14. 本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
糖尿病用薬
ビグアナイド系薬剤
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害剤
SGLT2阻害剤
インスリン製剤 等
臨床症状・措置方法
糖尿病用薬との併用時には、低血糖症の発現に注意すること。特に、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。インスリン製剤又はスルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤の減量を検討すること。
低血糖症状が認められた場合には、適切に処置を行うこと。(「副作用」の項参照)
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される。
副作用
副作用等発現状況の概要
日本人が参加した第III相臨床試験(併合データ)1)~5)において、安全性評価対象症例2024例中859例(42.4%)に2399件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心305例(15.1%)、下痢146例(7.2%)、リパーゼ増加135例(6.7%)及び便秘129例(6.4%)であった(承認時)。
重大な副作用
1. 低血糖
低血糖及び低血糖症状(脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)があらわれることがある。特にインスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用した場合には、多く発現することが報告されている(「重要な基本的注意」、「相互作用」、【臨床成績】の項参照)。また、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。
低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
患者の状態に応じて、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を減量するなど慎重に投与すること。
2. 急性膵炎
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。
その他の副作用
副作用が認められた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1. 感染症
0.5~1%未満
胃腸炎
2. 代謝及び栄養障害
5%以上
食欲減退
3. 神経系障害
1~5%未満
頭痛
4. 神経系障害
0.5~1%未満
浮動性めまい
5. 神経系障害
頻度不明
味覚異常
6. 眼障害
頻度不明
糖尿病網膜症関連事象
7. 心臓障害
頻度不明
心拍数増加注1
8. 胃腸障害
5%以上
悪心、下痢、便秘、嘔吐
9. 胃腸障害
1~5%未満
腹部不快感、消化不良、腹部膨満、上腹部痛、腹痛、おくび
10. 胃腸障害
0.5~1%未満
胃食道逆流性疾患、鼓腸、胃炎
11. 肝胆道系障害
頻度不明
胆石症
12. 全身障害及び投与部位状態
0.5~1%未満
疲労、無力症
13. 全身障害及び投与部位状態
頻度不明
注射部位反応
14. 臨床検査注2
5%以上
リパーゼ増加
15. 臨床検査注2
1~5%未満
アミラーゼ増加、体重減少
16. 臨床検査注2
0.5~1%未満
血中クレアチンホスホキナーゼ増加
注1:心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
注2:これらの臨床検査値の変動に関連した症状は認められなかった。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦、妊娠している可能性のある女性、2ヵ月以内に妊娠を予定する女性には本剤を投与せず、インスリンを使用すること。[動物試験において、臨床用量に相当する又は下回る用量(最大臨床用量でのAUC比較においてラットで約0.3倍、ウサギで約0.3倍、サルで約2.6~4.1倍)で、胎児毒性(ラット:胚生存率の減少、胚発育の抑制、骨格及び血管異常の発生頻度増加6)、ウサギ:早期妊娠損失、骨格異常及び内臓異常の発生頻度増加7)、サル:早期妊娠損失、外表異常及び骨格異常の発生頻度増加8),9))が認められている。これらの所見は母動物の体重減少を伴うものであった。]
2. 授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
徴候・症状
過量投与により、最も多く報告された副作用は悪心であった。
適用上の注意
薬剤投与時の注意
(1) 投与時
1) 本剤はJIS T 3226-2に適合するA型専用注射針を用いて使用すること。[本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。]
2) 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れが認められた場合には、新しい注射針に取り替えること。
3) 1本の本剤を複数の患者に使用しないこと。
(2) 投与部位
本皮下注射は、腹部、大腿、上腕に行う。
注射場所は毎回変更し、前回の注射場所より2~3cm離すこと。
(3) 投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。
(4) その他
1) 本剤は他の製剤との混合により、成分が分解するおそれがあるため、本剤と他の製剤を混合しないこと。
2) 注射後は必ず注射針を外すこと。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。[針を付けたままにすると、液漏れや針詰まりにより正常に注射できないおそれがある。また、薬剤の濃度変化や感染症の原因となることがある。]
その他の注意
1. ラット10)及びマウス11)における2年間がん原性試験において、臨床用量に相当する又は下回る用量(最大臨床用量でのAUC比較においてラットでは定量下限未満のため算出できず、マウスで約1.3倍)で、甲状腺C細胞腫瘍の発生頻度の増加が認められたとの報告がある。
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