DOCETAXEL(Docetaxel Hydrate)ドセタキセル点滴静注用20mg「サワイ」/ドセタキセル点滴静注用80mg「サワイ」
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作成又は改訂年月
*2015年2月改訂(第2版)
2013年10月作成
日本標準商品分類番号
87424
薬効分類名
タキソイド系抗悪性腫瘍剤
承認等
販売名
ドセタキセル点滴静注用20mg「サワイ」
販売名コード
4240405A1053
承認・許可番号
承認番号
22500AMX01536000
商標名
DOCETAXEL
薬価基準収載年月
2013年12月
販売開始年月
2013年12月
貯法・使用期限等
貯法
遮光室温保存
「取扱い上の注意」の項参照
使用期限
外箱等に表示
基準名
*日本薬局方
注射用ドセタキセル
規制区分
毒薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成及び性状の表
有効成分・含量 |
添加物 |
性状 |
pH |
浸透圧比♯2 |
1バイアル(2mL)中♯1
日局ドセタキセル水和物 85.35mg
(ドセタキセルとして80mg) |
ポリソルベート80 2.08g
pH調節剤 |
黄色~だいだい黄色澄明の粘稠性のある液 |
3.0~4.0
[10w/v%水溶液] |
約1
(生理食塩液に対する比) |
添付溶解液(13%エタノール溶液)
成分・含量 |
性状 |
1バイアル(6mL)中♯1
日局エタノール 764.4mg |
無色澄明の液 |
♯1 本剤は調製時の損失を考慮に入れ、過量充てんされている。
♯2 添付溶解液で溶解後、生理食塩液500mLに混和したとき
警告
本剤の用量規制因子(Dose Limiting Factor,DLF)は好中球減少であり、本剤の使用により重篤な骨髄抑制(主に好中球減少)、重症感染症等の重篤な副作用及び本剤との因果関係が否定できない死亡例が認められている。したがって、本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、下記の患者には投与しないなど適応患者の選択を慎重に行うこと。
(1)
重篤な骨髄抑制のある患者
(2)
感染症を合併している患者
(3)
発熱を有し感染症の疑われる患者
治療の開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の使用にあたっては添付文書を熟読のこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な骨髄抑制のある患者〔重症感染症等を併発し、致命的となることがある。〕
2.
感染症を合併している患者〔感染症が増悪し、致命的となることがある。〕
3.
発熱を有し感染症の疑われる患者〔感染症が増悪し、致命的となることがある。〕
4.
本剤又はポリソルベート80含有製剤注)に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者〔本剤はポリソルベート80を含有する。〕
注)主なポリソルベート80含有製剤についてはインタビューフォームをご参照ください。
5.
妊婦又は妊娠している可能性のある患者(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能又は効果/用法及び用量
乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして60mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75mg/m2とする。
卵巣癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75mg/m2とする。
食道癌、子宮体癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
前立腺癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして75mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
子宮体癌での本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立されていない。
2.
前立腺癌では本剤は外科的又は内科的去勢術を行い、進行又は再発が確認された患者を対象とすること。
用法及び用量に関する説明
注射液の調製法
≪詳しい調製法については、最終頁の調製方法をご参照ください。≫
本剤は調製時の損失を考慮に入れ、表に示すように過量充てんされているので、必ず下記調製法[1]に従い注射液の調製を行うこと。ただし、添付溶解液にはエタノールが含まれているので、アルコールに過敏な患者に投与する場合は、調製法[2]の方法によること。
調製法[1]
(1)
ドセタキセル点滴静注用バイアルに、添付溶解液全量(80mgバイアル;約7mL、20mgバイアル;約1.8mL)を加えて澄明で均一になるまでゆっくりと泡立てないように転倒混和する(約45秒間)。溶液が均一であることを確認後、ある程度泡が消えるまで数分間放置する。この溶液(プレミックス液)は1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。
(2)
プレミックス液から必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。
調製法[2]
(1)
ドセタキセル点滴静注用の80mgバイアルには7mL、20mgバイアルには1.8mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液を加え、液が澄明で均一になるまで激しく振り混ぜる。
ある程度泡が消えるまでバイアルを倒立させて放置(約10分間)し、溶液が均一であることを確認する。均一でない場合は均一になるまで混和を繰り返す。この溶液(プレミックス液)は1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。
(2)
プレミックス液から必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。
実充てん量 |
実充てん量 |
バイアル |
80mg製剤 |
20mg製剤 |
ドセタキセル点滴静注用「サワイ」
(ドセタキセルとして) |
2.36mL
(94.4mg) |
0.61mL
(24.4mg) |
添付溶解液
(日局エタノール) |
7.33mL
(933.8mg) |
1.98mL
(252.3mg) |
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤の投与にあたっては、特に本剤の用量規制因子である好中球数の変動に十分留意し、投与当日の好中球数が2,000/mm3未満であれば、投与を延期すること。
2.
本剤の投与量が増加すると、骨髄抑制がより強くあらわれるおそれがあるので注意すること。(「重要な基本的注意」の項1.及び「重大な副作用」の項1.参照)
3.
本剤の投与時には、通常、添付溶解液全量に溶解して10mg/mLの濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに250又は500mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和し、1時間以上かけて点滴静注すること。(「注射液の調製法」及び「適用上の注意」の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
骨髄抑制のある患者〔骨髄抑制が増悪し、重症感染症等を併発するおそれがある。〕
2.
間質性肺炎又は肺線維症のある患者〔症状を増悪させるおそれがある。〕
3.
肝障害のある患者〔本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。(「その他の注意」の項2.参照)〕
4.
腎障害のある患者〔腎障害を増悪させるおそれがある。〕
5.
浮腫のある患者〔浮腫を増悪させるおそれがある。〕
6.
妊娠する可能性のある患者(「重要な基本的注意」の項5.参照)
重要な基本的注意
1.
重篤な骨髄抑制が高頻度に起こるので、下記の点に留意すること。
(1)
投与後は頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
(2)
特に感染症の発現に十分注意し、好中球減少、CRP上昇、発熱等の有無を確認する。発症又は増悪した場合には、直ちに抗生剤の投与等の適切な処置を行うこと(日本人を対象とした他社の臨床試験において、前立腺癌患者(70mg/m2)では他癌腫の患者(70mg/m2)よりも感染症等の発現割合が高かった)。
2.
脳転移病巣に対する効果は確立されていないので、脳転移病巣に対しては他の治療法を考慮すること。
3.
本剤による重篤な過敏症状があらわれることがあるので、特に本剤の初回及び第2回目の投与時は、観察を十分に行うこと。過敏症状は本剤の投与開始から数分以内に起こることがあるので、本剤投与開始後1時間は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数等)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。重篤な過敏症状(呼吸困難、気管支痙攣、血圧低下、胸部圧迫感、発疹等)が認められた場合は、直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、重篤な過敏症状が発現した症例には、本剤を再投与しないこと。(「重大な副作用」及び「その他の注意」の項1.参照)
4.
心・循環器系に対する観察を十分に行うこと。(ときに心不全、血圧低下、不整脈、動悸等があらわれることがある。)
5.
動物実験(ラット)では、胚・胎児毒性(胚吸収・胎児死亡、発育遅延等)が認められ、催奇形性を示唆する所見も認められているので、以下の点に留意すること。
(1)
投与開始にあたっては、妊娠していないことを確認すること。
(2)
妊娠する可能性のある患者に対しては投与しないことを原則とする。やむを得ず投与する場合には、本剤が妊娠の維持、胎児の発育等に障害を与える可能性があることを十分に説明し、避妊を徹底するよう指導すること。
(3)
本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には直ちに投与を中止すること。
6.
動物実験(マウス、ラット、イヌ)において精巣毒性が認められているので、生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。
相互作用
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されるので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には注意して投与すること。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
他の抗悪性腫瘍剤 |
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察し、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
共に骨髄抑制作用を有する。 |
放射線照射 |
放射線療法を併用している患者で放射線肺臓炎があらわれることがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察し、肺陰影等が認められた場合には、本剤の投与及び放射線照射を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
機序不明 |
放射線照射 |
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察し、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
共に骨髄抑制作用を有する。 |
アゾール系抗真菌剤
ミコナゾール等
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
シクロスポリン
ミダゾラム |
副作用が強くあらわれることが考えられる。 |
これらの薬剤がCYP3A4を阻害又はドセタキセルとの競合により、ドセタキセルの代謝が阻害され、その結果としてドセタキセルの血中濃度が上昇することが考えられる。 |
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
(頻度不明)
1.
骨髄抑制:汎血球減少、白血球減少、好中球減少(発熱性好中球減少を含む)、ヘモグロビン減少、血小板減少等があらわれるので、血液検査を十分に行い、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用に関しても考慮すること。
2.
ショック症状・アナフィラキシー:呼吸困難、気管支痙攣、血圧低下、胸部圧迫感、発疹等のショック症状・アナフィラキシーがあらわれることがあるので、十分に観察を行い、関連する徴候が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
黄疸、肝不全、肝機能障害:黄疸、肝不全、AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-Pの著しい上昇等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、肝機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4.
急性腎不全:急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5.
間質性肺炎、肺線維症:間質性肺炎、肺線維症があらわれることがある。(「その他の注意」の項5.参照)また、放射線療法を併用している患者で同様の臨床症状(放射線肺臓炎)があらわれることがある。(「相互作用」の項参照)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
6.
心不全:心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7.
播種性血管内凝固症候群(DIC):播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので、血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノーゲン濃度等の血液検査を適宜行うこと。症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.
腸管穿孔、胃腸出血、虚血性大腸炎、大腸炎:腸管穿孔、胃腸出血、虚血性大腸炎、大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、吐血、下血、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
9.
イレウス:イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10.
急性呼吸促迫症候群:急性呼吸促迫症候群があらわれることがあるので、呼吸障害等がみられた場合には観察を十分に行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血清アミラーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
12.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑等の水疱性・滲出性皮疹があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
13.
心タンポナーデ、肺水腫、浮腫・体液貯留:心タンポナーデ、肺水腫、緊急ドレナージを要する胸水、腹水等の重篤な浮腫・体液貯留が報告されている。(「その他の注意」の項1.参照)
14.
心筋梗塞、静脈血栓塞栓症:心筋梗塞、静脈血栓塞栓症が報告されている。
15.
感染症:敗血症、肺炎等の感染症が報告されている。異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項1.参照)
16.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、低浸透圧血症を伴う低ナトリウム血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、痙攣、意識障害等の症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
17.
その他、重篤な口内炎等の粘膜炎、血管炎、末梢神経障害、四肢の脱力感等の末梢性運動障害、Radiation Recall現象が報告されている。
その他の副作用
頻度不明 |
消化器 |
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、便潜血、腹痛、腹部膨満感、便秘、舌炎、口内乾燥、胃・十二指腸潰瘍、食道炎、しゃっくり |
過敏症 |
アレルギー、発赤、そう痒感、潮紅 |
皮膚 |
脱毛、皮疹、色素沈着、爪疾患(爪剥離、変形、変色、爪下出血、爪下血腫、爪下膿瘍等)、皮膚剥離、手足症候群、皮膚エリテマトーデス、強皮症様変化 |
精神神経系 |
しびれ感、頭痛、意識喪失、見当識障害、めまい、昏迷、難聴、耳鳴、味覚異常、不眠、傾眠 |
眼 |
羞明、視力異常、視覚障害(閃光、光のちらつき、暗点)、流涙、結膜炎、涙道閉塞、黄斑浮腫 |
神経・筋症状 |
筋肉痛、関節痛、筋力低下・脱力感、背部痛、痙攣 |
肝臓 |
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇 |
腎臓 |
蛋白尿、K・Na・Cl・Caの異常、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿糖、血尿、乏尿、頻尿 |
循環器 |
血圧低下、血圧上昇、不整脈、動悸、頻脈 |
呼吸器 |
呼吸困難、咽頭炎、咳嗽、血痰 |
その他 |
全身倦怠感、発熱、浮腫、総蛋白・アルブミン異常、A/G比・CK(CPK)異常、静脈炎、疼痛、胸痛、全身痛、熱感、腰痛、鼻出血、ほてり、脱水 |
頻度不明 |
消化器 |
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、便潜血、腹痛、腹部膨満感、便秘、舌炎、口内乾燥、胃・十二指腸潰瘍、食道炎、しゃっくり |
過敏症 |
アレルギー、発赤、そう痒感、潮紅 |
皮膚 |
脱毛、皮疹、色素沈着、爪疾患(爪剥離、変形、変色、爪下出血、爪下血腫、爪下膿瘍等)、皮膚剥離、手足症候群、皮膚エリテマトーデス、強皮症様変化 |
精神神経系 |
しびれ感、頭痛、意識喪失、見当識障害、めまい、昏迷、難聴、耳鳴、味覚異常、不眠、傾眠 |
眼 |
羞明、視力異常、視覚障害(閃光、光のちらつき、暗点)、流涙、結膜炎、涙道閉塞、黄斑浮腫 |
神経・筋症状 |
筋肉痛、関節痛、筋力低下・脱力感、背部痛、痙攣 |
肝臓 |
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇 |
腎臓 |
蛋白尿、K・Na・Cl・Caの異常、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿糖、血尿、乏尿、頻尿 |
循環器 |
血圧低下、血圧上昇、不整脈、動悸、頻脈 |
呼吸器 |
呼吸困難、咽頭炎、咳嗽、血痰 |
その他 |
全身倦怠感、発熱、浮腫、総蛋白・アルブミン異常、A/G比・CK(CPK)異常、静脈炎、疼痛、胸痛、全身痛、熱感、腰痛、鼻出血、ほてり、脱水 |
上記のような副作用が認められた場合には、減量・休薬・中止など適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
副作用の発現に注意し、投与間隔及び投与量に留意すること。副作用があらわれた場合には、休薬、投与間隔の延長等の適切な処置を行うこと。〔一般に高齢者では生理機能が低下している。〕
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある患者には投与しないこと。〔動物実験(ラット)で胚・胎児致死作用、胎児及び出生児の発育・発達遅延、催奇形性を示唆する所見が認められている。〕
2.
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与時の解毒剤は知られていない。過量投与時に予期される主な合併症は、骨髄抑制、末梢性神経毒性及び粘膜炎である。過量投与が行われた場合には、患者を特別な設備下で管理し、バイタルサイン等を十分に監視すること。
適用上の注意
1.
調製時:
(1)
溶解液に溶解後は速やかに輸液(生理食塩液又は5%ブドウ糖液)に混和すること。輸液と混和した後は速やかに使用すること。
(2)
他剤との混注を行わないこと。
(3)
本剤が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合には、直ちに多量の流水で洗い流すこと。
2.
投与時:
(1)
必ず1時間以上かけて点滴静脈内投与すること。皮下、筋肉内には投与しないこと。
(2)
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死をおこすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
その他の注意
1.
外国における前投与:
ドセタキセルの1回最大投与量を100mg/m2としている欧米においては、浮腫の発現率及び重篤度が高く、浮腫並びに過敏症状の軽減を目的として、副腎皮質ホルモン剤による前投与が行われている。前投与としては、デキサメタゾン(16mg/日、8mg1日2回)等を、本剤の投与前日から3日間、単独経口投与することが望ましいとされている。なお、前投与を実施した症例においても、重篤な過敏症(アナフィラキシーショック)による死亡例が報告されている。
また、浮腫に関しては以下のような報告がある。
○ドセタキセル100mg/m2を3週間間隔で点滴静脈内投与したところ、上記前投与を受けた患者では累積投与量(中央値)として818.9mg/m2以上、受けない患者では489.7mg/m2以上投与したときに浮腫の発現率が高くなった。
○本剤の投与を中止すると、浮腫は徐々に軽快する。浮腫は下肢から発現し、3kg以上の体重増加を伴う全身性のものになる場合があるが、急性の乏尿や低血圧は伴わない。まれに脱水症及び肺水腫が報告されている。
2.
外国での肝機能異常患者への投与:
外国において、ドセタキセル100mg/m2を3週間間隔で点滴静脈内投与したところ、血中アルカリホスファターゼ高値(正常域上限の2.5倍以上)を伴うトランスアミナーゼ高値(正常域上限の1.5倍以上)患者、又は血中ビリルビン高値(正常域上限以上)患者にドセタキセルを投与した場合、重篤な副作用の発現や副作用の増強・増悪が認められている。報告された副作用は、Grade4の好中球減少、発熱性好中球減少、感染症、重篤な血小板減少、重篤な口内炎、並びに皮膚剥離を伴う皮膚症状等であり、治療関連死の危険性が増加すると警告されている。
3.
本剤と他の抗悪性腫瘍剤や放射線療法を併用した患者で、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
4.
変異原性試験のうち、チャイニーズハムスターの卵巣由来培養細胞(CHO-K1)を用いる染色体異常試験及びマウスを用いる小核試験において、いずれも陽性の結果が報告されている。
5.
国内での非小細胞肺癌に対する35mg/m2の週1回投与法(1日1回35mg/m2、1、8、15日目投与、4週毎に繰り返し)による他社の第II相臨床試験において、間質性肺炎が48例中6例に認められた。(承認外用法・用量)
薬効薬理
ドセタキセルはタキサン化合物である。タキサン化合物は微小管を形成するチュブリンの重合を促進して微小管を過剰形成・安定化させ、脱重合を抑制することによって細胞分裂を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ドセタキセル水和物(Docetaxel Hydrate)
化学名
(1S,2S,3R,4S,5R,7S,8S,10R,13S)-4-Acetoxy-2-benzoyloxy-5,20-epoxy-1,7,10-trihydroxy-9-oxotax-11-en-13-yl(2R,3S)-3-(1,1-dimethylethyl)oxycarbonylamino-2-hydroxy-3-phenylpropanoate trihydrate
分子式
C43H53NO14・3H2O
分子量
861.93
構造式

性状
ドセタキセル水和物は白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド又はエタノール(99.5)に溶けやすく、メタノール又はジクロロメタンにやや溶けやすく、水にはほとんど溶けない。光によって分解する。
取扱い上の注意
・取扱い上の注意
包装開封後もバイアルを箱に入れて保存すること。
・安定性試験
バイアルに充てんしたものを用いた長期保存試験(25℃60%RH、2年間)の結果、通常の市場流通下において2年間安定であることが確認された。1)、2)
包装
ドセタキセル点滴静注用20mg「サワイ」:
1バイアル(添付溶解液付:13%エタノール溶液 1.5mL)
ドセタキセル点滴静注用80mg「サワイ」:
1バイアル(添付溶解液付:13%エタノール溶液 6mL)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]
2)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]
文献請求先
〔主要文献(社内資料を含む)は下記にご請求下さい〕
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
TEL:0120-381-999
FAX:06-6394-7355
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30
その他の説明
ドセタキセル点滴静注用20mg/80mg「サワイ」調製方法
本剤の最高用量は食道癌・子宮体癌では70mg/m2、その他の癌腫では75mg/m2です。
調製法[1] 添付溶解液を使用する場合
本剤の添付溶解液にはエタノールが含まれているので、アルコールに過敏な患者には使用しないこと。投与前に必ず問診等を実施してアルコール過敏の有無を確認し、アルコールに過敏な患者へ投与する場合は、下記の方法(調製法[2])で調製すること。
1.ドセタキセル点滴静注用「サワイ」と添付溶解液(80mg製剤又は20mg製剤)
ドセタキセル点滴静注用バイアルと添付溶解液を用意する。
2.調製用のシリンジとニードル
添付溶解液を全量抜き取るには、80mg製剤には10mLシリンジと18G~22Gニードルが、20mg製剤には2.5mL~5mLシリンジと21G~23Gニードルが推奨される。
3.添付溶解液の抜き取り
添付溶解液は、必ず全量(80mgバイアル;約7mL、20mgバイアル;約1.8mL)を抜き取り、ドセタキセル点滴静注用バイアルに注入する。抜き取る時は、バイアルを倒立させ斜めにし、バイアルの肩に溜めた溶解液を抜き取るようにする。

4.プレミックス液(ドセタキセル点滴静注用「サワイ」と添付溶解液の混合液)の調製
添付溶解液を注入した後、直ちにドセタキセル点滴静注用バイアルを澄明で均一になるまで、ゆっくりと泡立てないように転倒混和する(約45秒間)。

5.プレミックス液の内容確認
ドセタキセル点滴静注用バイアルの混和が終わったら、溶液が澄明で均一に混和していることを確認後、ある程度泡が消えるまで数分間放置する。均一でない場合は、均一になるまで混和を繰り返す。
このプレミックス液は、1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。
6.必要量の抜き取り
ドセタキセル点滴静注用の投与量に合わせ、必要量を注射筒で抜き取る。例えば、必要量が70mgのときには、プレミックス液を7mL抜き取る。
7.点滴用ボトルへの注入
抜き取ったプレミックス液を250mL又は500mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。(調製後は速やかに使用すること)
調製法[2] 添付溶解液を使用しない場合
<アルコールに過敏な患者へ投与する場合>
アルコールに過敏な患者へ投与する場合は、下記の方法により調製すること。
1.ドセタキセル点滴静注用「サワイ」(80mg製剤又は20mg製剤)と調製用輸液
ドセタキセル点滴静注用バイアルと調製用の生理食塩液又は5%ブドウ糖液を用意する。
2.生理食塩液又はブドウ糖液の注入
本剤は過量充てんされているため、80mgバイアルには7mL、20mgバイアルには1.8mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液を用いて溶解する。
3.プレミックス液(ドセタキセル点滴静注用「サワイ」と調製用輸液の混合液)の調製
ドセタキセル点滴静注用バイアルに生理食塩液又は5%ブドウ糖液を注入したら、直ちに激しく振り混ぜる。

4.プレミックス液の内容確認
ドセタキセル点滴静注用バイアルの混和が終わったら、ある程度泡が消えるまでバイアルを倒立させて放置(約10分間)し、溶液が澄明で均一に混和していることを確認する。均一でない場合(例えば、ゼリー様の塊が浮遊している場合など)、均一になるまで混和を繰り返す。
このプレミックス液は、1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。

5.必要量の抜き取り
ドセタキセル点滴静注用の投与量に合わせ、必要量を注射筒で抜き取る。例えば、必要量が70mgのときには、プレミックス液を7mL抜き取る。
6.点滴用ボトルへの注入
抜き取ったプレミックス液を250mL又は500mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。(調製後は速やかに使用すること)
調製時の注意事項:
1)プレミックス液調製後は速やかに輸液(生理食塩液又は5%ブドウ糖液)に混和すること。輸液と混和した後は速やかに使用すること。
2)他剤との混注を行わないこと。
3)本剤が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合には、直ちに多量の流水で洗い流すこと。
点滴投与時の留意事項:
エアー針をゴム栓に刺すとボトル内に気泡が発生することがあるので、エアー針はボトル上部に刺すこと。