成の促進が認められた1)。また、血液凝固第VIII因子製剤との併用においてもトロンビン生成の促進が認められた1)。
3. 臨床試験において、抗エミシズマブ抗体の産生が141例中4例(2.8%)に報告されている。いずれの患者においても、本剤の有効性及び安全性に影響はなかった。
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与2) 日本人の健康成人男性に本剤0.01、0.1、0.3又は1mg/kg注4)(各6例)を単回皮下投与した際の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
(2) 反復投与3), 4) 12歳以上のインヒビター保有血友病A患者103例に本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与し、その後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与した際、投与開始4週後に血漿中エミシズマブ濃度トラフ値が定常状態に到達し、その後50μg/mLをやや上回る平均値を維持した。また、同一の用法・用量で本剤を投与した12歳未満(体重40kg未満の12~17歳を含む)のインヒビター保有血友病A患者20例においても、血漿中エミシズマブ濃度トラフ値推移は同様であった。
2. 吸収5) 日本人の健康成人男性に本剤1mg/kg注4)を腹部、上腕部又は大腿部(各12例)に単回皮下投与した際、Cmax及びAUCinfを基に推定された腹部に対する上腕部及び大腿部の相対的バイオアベイラビリティは、82.3%~116.8%の範囲であった。また、腹部、上腕部及び大腿部への皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、80.4%~93.1%の範囲であった。
注4)承認された用法・用量は、「1回3mg/kg(体重)を1週間の間隔で4回皮下投与し、以降は1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与する」である。
薬物動態の表
用量
(mg/kg) Cmax
(μg/mL) Tmax
(day) AUCinf
(day・μg/mL) t1/2
(day)
0.01 0.0675±0.0120 14.1
(5.00-28.0) 算出せず 算出せず
0.1 0.655±0.0837 12.0
(7.00-14.1) 30.2±9.28 28.3±4.77
0.3 1.72±0.377 10.1
(7.00-11.1) 86.5±17.9 30.3±4.12
1 5.92±1.24 10.1
(4.00-14.2) 266±50.0 29.0±3.26
各6例、平均値±標準偏差[Tmaxのみ中央値(範囲)]
臨床成績
1. インヒビター保有血友病Aの成人/青年患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(BH29884試験)3) 12歳以上のインヒビター保有血友病A患者を対象とし、バイパス止血製剤による出血時の止血療法を実施していた患者53例を、本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与した後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与する群(A群:本剤定期投与群)又は出血時の止血療法を継続する群(B群:本剤定期投与非実施群)にランダムに2:1の比で割り付け、割り付けられた最終の患者が24週の観察期間を完了した時点又は試験を中止した時点で両群の年間出血率を比較した。主要評価項目である治療を要した出血の年間出血率の成績は下表のとおりであった。
また、副次的評価項目である、本試験登録前にバイパス止血製剤の定期輸注を受けていた患者に、A群と同様の用法・用量で本剤を定期的に投与する群(C群)の24例における、治療を要した出血の年間出血率[95%信頼区間]は、本剤投与前のバイパス止血製剤定期輸注時[観察期間の中央値(範囲):32.1週(8.1~49.3週)]には15.7[11.08,22.29]であったのに対し、その後の本剤定期投与時[観察期間の中央値(範囲):30.1週(6.9~45.3週)]には3.3[1.33,8.08]であった。
2. インヒビター保有血友病Aの小児患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(BH29992試験)4) 12歳未満のインヒビター保有血友病A患者19例に本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与し、その後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与した。観察期間の中央値(範囲)は12.0週(7.0~14.0週)で、12週以上の患者は10例であった。治療を要した出血が認められなかった患者は19例中18例(94.7%)であった。
臨床成績の表
A群:本剤定期投与群(35例) B群:本剤定期投与非実施群(18例)
年間出血率の中央値(範囲) 0.0(0.00, 33.72) 18.8(0.00, 77.80)
年間出血率
[95%信頼区間]注5) 2.9[1.69, 5.02] 23.3[12.33, 43.89]
群間比(A群/B群)
[95%信頼区間]、P値注5) 0.13
[0.057, 0.277]、<0.0001 0.13
[0.057, 0.277]、<0.0001
注5)投与群、試験登録前24週間の出血回数(9回未満、9回以上)を固定効果、評価期間の対数をオフセットとした負の二項回帰モデル
薬効薬理
1. 本剤は、プラズモン共鳴法によるin vitroタンパク質結合測定系において活性型血液凝固第IX因子及び血液凝固第X因子に結合し6)、合成発色基質法によるin vitro酵素反応測定系において活性型血液凝固第IX因子による血液凝固第X因子の活性化を促進した7)。
2. 本剤は、インヒビター含有血液凝固第VIII因子欠乏血漿及びインヒビター非含有血液凝固第VIII因子欠乏血漿のいずれにおいても、in vitro添加によりAPTTの短縮及びトロンビン生成の増加を示し、血液凝固反応を促進した7), 8)。
3. 抗血液凝固第VIII因子抗体を投与することにより血友病Aを誘発させたサルにおいて、本剤投与による出血傾向抑制作用及び止血作用が認められた8), 9)。