第III相比較対照試験の98例に対する全般改善度は次のとおりであった.
治療終了時の血清脂質値の変化率の平均は,総コレステロール値で12.0%の低下,LDL-コレステロール値で21.9%の低下であり,HDL-コレステロール値は8.4%の上昇であった.
(2)
本剤の国内臨床症例における血清総コレステロール値の変動を食前後投与で比較すると次のようになった.
2. HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用14,15)
HMG-CoA還元酵素阻害剤プラバスタチンナトリウム単独使用例に本剤を併用したところ,本剤投与開始時に対する総コレステロール及びLDL- コレステロールの低下率は,家族性高コレステロール血症患者12例において9~13%及び14~18%,冠動脈疾患を合併した高コレステロール血症患者8例において11~16%及び19~27%であった.
臨床成績の表
対象疾患名 改善率(%)〔改善以上〕
高コレステロール血症 71.4%(70例/98例)
投与方法 第I相試験 第II相以降の全試験 食後投与オープン試験
食前投与 18.9%低下(n=6) 10.9%低下(n=534) -
食後投与 16.5%低下(n=6) - 13.5%低下(n=31)
薬効薬理
1. 作用機序16~18)
コレスチミドは消化管で胆汁酸を吸着し,その排泄促進作用により胆汁酸の腸肝循環を阻害し,肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を亢進する.その結果,肝のコレステロールプールが減少するため,この代償作用として,肝LDL受容体の増加による血中LDLの取込み亢進が生じ,血清総コレステロールが減少する.なお,外因性コレステロールの直接の吸着あるいは胆汁酸ミセル形成阻害によるコレステロール吸収阻害も血清総コレステロールの減少に寄与するものと考えられている.
2. 胆汁酸及びコレステロール吸着作用18)
In vitroでコレスチミドは各種胆汁酸を吸着した.また,胆汁酸・脂質複合体ミセルに対してもその構成成分(コール酸,オレイン酸,モノオレイルグリセロール,リン脂質,コレステロール)を吸着した.
3. 胆汁酸及びコレステロールの吸収抑制,排泄促進作用16,17)
ラットへの経口投与により門脈血中総胆汁酸濃度と腹部リンパ管内の総コレステロールは有意に減少した.また,ウサギヘの経口投与により糞中胆汁酸排泄量の有意な増加と糞中コレステロール排泄量の有意な増加が認められた.
4. LDL-レセプターに対する作用16,17)
ウサギヘの経口投与により肝臓中のLDL-レセプターmRNA発現は増加した.また,ハムスターへの経口投与によりLDLクリアランスが増加した.
5. 血中コレステロール低下作用16,17)
(1)
コレステロール食を負荷したラット及びウサギにおいて,血中コレステロール低下作用が認められ,ウサギにおいてはその作用に基づくと考えられる動脈壁脂質沈着抑制作用が認められた.
(2)
コレステロール食負荷ウサギにおいて,プラバスタチンナトリウム(HMG-CoA還元酵素阻害剤)と併用することにより血中コレステロール低下作用に対する併用効果が認められた.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
コレスチミド,Colestimide(JAN),Colestilan(INN)
化学名
2-Methylimidazole-epichlorohydrin copolymer
構造式

【I】
【II】
本品は不規則に入り乱れた複雑な立体構造を有するが【I】の基本構造で示され,また,その構造は部分的には【II】で示される.
性状
白色~微黄白色の粉末でにおいはなく,各種の溶媒にほとんど溶けない.
包装
コレバイン錠500mg:100錠(10錠×10)
コレバイン錠500mg:500錠(10錠×50)
コレバインミニ83%:1.81g×70包
コレバインミニ83%:1.81g×280包
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
川井瑞恵 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-607-S-611
2)
井澤 修 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-613-S-620
3)
**Takikawa, H. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2001;39(12):558-560
4)
小松貞子 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-639-S-650
5)
小林美苗 他:臨床医薬 1996;12(7):1203-1215
6)
中谷矩章 他:臨床医薬 1996;12(7):1217-1234
7)
MCI-196研究会:臨床医薬 1996;12(7):1235-1262
8)
MCI-196研究会:臨床医薬 1996;12(7):1263-1304
9)
MCI-196研究会:臨床医薬 1996;12(8):1641-1692
10)
MCI-196研究会:臨床医薬 1996;12(7):1305-1347
11)
MCI-196東京・神奈川地区研究会:臨床医薬 1996;12(7):1389-1409
12)
MCI-196東北地区研究会:臨床医薬 1996;12(7):1411-1434
13)
MCI-196広島地区研究会:臨床医薬 1996;12(7):1349-1359
14)
MCI-196北陸地区研究会:臨床医薬 1996;12(7):1435-1462
15)
MCI-196北陸地区研究会:臨床医薬 1996;12(7):1463-1489
16)
三津家正之 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-577-S-584
17)
三津家正之 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-585-S-594
18)
島田浩志 他:薬理と治療 1996;24(Suppl.4):S-601-S-606
文献請求先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
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