冒様症状、顔面浮腫、眼瞼浮腫、悪寒、鼻出血、肺炎、単球増多、胸痛、アレルギー反応/過敏症注2)
注1)非小細胞肺癌を対象とする国内臨床試験において認められたその他の副作用をその発現頻度に基づき記載した
注2)外国臨床試験で認められた事象
注3)外国での市販後の報告による
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。]
2.
授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。[乳汁中への移行については不明である。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立されていない。[使用経験がない。]
過量投与
徴候・症状:過量投与時に報告されている主な症状は、骨髄抑制(好中球減少、血小板減少、貧血)、粘膜炎及び発疹である。また、感染及び下痢があらわれることがある。
処置:過量投与となった場合には、症状に応じた支持療法を行う他、ホリナートカルシウムによる処置を検討すること。
適用上の注意
1. 調製時
(1)
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
(2)
本剤の溶解及び希釈には日局生理食塩液のみを使用すること。カルシウムを含有する溶液との混合により濁り又は沈殿が確認されているので、乳酸リンゲル液及びリンゲル液等との配合を避けること。また、他剤との混注を行わないこと。
(3)
**溶解後は速やかに投与すること。保存する場合は冷蔵(2~8℃)にて保存し、24時間以内に使用すること。溶解した残液は使用しないこと。
2. 投与時
必ず点滴静脈内投与とし、皮下、筋肉内には投与しないこと。
その他の注意
遺伝毒性試験のうち、マウス小核試験において、陽性の結果が報告されている。
薬物動態
1. 血漿中濃度
各種悪性腫瘍患者31例に本剤を300~1,200mg/m2 注)の用量範囲で21日ごとに10分間点滴静注した。血漿中濃度は点滴終了直後が最も高く、その後速やかに消失し、消失半減期は2.74時間(範囲:2.28~3.62時間)であった。このときの血漿クリアランスは61.4~109mL/min、定常状態分布容積は10.6~14.8Lであった。第1コース及び第2コース間で血漿中濃度に差は認められなかった1)。
注)本剤の承認された1回用量は、500mg/m2(体表面積)である。[「用法・用量」の項参照]
図1)ペメトレキセド投与後の血漿中濃度推移(平均±標準偏差)
外国人におけるデータの薬物動態解析から、葉酸とビタミンB12の併用は、本剤の単剤投与時、あるいはシスプラチンとの併用投与時とも本剤の血漿クリアランスに影響を与えないことが示された。また、本剤とシスプラチンは互いの薬物動態に影響を及ぼさないことが明らかとなった2)。
2. 分布
(参考)
マウスに14C標識体20mg/kgを単回静注したとき、肺等の広範な臓器・組織に速やかに分布した。投与1時間後には、尿、胆のう内胆汁、糞、腸内容物、腎臓及び肝臓に比較的高い放射活性が検出され、本剤が投与後速やかに尿中及び胆汁中に排泄されることが示唆された3)。
3. 蛋白結合率
本剤のヒト蛋白結合率は約81%であった。また、本剤のヒト蛋白結合率は腎機能障害による影響をほとんど受けなかった4)。(in vitro)
4. 代謝
本剤は主として尿中へ未変化体として排泄されることから1)、代謝をほとんど受けないと推察された。
5. 排泄
各種悪性腫瘍患者31例に本剤を300~1,200mg/m2 注)の用量範囲で21日ごとに10分間点滴静注した。本剤は点滴静注後24時間以内に、その大部分が主に尿中へ未変化体として排泄され、投与後72時間までの累積尿中未変化体排泄率は75.2%(64.5%~82.7%)であった1)。
注)本剤の承認された1回用量は、500mg/m2(体表面積)である。[「用法・用量」の項参照]
6. 薬物動態に与える腎機能の影響
日本人患者31例と外国人患者412例の統合解析により、本剤の薬物動態に与える腎機能の影響を評価した。日本人の腎機能低下患者(クレアチニン・クリアランス45mL/min)に本剤500mg/m2を投与した場合、腎機能が正常な患者(クレアチニン・クリアランス90mL/min)に比較して、本剤の血漿クリアランスが32%低く、血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)が48%増大すると予測された5)。
臨床成績
1. 国内臨床試験
(1)
悪性胸膜中皮腫患者を対象に国内で実施した併用投与第I/II相試験において、本剤及びシスプラチンを投与された症例の奏効率は36.8%(19例中PR7例)であった。
(2)
非小細胞肺癌患者(化学療法既治療)を対象に国内で実施した第II相試験において、本剤を投与された症例の奏効率は18.5%(108例中PR20例)であった。
2. 外国臨床試験
(1)
悪性胸膜中皮腫患者(化学療法未治療)を対象に米国ほか20ヵ国で実施された第III相試験における、本剤及びシスプラチン併用投与群及びシスプラチン単独投与群(未承認)注1)の成績は、次表のとおりであった6)。なお、本試験は優越性を検証することを主要目的として実施した。
表1)外国第III相試験における悪性胸膜中皮腫患者に対する効果参照
(2)
*非小細胞肺癌患者(化学療法未治療)を対象に米国ほか26ヵ国で実施された第III相試験における、本剤及びシスプラチン併用投与群とゲムシタビン及びシスプラチン併用投与群の成績は、次表及び図のとおりであった7)。なお、本試験は非劣性を検証することを主要目的として実施した。
表2)外国第III相試験における非小細胞肺癌患者(化学療法未治療)に対する効果参照
図1)外国第III相試験における非小細胞肺癌患者(化学療法未治療)に対する生存率の推移
AC群:本剤及びシスプラチン併用投与群
GC群:ゲムシタビン及びシスプラチン併用投与群
本試験における組織型別の部分集団解析の結果を以下の表及び図に示す8)。
表3)外国第III相試験における非小細胞肺癌患者(化学療法未治療)に対する組織型別の効果参照
図2)外国第III相試験における非小細胞肺癌患者(化学療法未治療)に対する組織型別生存率の推移
AC群:本剤及びシスプラチン併用投与群
GC群:ゲムシタビン及びシスプラチン併用投与群
(3)
*非小細胞肺癌患者(化学療法既治療)を対象に米国ほか23ヵ国で実施された第III相試験 |