250mg4錠)を食後単回経口投与したとき、空腹時に比ベメサラジン未変化体及びアセチル体の血漿中濃度推移が低下する傾向を示したが、投与後96時間までの尿中及び糞中への排泄率に差はなかった。
薬物動態の表
表1 ペンタサ顆粒94%又はペンタサ錠250mg(両剤共メサラジンとして1,000mg)を空腹時に単回経口投与したときのメサラジン未変化体の薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) Tmax
(hr) t1/2
(hr) AUCt
(ng・hr/mL)
ペンタサ顆粒
94% 1,333.2
±815.7 2.6
±1.5 2.0
±1.4 4,316.6
±1,913.4
ペンタサ錠
250mg 1,341.0
±767.8 2.2
±1.3 2.0
±1.6 4,113.9
±1,964.8
平均値±標準偏差 n=30
臨床成績
1. 臨床効果1)~6)
国内の医療機関で実施された二重盲検群間比較試験を含む臨床試験で、ペンタサ錠の効果が判定された189例の試験結果の概要は表2のとおりである。
潰瘍性大腸炎に対しては、二重盲検群間比較試験においてペンタサ錠の有用性が認められた。
2. 用量比較試験(1日4,000mg投与と2,250mg投与との比較)
国内において、再燃寛解型で中等症の潰瘍性大腸炎患者(直腸炎型を除く)を対象とした8週間反復投与による用量比較試験を実施した。その結果、主要評価項目であるUC-DAIスコア#の投与前後の改善度は表3のとおりで、統計的に有意な差が認められた。
#排便回数、血便、内視鏡検査による粘膜所見、医師による全般的評価の各項目を0~3の4段階でスコア付けし、合計したスコア(0~12)。
3. 用法用量比較試験(1日1回投与と1日3回投与との比較)
国内において、寛解期潰瘍性大腸炎患者を対象としてペンタサ錠を1日1回(1回1,500mg又は2,250mg)及び1日3回(1回500mg又は750mg)を52週間反復投与し、寛解維持率について1日1回投与の1日3回投与に対する非劣性を検証する試験を実施した。その結果、UC-DAIスコアで評価した寛解維持率において、1日1回投与の1日3回投与に対する非劣性が検証された(表4)。
臨床成績の表
表2 臨床試験結果
疾患 ステージ 投与量#
(mg/日) 投与期間 中等度以上の改善率
又は有効率
潰瘍性大腸炎 活動期 750~2,250 4週間 改善率:70.3%(78/111)
潰瘍性大腸炎 寛解期 750~2,250 12ヵ月 有効率:91.9%(34/ 37)
クローン病 活動期 1,500~3,000 4週間以上12週間 改善率:54.8%(17/ 31)
クローン病 寛解期 1,500~3,000 12ヵ月 有効率:90.0%( 9/ 10)
#:投与方法はペンタサ錠を1日3回投与
表3 用量比較試験におけるUC-DAIスコアの改善度
投与群 投与開始日#3 投与8週後又は中止時#3 投与前後の変化#4 投与前後の変化における群間差#4
2,250mg(n=59)#1 7.0±0.8 6.1±3.6 -0.8[-1.8~0.1] -2.2※[-3.4~-1.0]
4,000mg(n=59)#2 7.0±0.8 4.0±2.9 -3.0[-3.8~-2.3] -2.2※[-3.4~-1.0]
#1:投与方法はペンタサ錠を1日3回投与
#2:投与方法はペンタサ錠を1日2回投与
#3:平均値±標準偏差 #4:平均値、[95%信頼区間]
※:t-検定 t=-3.705, P<0.001
表4 寛解維持率
投与群 被験者数 寛解維持した被験者数#1 寛解維持率 (%)#2 群間差
(%)#3
1日1回 141 112 79.4 7.8
[-2.2~17.8]
1日3回 141 101 71.6 7.8
[-2.2~17.8]
#1:投与52週後又は中止時までに再燃しなかった被験者数
#2:寛解維持率(%)=(寛解維持した被験者数÷被験者数)×100
#3:1日1回投与群-1日3回投与群[95%信頼区間]、非劣性マージン:-10%
薬効薬理
1. 動物モデルに対する障害抑制効果
(1) 潰瘍性大腸炎類似モデル57)~58)
メサラジン顆粒を経口投与したところ、ラット酢酸誘発モデルにおいて50、100mg/kgで、ウサギλ-分解カラゲニン誘発モデルにおいて150mg/kgで有意な障害抑制効果が認められた。
(2) クローン病類似モデル57)
ラットTNB誘発モデルにおいてメサラジン顆粒50mg/kgの経口投与で有意な障害抑制効果が認められた。
2. 作用機序59)
In vitroにおいてフリーラジカル(DPPHL)還元作用、過酸化水素消去作用、次亜塩素酸イオン消去作用、過酸化脂質抑制作用(in vitro、in vivo)が認められた。更にラット好中球でのロイコトリエンB4(LTB4)生合成を抑制した(in vitro)。
以上より、本剤の主な作用機序として炎症性細胞から放出される活性酸素を消去し、炎症の進展と組織の障害を抑制すること、及びLTB4の生合成を抑制し、炎症性細胞の組織への浸潤を抑制することが考えられた。
また、その他の作用機序として、肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用、血小板活性化因子(PAF)の生合成抑制作用、インターロイキン-1β(IL-1β)の産生抑制作用が一部関与している可能性が推察された(in vitro)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:メサラジン (JAN)、Mesalazine (JAN, INN)
化学:5-Aminosalic |