泌抑制作用により本剤の排泄が遅延するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
開発時
一般臨床試験及び比較臨床試験合計1,593例中265例(16.64%)に副作用又は臨床検査値異常が認められた。このうち、副作用は66例(4.14%)で、主なものは下痢(1.51%)、発疹(1.38%)、発熱(0.50%)等であった。臨床検査値異常は217例(13.62%)で、主なものはALT(GPT)上昇(6.48%)、AST(GOT)上昇(6.02%)、Al-P上昇(1.62%)等であった2,3)。
市販後における使用成績調査(再審査終了時)
3,566例中269例(7.54%)に副作用又は臨床検査値異常が認められ、主なものは肝機能異常(2.89%)、ALT(GPT)上昇(0.84%)、AST(GOT)上昇(0.81%)、発疹(0.67%)、下痢(0.59%)等であった。
1日用量12g(力価)を投与した一般臨床試験(承認事項一部変更承認時)
中等度から重度の市中肺炎患者を対象に、1日用量12g(力価)を投与した一般臨床試験では47例中10例(21.3%)に副作用又は臨床検査値異常が認められ、主なものはALT(GPT)上昇(10.6%)、AST(GOT)上昇(10.6%)、Al-P上昇(8.5%)、γ-GTP上昇(6.4%)、下痢(4.3%)等であった4)。
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(自発報告のため頻度不明)。
2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(自発報告のため頻度不明)。
3. 血液障害
無顆粒球症、貧血(溶血性貧血を含む)(0.38%)、血小板減少(0.19%)等の重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと(無顆粒球症は自発報告のため頻度不明)。
4. 急性腎不全、間質性腎炎
急性腎不全(0.1%未満)、間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(間質性腎炎は自発報告のため頻度不明)。
5. 偽膜性大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと(自発報告のため頻度不明)。
6. 肝機能障害
肝機能障害(0.10%)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7. 間質性肺炎、好酸球性肺炎
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎(0.1%未満)、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと(好酸球性肺炎は自発報告のため頻度不明)。
その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
1. 皮膚注2)(0.1~1%未満)
発疹、そう痒感
2. 皮膚注2)(0.1%未満)
蕁麻疹
3. 皮膚注2)(頻度不明注1))
多形紅斑
4. 血液注3)(1%以上)
好酸球増多
5. 血液注3)(0.1~1%未満)
白血球減少
6. 肝臓(1%以上)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇
7. 肝臓(0.1~1%未満)
Al-P上昇、LAP上昇、ビリルビン値上昇、γ-GTP上昇
8. 肝臓(0.1%未満)
黄疸
9. 消化器(0.1~1%未満)
下痢・軟便、悪心・嘔吐
10. 消化器(0.1%未満)
腹部不快感
11. 消化器(頻度不明注1))
黒毛舌
12. 中枢神経(頻度不明注1))
痙攣等の神経症状
13. 菌交代(頻度不明注1))
口内炎、カンジダ症
14. その他(0.1~1%未満)
発熱
15. その他(0.1%未満)
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)
16. その他(頻度不明注1))
ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
注1):自発報告のため頻度不明。
注2):発現した場合には投与を中止すること。
注3):定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では一般的に生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2)
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
アンピシリンの大量(3,000mg/kg/日)投与でラットに催奇形性が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
2.
母乳中へ移行することが報告されているので5)、授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
小児等への投与
1.
低出生体重児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
2.
新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
3.
1歳以下の小児では下痢・軟便の発現頻度が高いので、慎重に投与すること。
臨床検査結果に及ぼす影響
1.
*本剤の投与により、ベネディクト試薬、あるいはフェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2.
妊婦へのアンピシリン投与により、総結合型エストリオール、エストリオール-グルクロニド、結合型エストロン、エストラジオールの一時的な血清中濃度の減少を呈することがあるので注意すること。
過量投与
β-ラクタム系抗生物質製剤の脳脊髄液中濃度が高くなると、痙攣等を含む