平均眼圧下降値は-5.6~-4.5mmHgであり、12ヵ月間を通して安定した眼圧下降効果が認められた10)。
3. 米国と日本の国際共同臨床試験として実施された第III相二重盲検比較試験
トラボプロスト0.004%/チモロール0.5%配合点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)と本剤(ベンザルコニウム塩化物非含有製剤)との生物学的同等性の検証を目的に実施された原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者372例(日本人患者87例、外国人患者285例)を対象とした二重盲検比較試験(投与期間:6週間)において、平均眼圧値は本剤群で17.1mmHg、ベンザルコニウム塩化物含有製剤群で16.7mmHgであり、両製剤の同等性が示された11)。(表2参照)
表1 眼圧下降値(mmHg)の比較(最小二乗平均値と95%信頼区間)
ベースライン眼圧値(mmHg)
配合点眼液群 ベースライン眼圧値(mmHg)
対照薬群 眼圧下降値(mmHg)
配合点眼液群 眼圧下降値(mmHg)
対照薬群 眼圧下降値(mmHg)
群間差(配合剤群-対照薬群)
評価例数 129 127 129 127 -
測定時刻
10時† 24.8
[24.3, 25.3] 24.8
[24.3, 25.3] -7.3
[-7.7,-6.8] -6.1
[-6.5,-5.7] -1.1
[-1.7,-0.5]
測定時刻
12時† 24.6
[24.1, 25.0] 24.5
[24.1, 25.0] -7.1
[-7.5,-6.7] -6.0
[-6.4,-5.5] -1.1
[-1.7,-0.6]
測定時刻
16時† 24.0
[23.5, 24.4] 24.1
[23.6, 24.6] -7.0
[-7.4,-6.6] -6.3
[-6.7,-5.9] -0.7
[-1.3,-0.1]
測定時刻
併合†† - - -7.1
[-7.5,-6.7] -6.1
[-6.5,-5.7] -1.0
[-1.6,-0.4]
配合点眼液:トラボプロスト0.004%/チモロール0.5%配合点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)、対照薬:トラボプロスト0.004%点眼液
†:測定時刻ごとに全観察日を併合、††:全観察日と測定時刻を併合
表2 眼圧値(mmHg)の比較(最小二乗平均値と95%信頼区間)
本剤群 BAC含有製剤群 群間差
(本剤群-BAC含有製剤群)
全集団 17.1[16.8, 17.4]
(188) 16.7[16.4, 17.1]
(183) 0.4[-0.1, 0.8]
日本人 16.9[16.2, 17.5]
(44) 16.5[15.9, 17.2]
(43) 0.3[-0.6, 1.3]
外国人 17.2[16.8, 17.5]
(144) 16.8[16.4, 17.2]
(140) 0.4[-0.1, 0.9]
BAC含有製剤:トラボプロスト0.004%/チモロール0.5%配合点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)
( )内は評価例数、同等性マージン:±1.5mmHg
薬効薬理
1. トラボプロスト
(1) 眼圧下降作用
レーザー照射により眼圧を上昇させたカニクイザルに対し、トラボプロスト0.001%及び0.0033%点眼液を1日1回、9日ないし10日間点眼したところ、いずれの用量群とも測定したほとんどの時点で、ベースラインから有意な眼圧下降が認められた12)。
(2) 作用機序
トラボプロストは、FP受容体に対して選択的に作用するフルアゴニストであり、房水の流出経路のうち、ぶどう膜強膜流出経路からの房水の流出を促進することにより眼圧下降効果がもたらされると考えられている13)~16)。
2. チモロールマレイン酸塩
(1) 眼圧下降作用
ウサギにおけるα-キモトリプシン惹起高眼圧及び水負荷による眼圧上昇試験において、チモロールマレイン酸塩の点眼は有意に眼圧上昇を抑制することが認められている17)。
(2) β-受容体遮断作用
ラット、イヌ、ネコにおいてイソプロテレノール(イソプレナリン)による心拍数、心筋収縮力及び心拍出量の増加はチモロールマレイン酸塩の静注、経口投与により著明に抑制され、その効果はプロプラノロールより3倍及び10倍強い18)。
(3) 作用機序
サルにおけるチモロールマレイン酸塩の眼圧下降作用は主に房水産生の抑制によることが示唆されている19)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トラボプロスト(Travoprost)
化学名
Isopropyl(5Z )-7-((1R ,2R ,3R ,5S )-3,5-dihydroxy-2-{(1E ,3R )-3-hydroxy-4-[3-(trifluoromethyl)phenoxy]but-1-enyl}cyclopentyl)hept-5-enoate
構造式
分子式
C26H35F3O6
分子量
500.55
性状
無色~淡黄色の澄明又はわずかに混濁した液
アセトニトリル、メタノール、オクタノール又はクロロホルムに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
一般名
チモロールマレイン酸塩(Timolol Maleate)
化学名
(2S)-1-[(1,1-Dimethylethyl)amino]-3-(4-morpholin-4-yl-1,2,5-thiadiazol-3-yloxy)propan-2-ol monomaleate
構造式
分子式
C13H24N4O3S・C4H4O4
分子量
432.49
融点
約197℃(分解)
性状
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
包装
2.5mL×5本
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)