動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、抗インフルエンザウイルス薬による治療が開始された後は、1.異常行動の発現のおそれがあること、2.自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状があらわれるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。
3. 細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合及び細菌感染症が疑われる場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと(「効能又は効果に関連する使用上の注意」の項参照)。
相互作用
相互作用の概略
本剤はチトクロームP-450(CYP)で代謝されず、主にアルデヒドオキシダーゼ(AO)、一部はキサンチンオキシダーゼ(XO)により代謝される。また、AO及びCYP2C8を阻害するが、CYPの誘導作用はない(「薬物動態」の項参照)。3)4)
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
ピラジナミド
臨床症状・措置方法血中尿酸値が上昇する。
ピラジナミド1.5g1日1回、本剤1200/400mg1日2回が投与されたとき、血中尿酸値は、ピラジナミド単独投与時及び本剤併用投与時でそれぞれ11.6及び13.9mg/dLであった。
機序・危険因子腎尿細管における尿酸の再吸収を相加的に促進させる。
薬剤名等
レパグリニド
臨床症状・措置方法レパグリニドの血中濃度が上昇し、レパグリニドの副作用が発現するおそれがある。
機序・危険因子CYP2C8を阻害することにより、レパグリニドの血中濃度を上昇させる。
薬剤名等
テオフィリン5)
臨床症状・措置方法本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
機序・危険因子XOを介した相互作用により本剤の血中濃度を上昇させることが考えられる。
薬剤名等
ファムシクロビル
スリンダク
臨床症状・措置方法これらの薬剤の効果を減弱させるおそれがある。
機序・危険因子本剤がAOを阻害する3)ことにより、これらの薬剤の活性化体の血中濃度を低下させることが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認用法及び用量における投与経験はない。
なお、国内臨床試験及び国際共同第III相試験(承認用法及び用量より低用量で実施された試験)では、安全性評価対象症例501例中、副作用が100例(19.96%)に認められた(臨床検査値異常を含む)。主な副作用は、血中尿酸増加24例(4.79%)、下痢24例(4.79%)、好中球数減少9例(1.80%)、AST(GOT)増加9例(1.80%)、ALT(GPT)増加8例(1.60%)等であった(「臨床成績」の項参照)。
重大な副作用(類薬)
他の抗インフルエンザウイルス薬で次のような重大な副作用が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(1) ショック、アナフィラキシー
(2) 肺炎
(3) 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
(4) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(5) 急性腎障害
(6) 白血球減少、好中球減少、血小板減少
(7) 精神神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)
(8) 出血性大腸炎
その他の副作用
過敏症 0.5~1%未満 発疹
過敏症 0.5%未満 湿疹、そう痒症
肝臓 1%以上 AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、γ-GTP増加
肝臓 0.5%未満 血中ALP増加、血中ビリルビン増加
消化器 1%以上 下痢(4.79%)
消化器 0.5~1%未満 悪心、嘔吐、腹痛
消化器 0.5%未満 腹部不快感、十二指腸潰瘍、血便排泄、胃炎
血液 1%以上 好中球数減少、白血球数減少
血液 0.5%未満 白血球数増加、網状赤血球数減少、単球数増加
代謝異常 1%以上 血中尿酸増加(4.79%)、血中トリグリセリド増加
代謝異常 0.5~1%未満 尿中ブドウ糖陽性
代謝異常 0.5%未満 血中カリウム減少
呼吸器 0.5%未満 喘息、口腔咽頭痛、鼻炎、鼻咽頭炎
その他 0.5%未満 血中CK(CPK)増加、尿中血陽性、扁桃腺ポリープ、色素沈着、味覚異常、挫傷、霧視、眼痛、回転性めまい、上室性期外収縮
上記のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。注1)
注1)国内臨床試験及び国際共同第III相試験(承認用法及び用量より低用量で実施された試験)で認められた副作用。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
〔動物実験において、臨床曝露量と同程度又は下回る用量で初期胚の致死(ラット)及び催奇形性(サル、マウス、ラット及びウサギ)が認められている〕6)7)
2. 授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。
〔本剤の主代謝物である水酸化体がヒト母乳中へ移行することが認められている〕
小児等への投与
小児等に対する投与経験はない。
〔動物実験において、幼若イヌ[8週齢]に1ヵ月間投与した試験では、若齢イヌ[7~8ヵ月齢]の致死量より低用量(60mg/kg/日)で投与20日以降に途中死亡例が認められている。幼若動物(ラット[6日齢]及びイヌ[8週齢])では、異常歩行、骨格筋線維の萎縮及び空胞化、心乳頭筋の変性/壊死及び鉱質沈着などが認められている〕8)
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
**その他の注意