2. 甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する、本剤の安全性は確立していない。
薬物動態
1. 健康男性被験者における反復皮下投与後の薬物動態12)
日本人健康男性被験者を対象に、本剤0.5mg(8例)及び1.0mg(8例)の13週間反復皮下投与後の薬物動態プロファイルを検討した。本剤は、週1回0.25mgで投与を開始し、4週間投与した後に週1回0.5mgへ増量した。1.0mgまで増量する群では、その後週1回0.5mgを4週間投与した後に週1回1.0mgへ増量した。
定常状態での血漿中濃度―時間推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。
日本人健康男性被験者における本剤の定常状態での平均血漿中濃度の推移
(表1参照)
2. 吸収(日本人及び外国人での成績)
外国人健康成人10例に本剤0.5mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、89%であった13)。
2型糖尿病患者1612例(うち日本人555例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、本剤を異なる投与部位(腹部、大腿部及び上腕部)に投与したとき、腹部への投与に対する大腿部及び上腕部への投与での定常状態の本剤曝露量の比の推定値及び90%信頼区間は、0.96[0.93;1.00]及び0.92[0.89;0.96]であった。
3. 分布(in vitro試験)
本剤の血漿中のアルブミンに対するin vitro結合率は99%超であった14),15)。
4. 代謝(外国人での成績及びin vitro試験)
3Hでラベル化した本剤0.5mgを外国人健康男性被験者7例に単回皮下投与した結果、本剤はペプチド骨格のタンパク質分解及び脂肪酸側鎖のβ酸化により代謝されると推定された16)。
本剤は、CYP分子種に対して臨床上問題となる誘導(CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4/5)あるいは阻害作用(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4/5)を示さなかった(in vitro試験)17),18)。
5. 排泄(外国人での成績及びin vitro試験)
3Hでラベル化した本剤0.5mgを外国人健康男性被験者7例に単回皮下投与した結果、最大56日までの総投与放射能に対する尿中及び糞中の放射能排泄率は53.0%及び18.6%であった。総投与放射能のうち、本剤未変化体の尿中放射能排泄率は3.12%であった16)。
また、本剤は、ヒトトランスポーター(P-gp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3及びOCT2)に対して臨床上問題となる阻害作用を示さなかった(in vitro試験)19)。
6. 高齢者における薬物動態(日本人及び外国人での成績)
2型糖尿病患者1612例(うち日本人555例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、65歳未満に対する65歳以上~75歳未満及び75歳以上の定常状態の平均血漿中濃度の比と90%信頼区間は1.01[0.99;1.03]及び1.04[1.00;1.09]と推定された。
7. 腎機能障害被験者における薬物動態(外国人での成績)14)
腎機能障害の程度の異なる外国人被験者(クレアチニンクリアランスによる分類。軽度:クレアチニンクリアランス50超~80mL/min、中等度:クレアチニンクリアランス:30超~50mL/min、重度:クレアチニンクリアランス:30mL/min以下、末期:血液透析を必要とする被験者)における本剤0.5mg単回皮下投与後の薬物動態を、腎機能が正常な被験者(クレアチニンクリアランス:80mL/min超)と比較検討した結果を以下に示す。(表2参照)
8. 肝機能障害被験者における薬物動態(外国人での成績)15)
肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類。軽度:Child-Pugh分類A、中等度:Child-Pugh分類B、重度:Child-Pugh分類C)における本剤0.5mg単回皮下投与後の薬物動態を、肝機能が正常な被験者と比較検討した結果を以下に示す。(表3参照)
9. 薬物相互作用(外国人での成績)20)~23)
本剤1.0mgの定常状態において、メトホルミン、ワルファリン、ジゴキシン、アトルバスタチン、経口避妊薬及びアセトアミノフェンを併用投与したときの薬物動態の結果を以下に示す。(表4参照)
薬物動態の表
表1
用量 N AUC0-168h
(nmol・h/L) Cmax
(nmol/L) tmax注)
(h) t1/2
(h) CL/F
(L/h) Vz/F
(L)
0.5mg 8 3583
(17.8) 25.1
(17.8) 30
(12-72) 145
(8.0) 0.034
(17.8) 7.1
(12.8)
1.0mg 8 7449
(12.2) 51.6
(11.1) 36
(18-96) 163
(10.9) 0.033
(12.2) 7.7
(14.0)
中央値(最小値~最大値)
表2
腎機能 AUC0-inf
比の推定値
[95%信頼区間] Cmax
比の推定値
[90%信頼区間]
軽度/正常 0.99[0.85;1.16] 0.90[0.73;1.11]
中等度/正常 1.07[0.91;1.27] 0.79[0.64;0.99]
重度/正常 1.13[0.97;1.32] 0.86[0.70;1.06]
末期/正常 1.10[0.94;1.28] 0.82[0.66;1.01]
被験者数:正常14例、軽度10例、中等度11例、重度10例、末期9例
注:比の推定値及び95%信頼区間又は90%信頼区間は、年齢、性別及び体重で調整した事後解析に基づく。
表3
肝機能 AUC0-inf
比の推定値
[90%信頼区間] Cmax
比の推定値
[90%信頼区間]
軽度/正常 0.95[0.77;1.16] 0.99[0.80;1.23]
中等度/正常 1.02[0.93;1.12] 1.02[0.88;1.18]
重度/正常 0.97[0.84;1.12] 1.15[0.89;1.48]
被験