疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ALPの著しい上昇等を伴う肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次表の副作用があらわれることがある。
消化器
10%以上又は頻度不明
食欲不振、嘔気
消化器
1~10%未満
嘔吐、下痢等
消化器
1%未満
口内異常感、便秘、腹痛、口渇等
皮 膚
1~10%未満
発疹、脱毛、そう痒、色素沈着
皮 膚
1%未満
皮膚乾燥等
**中枢神経系
10%以上又は頻度不明
歩行不安定、脳波異常
**中枢神経系
1~10%未満
嗜眠、言語障害、頭痛、眩暈
**中枢神経系
1%未満
振戦、不穏、不安、健忘、神経過敏、神経症、しびれ
内分泌
1~10%未満
女性型乳房
内分泌
1%未満
帯下増加、性器出血、ACTH高値等
肝 臓注)
10%以上又は頻度不明
γ‐GTP上昇
肝 臓注)
1~10%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、ALP上昇等
代謝・栄養
10%以上又は頻度不明
総コレステロール上昇、低尿酸血症
代謝・栄養
1%未満
低ナトリウム血症、低カリウム血症
血 液注)
1~10%未満
貧血、白血球減少
血 液注)
1%未満
血小板増加、眼底出血
腎 臓注)
1~10%未満
浮腫
腎 臓注)
1%未満
乏尿、血漿レニン活性上昇
循環器
1%未満
高血圧、動悸、QT延長
の他
1~10%未満
全身けん怠感、味覚異常
その他
1%未満
耳鳴、腰痛、発熱、のぼせ、脱力感、関節痛、筋肉痛
その他の副作用の注意
注)観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
**小児等に対する安全性は確立していない。
小児において、5~6ヵ月後に中枢神経症状が発現し、急激な血漿中濃度の上昇を来していたとの報告がある3)。
過量投与
**過量投与により、中枢神経症状があらわれることがある。外国人において、特に血漿中濃度が20μg/mLを超えた場合に中枢神経症状が多く認められたとの報告がある4)。本剤は消失半減期が長いことから、中止後も一定期間観察を行うこと。なお、本剤は脂溶性が高く、分布容積が大きいため、血液透析による除去は期待できない。
薬物動態
**(外国人データ)
ミトタン10gを経口投与すると血中濃度は4~6時間後に最高となり、その後、徐々に低下する5)。
副腎皮質癌患者7例にミトタン総量200gを投与したときの本剤投与中止後の血漿中濃度の終末相半減期は18~159日(中央値53日)であった6)。
投与量の60~65%は吸収されずに糞便中に排泄される。吸収量の4分の1は水溶性代謝物として尿中に排泄され、残りは主に脂肪組織内に蓄積され、次いで副腎に多く蓄積される7)。
国内で測定された本剤の血漿中濃度と累積投与量の関係は下図のとおりである8)。
図 国内で測定された本剤の血漿中濃度と累積投与量
(右図は累積投与量2,000g、血漿中濃度20μg/mLまでの拡大図)
臨床成績
全国70施設、103症例についての臨床成績をまとめ、次の1~3の項目につき評価した結果、以下の如く有用性が認められた9)。
(1) ステロイドに対する効果
投与前ステロイドが過剰分泌されていた92症例中75症例(81.5%)で30%以上の減少が認められた。
(2) 抗腫瘍効果
腫瘍の大きさが測定された副腎癌34症例において、一時的に腫瘍が縮小した症例を含めると14症例(41.2%)で効果が認められた。
(3) 全般的有用性
各担当医師による「++、+、-」の3段階の判定では、次表の如く約65%の症例で有用性が認められた。
(4) ステロイドに対する効果発現時期
本剤の作用の発現は緩徐であり、見かけ上血中コルチゾールの減少に先んじて17‐OHCS、17‐KSが減少する傾向がある。
(5) 投与量
1~24カプセル/日の範囲で平均8カプセル/日が投与され、癌の症例ではより大量に投与される傾向があった。忍容量及び有効投与量は個人差が大きかった。
薬効薬理
1. 細胞毒作用10)
副腎組織の変化は皮質に選択的であり、とくに皮質の束状層、網状層の萎縮や壊死がイヌにおいて認められている。
2. ステロイド合成阻害作用11)~16)
ステロイド分泌量の低下が認められるが、その合成阻害部位は、まだ決定されていない。種々の実験による推定阻害部位は、次の反応段階である。
コレステロール側鎖切断の段階
副腎癌及びクッシング病患者各6例、イヌ(in vitro)
3位脱水素の段階
副腎癌及びクッシング病患者各6例、ウシ(in vitro)
21位水酸化の段階
副腎癌患者3例
11位水酸化の段階
副腎癌患者3例、ウシ(in vitro)
18位水酸化の段階
ヒトの摘出副腎癌
3. ステロイド代謝への作用(外国人データ)17)
コルチゾールの代謝物のうち、6β‐ヒドロキシ体を増加させる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ミトタン(mitotane)(JAN)
化学名
1,1‐Dichloro‐2‐(2‐chlorophenyl)‐2‐(4‐chlorophenyl)ethane
構造式
分子式
C14H10Cl4
分子量
320.04
融 点
75~79℃
**性 状
白色~微黄白色の結晶である。クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル又はシクロヘキサンに溶けやすく、エタノール(95)又はイソオクタンにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
包装
オペプリム:100カプセル(バラ)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1) Wortsman J, et al:JAMA 238:2527,1977.
2) Straw J A, et al:Proc Soc Exp Biol