:腹膜透析施行中の日本人二次性副甲状腺機能亢進症患者
2. 反復投与時の血中濃度4)
日本人健康成人に本剤6及び12mgを食後に1日1回反復経口投与したときの薬物動態パラメータは下記のとおりである。いずれの投与量でも反復投与開始後速やかに定常状態に到達し、顕著な蓄積は認められなかった。(薬物動態の表3参照)
3. 食事の影響5)
日本人健康成人に本剤2mgを食後に単回経口投与したとき、絶食下投与に比べて、Cmaxは約20%の低下が認められたが、AUC0-tに影響は認められなかった。
4. 吸収6)
外国人健康成人にエボカルセト1mgを単回経口投与及び14C-エボカルセト4μgを静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、62.7%であった。
5. 分布7~9)
in vitroでのヒト血球移行率は5.2~9.2%であり、ヒト血漿蛋白結合率は97.8~98.4%であった。血漿中の主結合蛋白はアルブミン及びα1-酸性糖蛋白であった。また、日本人健康成人及び日本人肝機能障害患者での血漿蛋白結合率は97.9~98.2%と同程度であった。
(参考)動物実験の結果
14C-エボカルセトを雄性ラット(アルビノ及び有色ラット)に単回経口投与したとき、放射能はほぼ全身に分布し、アルビノラットで高い放射能が認められた組織はハーダー氏腺及び肝臓であった。有色ラットにおいて、眼球の放射能濃度はアルビノラットより高かった。更に、有色ラットの眼球、有色皮膚及びブドウ膜の放射能の消失は緩やかであり、14C-エボカルセト由来物質がメラニンに対して親和性を有することが示唆された。
6. 代謝6)、10)
(1)
14C-エボカルセトを用いたin vitro試験において、エボカルセトの代謝に寄与するUGT分子種及びCYP分子種はUGT1A1、UGT1A3、CYP2D6及びCYP3A4であることが示唆されたが、ヒト肝ミクロソーム中で生成した代謝物はいずれも試料中放射能の4%未満であり、極めて少なかった。
(2)
外国人健康成人に14C-エボカルセト1mgを単回経口投与したとき、血漿中には未変化体が最も多く認められ、総放射能に対する未変化体の比は、Cmaxでは95.5%、AUC0-72では80.0%であった。血漿中の主な代謝物として、活性を有する代謝物であるタウリン抱合体及びグリシン抱合体が認められたが、総放射能に対するそれぞれの比はCmaxでは7.5%及び3.1%、AUC0-72では11.2%及び8.5%であった。
7. 排泄6)、11)
外国人健康成人に14C-エボカルセト1mgを単回経口投与したとき、投与後264時間までに、糞及び尿中にそれぞれ投与放射能の32.7%及び61.2%が排泄された。糞中には未変化体として投与放射能の8.6%が排泄され、尿中には未変化体は認められなかった。
8. 肝機能障害患者8)
軽度(Child-Pugh分類A)及び中等度(Child-Pugh分類B)の日本人肝機能障害患者に本剤1mgを単回経口投与したとき、日本人健康成人と比較して、AUC0-∞はそれぞれ2.18倍及び1.28倍高かった。Cmaxはそれぞれ1.10倍及び0.91倍であり、顕著な差が認められなかった。
9. 透析による影響2~3)
血液透析施行中の日本人二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1及び4mgを経口投与した後の、透析器の動脈側及び静脈側から同時採血して得られた血漿中エボカルセト濃度を比較した結果、透析による除去は認められなかった。また、腹膜透析施行中の日本人二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1mgを経口投与した後の透析排液中エボカルセト濃度から算出された排泄率は2.33%以下であり、透析排液への排泄はほとんど認められなかった。
10. 薬物相互作用12)
日本人健康成人にテオフィリン100mg、エファビレンツ200mg、レパグリニド0.25mg、ジクロフェナクナトリウム25mg及びタダラフィル5mg(1日目及び18日目に経口投与)及び本剤6mg(4~20日目に1日1回反復経口投与)を併用した。その結果、テオフィリンのAUC0-t及びCmaxは、単独投与時と比較してそれぞれ1.26倍(90%信頼区間:1.19~1.33)、1.15倍(90%信頼区間:1.10~1.20)であり、AUC0-tの90%信頼区間の上限値が基準値1.25を上回った。エファビレンツ、レパグリニド、ジクロフェナクナトリウム及びタダラフィルのCmax及びAUC0-tについては、本剤併用の有無による影響は認められなかった。
表1 日本人健康成人に単回投与したときの薬物動態パラメータ
投与量 Cmax(ng/mL) tmaxa)(h) AUC0-∞(ng・h/mL) t1/2(h)
1mg(n=6) 58.8±13.2 1.50
1.00~3.00 601.6±170.3 19.77±13.82
3mg(n=6) 217±24 1.50
1.00~3.00 2239.7±269.5 17.32±6.74
6mg(n=6) 376±54 1.50
1.00~2.00 4038.5±1154.7 14.76±2.74
12mg(n=6) 867±109 2.00
1.00~3.00 8855.8±991.2 12.98±4.91
20mg(n=6) 1400±240 2.00
1.00~3.00 15307.4±4442.1 18.89±8.95
平均値±標準偏差
a):中央値、最小値~最大値
表2 日本人二次性副甲状腺機能亢進症患者に単回投与したときの薬物動態パラメータ
投与量 透析の種類 Cmax(ng/mL) tmaxa)(h) AUC0-∞(ng・h/mL) t1/2(h)
1mg(n=29) 血液透析 61.9±21.6 4.00
1.95~11.88 1288.5±954.9 20.86±13.07
4mg(n=28) 血液透析 210±98 4.08
2.02~