こと。(処置法は「過量投与」の項参照)
2. 非閉塞性腸間膜虚血(頻度不明)
非閉塞性腸間膜虚血があらわれることがあり、腸管壊死に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、激しい腹痛、血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
消化器
(頻度不明)
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢等
眼
(頻度不明)
視覚異常(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視等)
精神神経系
(頻度不明)
めまい、頭痛、失見当識、錯乱、せん妄等
肝臓
(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇
血液
(頻度不明)
血小板数減少
過敏症注3)
(頻度不明)
発疹、蕁麻疹、紫斑、浮腫等
その他
(頻度不明)
女性化乳房、筋力低下
注3)副作用があらわれた場合には使用を中止すること。
高齢者への投与
高齢者に投与する場合にはジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
小児等への投与
小児に投与する場合にはジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から投与を開始し、血中濃度や心電図等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
過量投与
1. 徴候、症状
ジギタリス中毒が起こることがある。(「副作用」の項参照)
2. 処置法
(1) 薬物排泄
胃内のジゴキシンの吸収を防止するために活性炭が有効と報告されている。
(2) 心電図
直ちに心電図による監視を行い、上記のジギタリス中毒特有の不整脈の発現に注意する。
(3) 重篤な不整脈の治療法
徐脈性不整脈及びブロックにはアトロピン等が用いられる。(徐脈性不整脈に通常用いられる交感神経刺激剤はジギタリス中毒には用いない。)
重篤な頻脈性不整脈が頻発するときは塩化カリウム、リドカイン、プロプラノロール等が用いられる。
(4) 血清電解質
1)
特に低カリウム血症に注意し、異常があれば補正する。
2)
高カリウム血症には、炭酸水素ナトリウム、グルコース・インスリン療法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
(5) 腎機能
ジゴキシンは腎排泄型であるので腎機能を正常に保つ。血液透析は一般に無効であるとされている。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤は、PTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 生物学的同等性試験
(1) ジゴキシン錠0.125mg「NP」
ジゴキシン錠0.125mg「NP」を2錠と標準製剤1錠(ジゴキシンとして0.25mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→96hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。1)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2) ジゴキシン錠0.25mg「NP」
ジゴキシン錠0.25mg「NP」と標準製剤のそれぞれ1錠(ジゴキシンとして0.25mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→96hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。2)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
2. 溶出挙動
ジゴキシン錠0.125mg「NP」及びジゴキシン錠0.25mg「NP」は、日本薬局方医薬品各条に定められたジゴキシン錠の溶出規格に適合していることが確認されている。3)
薬効薬理
次のような強心配糖体に共通の作用を示す。細胞膜にはナトリウムポンプが存在し、Na+、K+-ATPaseの働きで生み出させるエネルギーを用いて、細胞内Na+を汲み出すと共に細胞内にK+を取り込んでいる。強心配糖体の基本的作用はこのNa+、K+-ATPaseの阻害である。これとは別に、細胞膜には細胞外からのNa+の汲み込みと連動して細胞内のCa2+を汲み出す仕組みが存在しNa+、Ca2+-交換機構と呼ばれる。この交換機構は両方向に回転することが知られており、状況によってはNa+を細胞外に汲み出しCa2+を細胞内に汲み込む方向にも動く(reverse modeと呼ぶ)。強心配糖体によりNa+、K+-ATPaseが阻害されると細胞内Na+濃度が上昇するが、これによりNa+、Ca2+-交換機構は上記のreverse modeで回転しCa2+を細胞内に流入させる。これにより細胞内Ca2+濃度が高まるので心筋収縮力が増加する結果となる。即ち強心作用を現す。
強心配糖体は、上記の主作用(陽性変力作用)以外に次のような心臓作用を発揮する。(1)陰性変時作用:心拍数を減少させる作用であるが、その大部分は迷走神経(副交感神経)興奮を介する間接的作用である。(2)陰性変伝導作用:心房から心室への興奮の伝導を抑制する作用である。(3)異所性自動中枢誘起作用:不整脈発生につながる作用である。また、延髄の化学受容器引き金帯に対する刺激作用を有するので、嘔吐を引き起こす。4)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ジゴキシン(Digoxin)
化学名
3β-[2,6-Dideoxy-β-D-ribo-hexopyranosyl-(1→4)-2,6-dideoxy-β-D-ribo-hexopyranosyl-(1→4)-2,6-dideoxy-β-D-ribo-hexopyranosyloxy]-12β,14-dihydroxy-5β,1