骨髄性白血病患者(16例)を対象に、本剤300mgを1日1回反復経口投与した。本剤投与開始前日及び投与開始15日目にCYP3Aの基質であるミダゾラム2mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対するギルテリチニブ併用時のミダゾラムのCmax及びAUC24の幾何平均比(90%信頼区間、それぞれ9例及び8例)はそれぞれ、111.64%(69.54%~179.25%)及び109.46%(49.82%~240.48%)であった。
(5) MATE1基質薬剤との相互作用13)
再発又は治療抵抗性の急性骨髄性白血病患者(20例)を対象に、本剤200mgを1日1回反復経口投与した。本剤投与開始前日及び投与開始15日目にMATE1の基質であるセファレキシン500mgを単回経口投与したとき、セファレキシン単独投与時に対するギルテリチニブ併用時のセファレキシンのCmax及びAUClastの幾何平均比(90%信頼区間、ともに16例)はそれぞれ、91.46%(74.60%~112.12%)及び97.71%(74.19%~128.70%)であった。
(6) トランスポーターに対する阻害(in vitro試験)
ギルテリチニブはP-gp、BCRP及びOCT1を阻害した。
(注)本剤は通常、120mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回200mgを超えない。
6. 肝機能障害患者(外国人データ)14)
本剤10mgを単回経口投与したとき、健康成人(8例)に対する軽度肝機能障害患者(Child-Pugh A、8例)のCmax及びAUCinf(非結合型)の幾何平均比(90%信頼区間)は119.49%(91.25%~156.46%)及び88.42%(65.92%~118.61%)であった。同様に、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh B、8例)のCmax及びAUCinf(非結合型)の幾何平均比(90%信頼区間)は117.72%(89.90%~154.15%)及び88.48%(65.97%~118.69%)であった。
(注)本剤は通常、120mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回200mgを超えない。
薬物動態の表
再発又は難治性の日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~300mgを経口投与したときのギルテリチニブの薬物動態パラメータの平均値(標準偏差)
20mg 40mg 80mg 120mg 200mg 300mg
単回投与:
例数 1 4 4 4 9 2
単回投与:
Cmax
(ng/mL) 15.32 29.81
(13.56) 67.07
(26.02) 216.38
(167.00) 221.22
(97.05) 292.49
単回投与:
Tmaxa)
(h) - 4.01
(3.88,4.08) 4.03
(2.00,9.93) 3.03
(1.93,6.17) 5.92
(3.85,10.00) 6.93
(3.88,9.98)
単回投与:
AUC24
(ng・h/mL) 241.65 435.59
(167.16) 1047.54
(574.97) 3340.23
(2353.76) 3595.61
(1463.99) 5367.62
反復投与:
例数 1 3 3 2 5 -
反復投与:
Cmax
(ng/mL) 70.53 122.96
(66.06) 205.90
(36.78) 680.23 1016.28
(295.23) -
反復投与:
Tmaxa)
(h)
- 3.92
(2.05,3.95) 6.08
(1.93,6.12) 5.06
(4.03,6.08) 6.00
(3.98,10.00) -
反復投与:
AUC24
(ng・h/mL) 1345.53 2411.97
(1181.65) 4142.27
(738.07) 13463.35 21573.86
(6230.86) -
反復投与:
t1/2
(h) 84.04 88.93
(11.65) 90.65
(68.18) 124.09 126.23
(61.54) -
a)中央値(最小,最大)。N=1の場合、算出せず。
臨床成績
国際共同第III相臨床成績15)
初回再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性注1)の急性骨髄性白血病患者(FLT3-ITD変異注2)、FLT3-TKD変異注3)又はFLT3-ITD変異及びFLT3-TKD変異)を対象に、本剤120mgを1日1回連日投与した(無作為化例数142例、日本人18例を含む)。主要評価項目の1つである、第1回中間解析における本剤群のCR注4)又はCRh注5)率は28.2%(40/142例)であった(95%信頼区間:20.9%~36.3%)。また、CR率は19.0%(27/142例、95%信頼区間:12.9%~26.4%)、CRh率は9.2%(13/142例、95%信頼区間:5.0%~15.1%)であった(データカットオフ:2017年8月4日)。
注1)FLT3遺伝子変異検査にはリューコストラットCDxFLT3変異検査が使用された。
リューコストラットCDxFLT3変異検査はコンパニオン診断薬として製造販売承認されている。
注2)FLT3-ITD変異:内部縦列重複変異
注3)FLT3-TKD変異:D835又はI836のチロシンキナーゼドメイン変異
注4)CRは、骨髄の正常造血細胞が再生し、形態学的に白血病細胞が認められず、骨髄中の芽球数が5%未満、好中球絶対数が1.0×109/L以上、かつ血小板数が100×109/L以上であり、赤血球及び血小板輸血を行っておらず、髄外性白血病が認められていない状態。
注5)CRhは、骨髄中の芽球数が5%未満、好中球絶対数が0.5×109/L以上、かつ血小板数が50×109/L以上であり、髄外性白血病が認められていない状態。
薬効薬理
1. 作用機序16)~18)
ギルテリ |