の臨床試験は、国内では80週(投与期間2~92週の中央値)までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。なお、点滴静注用製剤の国内の臨床試験では2.9年(投与期間0.1~8.1年の中央値)まで、海外の関節リウマチを対象とした臨床試験では4.6年(投与期間0.0~5.8年の中央値)までの期間で実施されている。
4.
ヒト肝細胞を用いたin vitro試験において、IL-6が肝薬物代謝酵素(CYPs)発現を抑制することが報告されていることから1)-3)、ヒト肝細胞にIL-6をトシリズマブ共存下で添加したところ、CYPsの発現に変化は認められなかった4)。また、炎症反応を有する患者では、IL-6の過剰産生によりCYPsの発現が抑制されているとの報告がある5),6)。関節リウマチ患者を対象とした点滴静注用製剤による臨床試験において、投与後にIL-6阻害に伴ってCYP3A4、CYP2C19及びCYP2D6発現量が増加することが示唆された。このことから、過剰のIL-6によって抑制されていたCYPsの発現が本剤投与により回復し、炎症反応の改善に伴って併用薬の効果が減弱する可能性は否定できない7)。
5.
動物実験(マウス)において、gp130を介したシグナル伝達が心筋細胞の保護作用を有することが報告されている8)。gp130を介してシグナル伝達に関与するサイトカインは複数知られており、IL-6もその一つである。本薬はIL-6の作用を阻害することから、心臓への影響は否定できない。
6.
本薬はヒトとカニクイザルのIL-6レセプターに対しては中和活性を示すが、マウス及びラットのIL-6レセプターに対しては中和活性を示さない。このため、がん原性試験は実施されていない。
7.
関節リウマチを対象とした点滴静注用製剤の海外臨床試験において、8mg/kg投与時の重篤な感染症の発現頻度が体重100kgを超える患者群で高い傾向が認められたため、海外における1回投与量の上限は800mgとされている。
8.
関節リウマチを対象とした点滴静注用製剤の海外臨床試験において、因果関係は不明であるが脱髄関連疾患が認められたとの報告がある。
注4)本剤では承認外である。
薬物動態
関節リウマチ患者での薬物動態
(1) 単回投与試験9)
関節リウマチ患者を対象にトシリズマブ81mg又は162mgを腹部に皮下投与した。血清中トシリズマブ濃度推移を図1、薬物動態パラメータを表1に示した。

図1 関節リウマチ患者におけるトシリズマブ単回皮下投与後の血清中濃度推移(平均値+SD)
(81mg投与群:n=8、162mg投与群:n=12又は8(投与後17日目のみ))
(2) 反復投与試験10)
関節リウマチ患者を対象とした二重盲検比較試験において、トシリズマブ162mg/2週皮下注(皮下投与群)及びトシリズマブ8mg/kg/4週点滴静注(点滴静注群)の24週までの血清中トシリズマブのトラフ濃度推移を図2に示した。初回投与24週後の血清中トシリズマブ濃度は10.6±7.8μg/mL(皮下投与群、平均値±SD)及び12.4±7.9μg/mL(点滴静注群)であった。

図2 関節リウマチ患者におけるトシリズマブ反復投与時の血清中トラフ濃度推移(平均値±SD)
(皮下投与群:n=141、点滴静注群:n=147(24週時))
薬物動態の表
表1 単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量(mg) |
例数 |
Tmax
(day) |
Cmax
(μg/mL) |
T1/2注5)
(day) |
AUCfinite
(μg・day/mL) |
81 |
8 |
2.7±1.4 |
3.4±4.3 |
N.A. |
21.4±33.3 |
162 |
12 |
4.6±2.4 |
10.9±5.6 |
1.6±0.2# |
96.7±53.7 |
(平均値±SD、N.A.:算出せず、#:n=11)
注5)トシリズマブの体内動態は非線形性であり、血清中トシリズマブ濃度が低下した消失速度が速い相での消失半減期を算出した。
※ 本剤の承認用量は1回162mgを2週間隔で皮下注射である(【用法・用量】の項参照)。
臨床成績
1. 第III相二重盲検並行群間比較試験11)
1剤以上のDMARDで効果不十分な関節リウマチ患者を対象とし、トシリズマブ162mg/2週皮下注(皮下投与群)又はトシリズマブ8mg/kg/4週点滴静注(点滴静注群)を24週間投与する二重盲検比較試験(非劣性試験)を実施した。二重盲検比較試験終了後、162mg/2週皮下注を非盲検下で継続投与した。成績は以下のとおりであった。
(1) 症状の緩和(点滴静注用製剤との比較)
初回投与24週後のACR基準#120%、50%及び70%改善頻度を下記の表2に示す。ACR基準20%改善頻度は、皮下投与群で79.2%であったのに対し、点滴静注群で88.5%であった。(群間差注6):-9.4%、95%信頼区間:-17.6%、-1.2%、非劣性の限界値:-18%)
(2) 長期投与による症状の緩和
本剤の非盲検下での継続投与(例数:147例#2)において、初回投与72週後でのACR基準#120%、50%及び70%改善頻度はそれぞれ89.1%、73.5%及び56.5%であった。
#1 アメリカリウマチ学会(ACR)の臨床的改善の評価基準
#2 本試験にて皮下投与群に割付けられ初回投与72週後に有効性評価できた症例
2. 海外第III相二重盲検並行群間比較試験12)
1剤以上のDMARDで効果不十分な関節リウマチ患者を対象とし、DMARD併用下でトシリズマブ162mg/2週皮下注(例数:437例)又はプラセボ(例数:219例)を24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。成績は以下のとおりであった。
(1) 症状の緩和
初回投与24週後のACR基準20%改善頻度は、プラセボ群31.5%に対し、本剤投与群で60.9%と有意に高かった(P<0.0001)。
(2) 関節の構造的損傷の防止
投与前から24週までの関節破壊進展を手及び足のX線スコア(Modified Sharp Score)で評価した結果、Totalスコアにおいて、プラセボ群で1.23悪化したのに対して、本剤投与群は0.62であり、有意に関節破壊の進行が抑制された(P=0.0149、van Elteren解析)。
3. (参考)第III相無作為割付並行群間比較試験13):点滴静注用製剤
DMARDあるいは免疫抑制剤に効果不十分な関節リウマチ患者を対象とし、トシリズマブ8mg/kg/4週の点滴静注又は既存治療(DMARDあるいは免疫抑制剤の治療)を52週間継続する無作為割付群間比較試験を実施した。成績は以下のとおりであった。
関節の構造的損傷の防止
投与前から52週までの関節破壊進展を手及び足のX線スコア(Modified Sharp Score)で評価した結果を下表に示す。Totalスコアにおいて、既存治療で6.12悪化したのに対して、本剤投与群は2.34であり、有意に関節破壊の進行が抑制された(P=0.001)。
(表3)
4. 海外臨床試験(点滴静注用製剤)における悪性腫瘍発現頻度14)
海外の関節リウマチ患者を対象とした二重盲検比較試験における悪性腫瘍の発現率は、本剤投与群では1.60/100人・年(95%信頼区間:1.04-2.37、投与期間の中央値:0.5年、被験者数:2,644例、延べ投与:1,560人・年)、比較対照薬投与群(メトトレキサートあるいはDMARD)では1.48/100人・年(95%信頼区間:0.74-2.65、投与期間の中央値:0.5年、被験者数:1,454例、延べ投与:743人・年)であった。二重盲検比較試験を含む海外長期継続投与試験における悪性腫瘍の発現率は、1.62/100人・年(投与期間の中央値:4.6年、被験者数:4,009人、延べ投与:14,994人・年)であった。
表2 初回投与24週後のACR基準20%、50%及び70%改善頻度
例数 |
点滴静注群
156 |
皮下投与群
159 |
群間差注6)
[95%信頼区間] |
ACR20 |
88.5% |
79.2% |
-9.4%
[-17.6;-1.2] |
ACR50 |
67.3% |
63.5% |
-4.3%
[-14.7;6.0] |
ACR70 |
41.0% |
37.1% |
-3.8%
[-14.5;6.8] |
注6)群間差(皮下投与群―点滴静注群)は登録時の体重(60kg未満、60kg以上)と抗TNF製剤の前治療の有無を層別因子とし、Mantel-Haenszel法を用いて調整した。
表3 投与52週後のModified Sharp法による各スコアの変化量
例数
|
既存治療
143 |
トシリズマブ
157 |
P値 |
骨びらん |
3.21(1.0) |
0.85(0.0) |
<0.001 |
関節裂隙狭小化 |
2.91(1.0) |
1.49(0.0) |
0.024 |
Total |
6.12(2.5) |
2.34(0.5) |
0.001 |
( )内は中央値
薬効薬理
1.
本薬はin vitroにおいて、可溶性及び膜結合性IL-6レセプターに結合してそれらを介したIL-6の生物活性の発現を抑制した15)。
2.
本薬は、カニクイザルに投与されたヒトIL-6の活性発現を抑制した16)。
3.
本薬は、カニクイザルコラーゲン誘発関節炎において、関節炎発症前からの投与により関節腫脹の発現を抑制するとともに、関節炎発症後の投与により関節の腫脹を改善した17),18)。
4.
抗マウスIL-6レセプター抗体は、IL-6トランスジェニックマウスでの貧血状態、蛋白尿、高γグロブリン血症等の所見の発現を抑制し、生存日数を延長させた19)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トシリズマブ(遺伝子組換え)
(Tocilizumab(Genetical Recombination))(JAN)
構造式
アミノ酸214個の軽鎖2分子とアミノ酸447、448(主成分)又は449個の重鎖2分子からなる糖蛋白質
分子式
軽鎖(C1033H1606N278O337S6)
重鎖(C2181H3398N582O672S15:主成分)
分子量
約148,000
取扱い上の注意
光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。また、外箱開封後も光を遮り保存すること。
包装
アクテムラ皮下注162mgシリンジ:1シリンジ
アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター:1オートインジェクター
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Abdel-Razzak Z, et al.:Mol Pharmacol:44, 707(1993)
2)
Muntane-Relat J, et al.:Hepatology:22, 1143(1995)
3)
Pascussi JM, et al.:Biochem Biophys Res Commun:274, 707(2000)
4)
社内資料:ヒト肝細胞での薬物代謝酵素発現
5)
Rivory LP, et al.:Br J Cancer:87, 277(2002)
6)
Warren GW, et al.:J Interferon Cytokine Res.:21, 821(2001)
7)
寺尾 公男,他:臨床薬理, 38 Suppl, S236(2007)
8)
Hirota H, et al.:Cell:97, 189(1999)
9)
社内資料:関節リウマチ患者を対象とした第I/II相臨床試験(MRA227JP試験)における薬物動態
10)
社内資料:関節リウマチ患者を対象とした第III相臨床試験(MRA229JP試験)における薬物動態
11)
社内資料:関節リウマチ患者を対象とした第III相二重盲検並行群間比較試験(MRA229JP試験)
12)
社内資料:関節リウマチ患者を対象とした海外第III相二重盲検並行群間比較試験(NA25220試験)
13)
Nishimoto N, et al.:Ann Rheum Dis.:66, 1162(2007)
14)
社内資料:海外臨床試験(点滴静注用製剤)における悪性腫瘍発現頻度
15)
Mihara M, et al.:Int Immunopharmacol:5, 1731(2005)
16)
Shinkura H, et al.:Anticancer Research:18, 1217(1998)
17)
Mihara M, et al.:Clin Immunol:98, 319(2001)
18)
Uchiyama Y, et al.:Biol Pharm Bull:31, 1159(2008)
19)
Katsume A, et al.:Cytokine:20, 304(2002)
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-189706
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製造販売元
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東京都中央区日本橋室町2-1-1