スリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
ビグアナイド系薬剤
チアゾリジン系薬剤
GLP-1アナログ製剤
インスリン製剤等
臨床症状・措置方法
低血糖症状が起こるおそれがあるので,患者の状態を十分観察しながら投与すること.特に,スルホニルウレア系薬剤と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがある.スルホニルウレア系薬剤による低血糖のリスクを軽減するため,スルホニルウレア系薬剤の減量を検討すること.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「重大な副作用」の項参照)
低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時にはブドウ糖を投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される.
薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断剤
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤等
臨床症状・措置方法
更に血糖が低下する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される.
薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン等
臨床症状・措置方法
血糖が上昇する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が減弱される.
薬剤名等
QT延長を起こすことが知られている薬剤
クラスIA抗不整脈薬
キニジン硫酸塩水和物,プロカインアミド塩酸塩等
クラスIII抗不整脈薬
アミオダロン塩酸塩,ソタロール塩酸塩等
臨床症状・措置方法
QT延長等が起こるおそれがある.
機序・危険因子
これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている.
副作用
副作用等発現状況の概要
国内の臨床試験では,総症例数1183例中118例(10.0%)184件の副作用(臨床検査値の異常も含む)が認められた.主な副作用は,低血糖症35例(3.0%),便秘11例(0.9%)等であった.(承認時)
重大な副作用
1. 低血糖症
他の糖尿病用薬との併用で低血糖症があらわれることがある(グリメピリド併用時8.9%,ピオグリタゾン併用時1.5%).特に,他のDPP-4阻害剤で,スルホニルウレア系薬剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ,意識消失を来たす例も報告されていることから,スルホニルウレア系薬剤と併用する場合には,スルホニルウレア系薬剤の減量を検討すること.また,他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖症(1.0%)が報告されている.低血糖症状が認められた場合には,糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「相互作用」の項参照)
2. 腸閉塞(頻度不明)
腸閉塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,高度の便秘,腹部膨満,持続する腹痛,嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「慎重投与」の項参照)
その他の副作用
1. 消化器
0.1~1%未満
便秘,腹部膨満,腹部不快感,悪心,腹痛,鼓腸,口内炎,胃ポリープ,結腸ポリープ,十二指腸潰瘍,急性膵炎注)
2. 肝臓
0.1~1%未満
AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,γ-GTP上昇
3. 肝臓
0.1%未満
Al-P上昇
4. 腎臓・泌尿器系
0.1~1%未満
蛋白尿,尿ケトン体陽性,尿潜血
5. 皮膚
0.1~1%未満
湿疹,発疹,そう痒,アレルギー性皮膚炎
6. その他
0.1~1%未満
CK(CPK)上昇,血清カリウム上昇,けん怠感
副作用が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
注)海外でのみ報告された副作用.
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので,患者の状態を観察しながら投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を考慮すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.また,動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている.〕
2.
授乳中の婦人には,本剤投与中は授乳を避けさせること.〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている.〕
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない).
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.〔PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.〕
その他の注意
1.
海外臨床試験において本剤160mgを1日1回投与したときにQT延長が報告されている.(「薬物動態」の項参照)(本剤の承認された用量は,通常,テネリグリプチンとして20mg1日1回であり,最大投与量は40mg1日1回である.(【用法・用量】の項参照))
2.
カニクイザルを用いた52週間反復経口投与毒性試験において,75mg/kg/日投与で尾,四肢及び耳介等に表皮剥脱・痂皮・潰瘍等の皮膚症状が認められた.このときのAUC0-24hrは,1日40mgをヒトに投与したときの約45倍に達していた.なお,同様の毒性所見は,他の動物種(ラット,マウス及びウサギ)及びヒトでは報告されていない.
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与
健康成人に,テネリグリプチンとして20mg及び40mgを空腹時に単回経口投与したときのテネリグリプチンの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである1).
(2) 反復投与
健康成人に,テネリグリプチンとして20mgを1日1回7日間朝食開始30分前に反復経口投与したときのテネリグリプチンの薬物動態パラメータは以下のとおりであり,7日間以内に定常状態に達するものと考えられた2).
(3) 食事の