ては、本剤の重要性を考慮した上で授乳の中止あるいは本剤の投与を中止すること。[本剤の乳汁中への移行は不明である。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。
過量投与
徴候・症状:臨床試験において本剤を200mgまで皮下投与したが、用量と関連した毒性は報告されていない。
適用上の注意
1. 投与経路:
本剤は、皮下投与のみで使用すること。
2. 投与時:
(1)
投与30分前に冷蔵庫から取り出し、本剤を外箱に入れたままの状態で室温に戻しておくことが望ましい。室温に戻した後は24時間以内に投与するか、使用しなかった場合は廃棄すること。
(2) 皮膚に圧痛、挫傷、紅斑、硬化がある部位には使用しないこと。
(3) 投与部位は、上腕部、大腿部又は腹部とすること。同一箇所へ繰り返し注射することは避け、投与毎に注射部位を変えること。
(4) 本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
その他の注意
重症喘息患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(SIROCCO試験及びCALIMA試験)において、本剤の承認用法・用量で投与を受けた患者の14.9%(122/820例)に抗ベンラリズマブ抗体が認められ、12.0%(98/820例)に中和抗体が認められた。抗ベンラリズマブ抗体陽性となった一部の患者では、血清中ベンラリズマブ濃度の低下及び本剤投与後に減少した血中好酸球数の増加が認められた。なお、抗ベンラリズマブ抗体の発現による本剤の有効性及び安全性に対する影響を示唆する成績は得られていない1)。
薬物動態
1. 血清中濃度
(1) 単回投与2)
日本人健康成人に本剤25、100及び200mg注)を単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりである。
図1 血清中濃度推移(平均値+標準偏差)
表1 単回皮下投与時の薬物動態パラメータ 参照
注)本剤の承認用量は1回30mgである。(「用法・用量」の項参照)
(2) 反復投与3),4)
第III相国際共同試験(CALIMA試験)において、本剤の承認用法・用量で投与を受けた喘息患者(日本人患者を含む)の投与開始後16週及び48週の血清中トラフ濃度(平均値±標準偏差、以下同様)は、それぞれ412±330ng/mL(377例)及び326±267ng/mL(337例)であった。これらの患者のうち、日本人集団における投与開始後16週及び48週の血清中トラフ濃度は、それぞれ452±324ng/mL(26例)及び392±326ng/mL(26例)であった。
2. 吸収5)
母集団薬物動態解析の結果、上腕部への皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは58.9%と推定された。
3. 消失5)
ベンラリズマブはヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、肝臓以外にも広く生体に存在するタンパク質分解機構により消失すると推定される。
薬物動態の表
表1 単回皮下投与時の薬物動態パラメータ
投与量 25mg(6例) 100mg(6例) 200mg(6例)
tmax(day) 7.00(4.00, 7.00) 5.00(4.00, 7.00) 4.00(4.00, 7.00)
Cmax(μg/mL) 1.99±0.34 7.17±2.41 15.0±5.4
AUC0-t(μg・day/mL) 59.10±9.80 203.46±68.78 408.47±131.47
AUC0-∞(μg・day/mL) 61.33±10.12 211.92±76.02 420.13±136.69
t1/2(day) 15.6±3.0 17.4±3.0 15.6±2.6
CL/F(mL/day) 417.68±73.55 528.99±205.52 523.79±180.38
Vz/F(mL) 9,228.1±1,299.5 12,930.5±4,709.3 11,779.6±4,695.4
平均値±標準偏差(tmaxは中央値(最小値,最大値))
臨床成績
第III相国際共同試験(CALIMA試験)3),4),6)
中用量又は高用量の吸入ステロイド(ICS)及び長時間作用性β2刺激薬(LABA)で治療してもコントロール不良の成人又は小児(12歳以上、海外のみ)喘息患者1,306例(日本人患者83例を含む)を対象としたランダム化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較国際共同試験を実施した。中用量又は高用量ICS/LABAの併用下で、本剤30mg又はプラセボを、4週に1回(Q4W)、又は最初の3回は4週に1回、以降8週に1回(Q8W)、56週間皮下投与した。有効性の主要解析対象集団である高用量ICS/LABAを使用しているベースラインの血中好酸球数が300/μL以上の被験者において、主要評価項目である年間喘息増悪率(モデル調整済み)は、本剤Q8W群、プラセボ群でそれぞれ0.66、0.93であり、プラセボ群と比較して本剤Q8W群で有意に低下した(表2)。
表2 年間喘息増悪率 参照
有効性の主要解析対象集団のうち、日本人集団における年間喘息増悪率の解析結果を表3に示した。
表3 日本人集団における年間喘息増悪率 参照
また、ベースラインの血中好酸球数別の年間喘息増悪率の部分集団別解析結果は表4のとおりであった。
表4 ベースラインの血中好酸球数別の年間喘息増悪率のプラセボ群との比 参照
臨床成績の表
表2 年間喘息増悪率(高用量ICSを使用しているベースラインの血中好酸球数300/μL以上の集団)
CALIMA試験
本剤30mg Q8W群(239例) CALIMA試験
プラセボ群(248例) 参考:SIROCCO試験注 7)
本剤30mg Q8W群(267例) 参考:SIROCCO試験注 7)
プラセボ群(267例)
喘息増悪発現件数(回) 163 270 156 365
総観察期間(人・年) 245.4 261.2 236.1 238.2
年間喘息増悪率(回/ |