用は49例(5.4%)に認められた。主なものは,下痢12例(1.3%),ALT(GPT)増加8例(0.9%)であった。(承認時)
12歳未満の小児を対象とした臨床試験における安全性評価対象例105例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は4例(3.8%)に認められた。主なものは,下痢2例(1.9%)であった。(承認時)
重大な副作用
異常行動(頻度不明):因果関係は不明であるものの,インフルエンザ罹患時には,転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す,徘徊する等)があらわれることがある。[「重要な基本的注意」の項参照]
その他の副作用
その他の副作用の表
種類\頻度 1%以上 1%未満
精神神経系 頭痛
消化器 下痢
その他 ALT(GPT)増加,AST(GOT)増加
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット,ウサギ)において,催奇形性は認められなかったが,ウサギにおける高用量投与で,流産及び頚部過剰肋骨が報告されている1)。また,ラットにおいて胎盤通過が認められている2)。]
2.授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[ヒト母乳中への移行は不明だが,ラットで乳汁中への移行が報告されている2)。]
小児等への投与
1.〈製剤共通〉
低出生体重児,新生児又は乳児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]
2.〈錠剤〉
小児に対しては,本剤を適切に経口投与できると判断された場合にのみ投与すること。
過量投与
本剤の過量投与に関する情報は得られていないが,副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
ラットにおいて本薬投与によりプロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長が認められたが,ビタミンKとの併用時にはPT及びAPTTの延長は認められなかったとの報告がある3)。
**薬物動態
1. 血漿中濃度
バロキサビル マルボキシルは小腸,血液,肝臓中のエステラーゼによって速やかにバロキサビル マルボキシル活性体に加水分解され,血漿中にはバロキサビル マルボキシルはほとんど検出されなかった4)。
(1) 健康成人
健康成人男性に,バロキサビル マルボキシル40mgを空腹時(14例)又は普通食摂取後(14例)に単回経口投与したときのバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータを表1に,平均血漿中濃度推移を図1に示す。空腹時投与と比べ食後投与でCmaxは48%,AUCは36%減少した。Tmaxの中央値はいずれも4時間であった4)。
表1 単回経口投与時のバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータ参照
(2) 成人及び12歳以上の小児患者
12歳以上65歳未満の患者及び健康成人1109例から得られたバロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度データ(8310ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行った。この母集団薬物動態解析の結果を基に,国際共同第III相臨床試験(体重80kg未満は40mg,80kg以上は80mgを投与)における日本人患者343例の薬物動態パラメータ推定値を表2に示す4)。
表2 成人患者及び12歳以上の小児患者でのバロキサビル マルボキシル活性体の推定薬物動態パラメータ参照
(3) 12歳未満の小児患者
12歳未満の小児患者(105例)にバロキサビル マルボキシルを体重に応じて10~40mg単回経口投与したときのバロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度推移を図2に示す。
バロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度データ(328ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行い,得られた薬物動態パラメータ推定値を表3に示す4)。
表3 12歳未満の小児患者でのバロキサビル マルボキシル活性体の推定薬物動態パラメータ参照
(4)
生物学的同等性
健康成人においてゾフルーザ錠20mgを1錠又は顆粒を1g(バロキサビル マルボキシルとして20mg)をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し,薬物動態を比較したときのバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータを表4に示す。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果,log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり,両剤の生物学的同等性が確認された5)。
表4 20mg錠又は顆粒(バロキサビル マルボキシルとして20mg)の単回経口投与時のバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータ参照
2. 肝機能障害患者
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)及び肝機能正常者各8例にバロキサビル マルボキシル40mgを空腹時単回経口投与したとき,中等度肝機能障害患者でのCmax及びAUC0-infは,肝機能正常者のそれぞれ0.80倍及び1.1倍であった4)。(外国人によるデータ)
3. 分布
バロキサビル マルボキシル活性体のヒト血清蛋白結合率は92.9~93.9%,ヒト血球移行率は48.5~54.4%であった6)。
4. 代謝
(1)健康成人男性6例に[14C]-バロキサビル マルボキシルを空腹時単回経口投与したとき,血漿中では主にバロキサビル マルボキシル活性体が検出され,その他,バロキサビル マルボキシル活性体のグルクロン酸抱合体及び酸化体が検出された4)。(外国人によるデータ)
(2)In vitro代謝試験の結果,バロキサビル マルボキシル活性体はUGT1A3によりグルクロン酸抱合体に代謝され,CYP3Aによりスルホキシド体に代謝されると推定された7)。
5. 排泄
健康成人男性6例に[14C]-バロキサビル マルボキシル40mgを空腹時単回経口投与したとき,投与された放射能の80%及び14.7%がそれぞれ糞中及び尿中へ排泄された。投与量の3.28%が尿中にバロキサビル マルボキシル活性体として排泄された4)。(外国人によるデータ)
6. 薬物相互作用
(1) In vitro試験
In vitro試験の結果,バロキサビル マルボキシルはCYP2B6,CYP2C8及びCYP3Aを,バロキサビル マルボキシル活性体はCYP2B6及びCYP3Aを濃度依存的に弱く阻害した8)。また,バロキサビル マルボキシルはP-糖蛋白を阻害し,バロキサビル マルボキシル活性 |