本剤を併用する場合には、血糖降下作用の減弱により血糖が上昇する可能性があるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
[「薬物動態」の項参照]
機序・危険因子
上記薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
*国内で実施された臨床試験では、720例中86例(11.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は便秘14例(1.9%)、鼓腸11例(1.5%)、腹部膨満7例(1.0%)等であった。
重大な副作用
*低血糖症(0.7%)
本剤の投与により低血糖症があらわれることがある。なお、他のDPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症があらわれ、意識消失を来たす例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。
[「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「相互作用」の項参照]
重大な副作用(類薬)
**腸閉塞
腸閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
過敏症
頻度不明注)
蕁麻疹、血管浮腫、気管支収縮
代謝及び栄養障害
頻度不明注)
高トリグリセリド血症、高脂血症
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
0.3%以上
鼻咽頭炎
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
頻度不明注)
咳嗽
胃腸障害
0.3%以上
腹部膨満、便秘、鼓腸
胃腸障害
頻度不明注)
膵炎
*全身障害及び投与局所様態
0.3%以上
浮腫
臨床検査
0.3%以上
体重増加
注)海外で認められている副作用のため、頻度不明
高齢者への投与
高齢者への使用経験が少ないため、副作用発現に留意し、経過を十分観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与を考慮すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット及びウサギ)で、胎児への移行が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
[動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
1.症状
海外の臨床試験において、健康成人に600mg(通常の1日投与量の120倍)まで単回投与したところ、忍容性は良好であった。ヒトにおいて1回600mgを超える用量が投与された経験はない。
2.処置
過量投与が生じた場合は、一般的な対症療法(未吸収薬剤を消化管から除去するなど)を行い、臨床症状をモニタリングしながら、必要に応じて適切な処置を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1.血中濃度
(1)単回投与1)
日本人健康成人男性に、本剤1、2.5、5、10mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中濃度推移を図1に、血漿中未変化体の薬物動態パラメータを下記に示す。Cmax及びAUC0-tzは用量比以下の上昇を示した(本剤の国内承認用量は5mgである)。
図1 健康成人男性に空腹時単回経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差)
健康成人男性に空腹時単回経口投与後の血漿中薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]:AUC0-tz[nM・h]
1mg n=6:196(28.8)
2.5mg n=6:404(15.7)
5mg n=6:582(32.8)
10mg n=6:847(21.5)
パラメータ名[単位]:Cmax[nM]
1mg n=6:4.27(32.1)
2.5mg n=6:5.92(18.3)
5mg n=6:9.00(40.6)
10mg n=6:23.1(32.1)
パラメータ名[単位]:tmax[h]
1mg n=6:1.77(1.50-4.00)
2.5mg n=6:2.00(1.00-8.00)
5mg n=6:6.00(2.00-8.00)
10mg n=6:1.50(1.00-6.00)
パラメータ名[単位]:t1/2[h]
1mg n=6:104(14.0)
2.5mg n=6:96.9(13.3)
5mg n=6:105(8.26)
10mg n=6:113(18.4)
幾何平均値(幾何変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
(2)反復投与1)
日本人健康成人男性に、本剤5mgを空腹時1日1回12日間反復経口投与したときの血漿中濃度推移を図2に示す。投与3日後には見かけ上一定濃度となり、Cmax及びAUCτから算出した累積係数は1.4以下であった。
図2 健康成人男性に5mg空腹時反復経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値±標準偏差、n=6)
日本人2型糖尿病患者(159例)に本剤5mgを1日1回26週間投与したときのトラフ時の血漿中濃度の幾何平均値(幾何変動係数%)は6.42nM(33.0%)~7.15nM(30.5%)であった。2)
(3)食事の影響(外国人データ)3)
健康成人に、本剤5mgを食後に単回投与したとき、Cmaxは約15%低下した。空腹時投与に比べてtmaxは延長し、AUC0-72hには食事の影響はみられなかった。
本剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]:AUC0-72h[nM・h]
空腹時 n=31:229(25.9)
食後 n=32:236(20.0)
パラメータ名[単位]:Cmax[nM]
空腹時 n=31:7.04(34.0)
食後 n=32:5.97(19.5)
パラメータ名[単位]:tmax[h]
空腹時 n=31:1.02(0.517-8.00)
食後 n=32:2.99(0.500-8.00)
幾何平均値(幾何変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
2.吸収(外国人データ)4)
外国人健康成人男性に、本剤10mgを錠剤として経口投与したとき及び5mgを静脈内投与したとき(各10例)のデータを用いて絶対バイオアベイラビリティを算出した結果、約30%であった(母集団薬物動態解析による推定値)(本剤の国内承認用量は5mgである)。
3.分布
リナグ