あるので,併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること.
機序・危険因子
ランタンと難溶性の複合体を形成し,上記薬剤の腸管からの吸収を妨げることが考えられる.
副作用
副作用等発現状況の概要
**国内で実施された透析中の慢性腎不全患者を対象とした臨床試験において,305例中82例(26.9%)に副作用が認められた.主な副作用の発現例数(発現率)は,嘔吐38例(12.5%),悪心31例(10.2%),胃不快感9例(3.0%),便秘7例(2.3%)であった.(承認時,短期併合データ)また,透析中の慢性腎不全患者を対象とした3年間長期投与試験では,42例中26例(61.9%)に副作用が認められた.主な副作用の発現例数(発現率)は,嘔吐16例(38.1%),悪心15例(35.7%),胃不快感9例(21.4%),上腹部痛7例(16.7%),消化不良4例(9.5%),下痢3例(7.1%)であった.
国内で保存期の慢性腎臓病患者を対象として実施された比較試験において,87例中20例(23.0%)に副作用が認められた.主な副作用の発現例数(発現率)は,便秘9例(10.3%),悪心9例(10.3%),嘔吐5例(5.7%)であった.また,保存期の慢性腎臓病患者を対象とした長期投与試験では,123例中29例(23.6%)に副作用が認められた.主な副作用の発現例数(発現率)は,便秘10例(8.1%),悪心7例(5.7%),嘔吐6例(4.9%)であった.(効能追加承認時)注1),注2)
重大な副作用
1. 腸管穿孔,イレウス
(頻度不明)
腸管穿孔,イレウスがあらわれることがあるので,観察を十分に行うこと.これらの病態を疑わせる持続する腹痛,嘔吐等の異常が認められた場合には,投与を中止し,腹部の診察やCT,腹部X線,超音波等を実施し,適切な処置を行うこと.また,これらの中には画像検査等により本剤が噛み砕かれていない状態で腸管内に認められた例も報告されている.
2. 消化管出血,消化管潰瘍
(頻度不明)
吐血,下血及び胃,十二指腸,結腸等の潰瘍があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,腹部の診察や内視鏡,腹部X線,CT等を実施し,投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.
その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には,必要に応じ,減量,投与中止等の適切な処置を行うこと.
消化器
5%以上
嘔吐,悪心,便秘
消化器
1~5%未満
胃不快感,腹痛,下痢,逆流性食道炎,腹部膨満感,食欲不振,消化不良
消化器
1%未満
腹部不快感,放屁増加,胃潰瘍,胃炎
過敏症
1%未満
発疹,そう痒
肝臓
1%未満
AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇
血液
1~5%未満
貧血
血液
1%未満
好酸球増多
内分泌
1~5%未満
副甲状腺機能亢進症
その他
1~5%未満
Al-P上昇
その他
1%未満
胸痛,背部痛,けん怠感,めまい,高カルシウム血症,低リン血症
*その他
頻度不明
低カルシウム血症
**注1)発現頻度は透析中の慢性腎不全患者及び保存期の慢性腎臓病患者を対象とした国内臨床試験に基づく
**注2)頻度不明:国内外の自発報告等に基づく
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,投与しないことが望ましい.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け,やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること.[ヒトにおいてランタンの乳汁への移行が報告されている2).]
小児等への投与
小児等には投与しないことが望ましい.[小児等に対する安全性は確立していない.]
適用上の注意
1. 服用時
本剤は口中で十分に噛み砕いて服用させること.[十分に噛み砕かずに服用し,本剤を誤嚥した症例が報告されている.腸管穿孔,イレウスを起こした例の中には噛み砕いていない例もある.]
2. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.]
その他の注意
1.
本剤服用患者の腹部X線撮影時には,ランタンが存在する胃腸管にバリウム様の陰影を認めることがある.
2.
動物における薬物動態試験において,本剤の反復経口投与により,他の組織に比べて特に骨,消化管及び肝臓でランタン濃度が高く推移し,消失も遅延していた.
薬物動態
1. 吸収・排泄
日本人健康成人男子8例に本剤250及び1,000mgを単回投与した際のランタンの薬物動態学的パラメータを表に示した.単回投与時における尿中ランタン濃度はほとんどの被験者で定量下限未満であった3).
(表参照)
日本人健康成人男子9例に本剤1,000mgを1日3回10日間反復投与した時の定常状態における血漿中ランタン濃度は,投与後6時間目に最高値に達し,Cmax及びAUC0-8はそれぞれ0.558ng/mL及び3.67ng・h/mLであった.最終投与後48時間までにすべての被験者から平均で投与量の0.0000164%が尿中に排泄され,投与したランタンの59.8%が糞中から回収された4).また,本剤1,000mg単回経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティーは0.002%未満であった(外国人の成績)5).
日本人透析患者に本剤を最大4,500mg/日投与した国内長期投与試験における投与開始後28,52及び156週目の平均血漿中ランタン濃度はそれぞれ0.406ng/mL,0.463ng/mL及び0.558ng/mLであった6).
(注:本剤の承認された最高用量は1日2,250mgである.)
**日本人の保存期慢性腎臓病患者に本剤を最大2,250mg/日投与した国内長期投与試験における投与開始後32及び60週目の平均血漿中ランタン濃度(幾何平均値)はそれぞれ0.564ng/mL及び0.797ng/mLであった7).
2. 分布
高リン血症を呈する血液透析患者15例を対象として本剤を1日750mgから投与を開始し,1日4,500mgまで適宜増減して最長3年間投与した国内骨生検試験におい