少し、中期及び後期は増加する。
小児等への投与
小児における有効性及び安全性は確立していない。
過量投与
1.
徴候・症状
低血糖が起こることがある(「重要な基本的注意」の項4及び「副作用」の項参照)。
2.
処置
低血糖の起こる時間はインスリンの種類、量等により異なるため、低血糖が発現しやすい時間帯に特に経過を観察し、適切な処置を行うこと(「副作用」の項参照)。
適用上の注意
1. 投与時
本剤は他の薬剤との混合により、成分が分解するおそれがあるため、本剤と他の薬剤を混合しないこと。
2. 保存時
使用中は冷蔵庫に入れず、室温に保管し、8週間以内に使用すること。残った場合は廃棄すること。
3. 投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
4. 投与部位
皮下注射は、大腿、上腕、腹部に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射場所を毎回変えること。前回の注射場所より2~3cm離して注射すること。
5. その他
(1)
本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
[本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。]
(2)
本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
(3)
インスリンカートリッジにインスリン製剤を補充してはならない。
(4)
注射後、注射針は廃棄すること。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。
(5)
液に濁りが生じたり、変色している場合は、使用しないこと。
(6)
インスリンカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
(7)
1本のフレックスタッチを複数の患者に使用しないこと。
その他の注意
1.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある1)。
2.
ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されている。併用する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
薬物動態
1. 1型糖尿病患者における薬物動態及び薬力学的プロファイル
(1) 日本人1型糖尿病患者2)
1型糖尿病患者22例に本剤0.4単位/kgを6日間1日1回皮下投与した。本剤は定常状態において平坦で安定したプロファイルを示し、本剤の半減期は18時間であった(作用持続化の機序は【薬効薬理】の項参照)。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の曝露量は、投与開始後~12時間と投与後12時間以降で同様であった(AUC0-12h,SSとAUCτ,SSの比は0.53)。血中濃度は投与後2~3日で定常状態に達した。
また、定常状態(1日1回6日間投与後)における本剤の24時間平均グルコース注入速度(グルコースクランプにおけるGIR)推移プロファイルから、本剤の血糖降下作用は一定であり、平坦で安定していることが示された。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の血糖降下作用についても、投与開始後~12時間及び投与後12時間以降で同様であった(AUCGIR,0-12h,SSとAUCGIR,τ,SSの比は0.48)。
本剤の作用持続時間は長く、検討したすべての患者において26時間を超えていた。
(2) 1型糖尿病患者における作用持続時間(参考:海外臨床試験)3)
1型糖尿病患者66例に本剤0.4、0.6及び0.8単位/kg(1用量22例)を1日1回8日間皮下投与し、本剤の作用持続時間を検討した(42時間グルコースクランプ)。
定常状態において、0.4単位/kgを投与した3例を除き、42時間のグルコースクランプ実施中にインスリンの追加注入が必要な血糖の上昇はみられず、本剤の作用持続時間は長く、42時間を超えていた。
2. 血糖降下作用の個体内変動(参考:海外臨床試験)4)
1型糖尿病患者に本剤(26例)又はインスリン グラルギン(27例)0.4単位/kgを1日1回12日間投与し、定常状態における血糖降下作用の日間の個体内変動を製剤間で比較検討した。血糖降下作用は、投与後6日、9日及び12日に評価した。
定常状態における本剤の血糖降下作用の日間の個体内変動係数(CV)はインスリン グラルギンの4分の1であった。1回の投与間隔における血糖降下作用(AUCGIR,τ,SS)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ20%及び82%であった。また、投与後2~24時間における血糖降下作用(AUCGIR,2-24h,SS;クランプ開始時の静脈内注入インスリンの影響を受けない)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ、22%及び92%であった。
3. 高齢者における薬物動態(参考:海外臨床試験)5)
若年(19~34歳:平均年齢27.1歳)及び高齢(65~78歳:平均年齢67.8歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを1日1回6日間投与し、定常状態における本剤の薬物動態を評価した。本剤の平坦で安定した薬物動態プロファイルは高齢者においても認められ、若年者及び高齢者の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表1参照)
4. 小児における薬物動態(参考:海外臨床試験)6)
小児(8~11歳:平均年齢10.3歳)、青年期(12~17歳:平均年齢14.3歳)及び成人(18~57歳:平均年齢25.6歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを単回投与した。本剤の薬物動態プロファイルの特性は小児及び青年期の患者においても認められた。総曝露量は成人患者より小児及び青年期患者において大きかった。
(表2参照)
5. 腎機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)7)
腎機能障害の程度の異なる患者[クレアチニンクリアランス(mL/min)に基づく分類。軽度(50以上80以下)、中等度(30以上50未満)、重度(30未満)、末期(血液透析を必要とする患者)、各群6例]に本剤0.4単位/kgを単回投与し、薬物動態を比較した。腎機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表3参照)
6. 肝機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)8)
肝機能障害の程度の異なる患者[Child-Pugh scoresに基づく分類。軽度:Grade A(5~6ポイント)、中等度:Grade B(7~9ポイント)、重度:Grade C(10~15ポイント)]に本剤0.4単位/kgを単回投与し、本剤の薬物動態を比較した。肝機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表4参照)
7. 投与部位による比較(参考:海外臨床試験)9)
健康被験者20例