する安全性は確立していない。〕
小児等への投与
1.
小児に対する使用経験が少なく,また,発熱の頻度が高いので慎重に投与すること。
2.
低出生体重児・新生児・乳児・幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 調製時
本剤は生理食塩液の適量に溶解後,生理食塩液,ブドウ糖液などで200~500mLに希釈し投与すること。
2. 投与時
(1)
本剤は輸液以外の他剤と混合して投与しないこと。
(2)
本剤は溶解後速やかに使用すること。
3. 投与速度・投与経路
本剤は緩徐に(100mL当たり30分以上かけて)点滴静脈内投与すること。
薬物動態
健常成人に対し,1日1回,800万単位を7日間連日投与した場合,抗原活性の経時的変化の測定から求めた本剤の半減期は約6時間であった1)。
(参考)動物における薬物動態2)~5)
125I標識体を雄ラットに静脈内投与した場合,血中放射能濃度は3相性の推移で減衰し,その半減期はα相2.9分,β相1.9時間,γ相6.8時間であった。また,投与後24時間で投与放射能の81%が尿中に排泄された。
雄ラット静脈内に 5 回連続反復投与した後の本剤の血中動態,組織内分布及び排泄は単回投与後の場合と同様であり,蓄積性はなかった。また,妊娠ラット又は分娩後ラットに125I標識体を投与した時,胎児又は乳汁に放射能の移行は認められたが,ミリモスチム活性の移行は認められなかった。
臨床成績
1. 臨床効果
(1) 骨髄移植6)
二重盲検群間比較試験の結果,有効率は55.2%であり,本剤の有用性が認められた。
(2) 卵巣癌7)
電話法群間比較試験の結果,有効率は50%であり,本剤の有用性が認められた。
(3) 急性骨髄性白血病8)
一般臨床試験の結果,本剤の有効率は70%であった。また,顆粒球数が500/mm3,1,000/mm3に到達するまでに要した日数は,非投与群に比べ短縮する傾向が認められた。
2. その他
急性骨髄性白血病患者の白血病細胞及び各種白血病株化細胞に対する試験管内での増殖促進作用はみられなかった9)10)。また,承認時までの臨床試験においては,本剤投与による白血病細胞の増殖を促進した症例は観察されず,骨髄移植においては白血病症例における1年6ヵ月の追跡調査の結果,白血病再発率は対照群(プラセボ投与群)に比し低い傾向がみられた11)。
臨床成績の表
以上の臨床試験の結果の概要は次表のとおりである。
対象 試験方法 有効率※(有効以上%)
骨髄移植 二重盲検比較試験 55.2%(32/58)
卵巣癌 電話法比較試験 50.0%(12/24)
急性骨髄性白血病 一般臨床試験 70.0%(7/10)
※効能・効果に基づいた有効率
薬効薬理
1. 顆粒球増加作用
(1) 正常動物における顆粒球-単球系造血作用
正常動物(マウス)の骨髄及び脾臓の単球系前駆細胞(CFU-M)を用量依存的に増加させた。しかし,末梢血白血球数及び白血球分画に対し,影響を与えなかった12)。
(2) 抗癌剤投与動物における顆粒球-単球系造血作用
1)
シクロホスファミド水和物投与白血球減少症マウスにおいて,骨髄及び脾臓の顆粒球・単球系前駆細胞(CFU-C)の増殖を促進するとともに,顆粒球の増加による末梢血白血球数の回復を促進した13)。
2)
5-FU投与白血球減少症マウスにおいて,末梢血白血球数の回復を促進する傾向を示した14)。
3)
アドリアマイシン投与白血球減少症サルにおいて,顆粒球を主とする末梢血白血球数の回復を促進し,その減少を抑制した15)。
(3) 骨髄移植動物による顆粒球-単球系造血作用
致死量の60Co照射後,骨髄移植を行ったマウスにおいて,骨髄及び脾臓のCFU-Cの顕著な増殖促進作用を示すとともに,顆粒球を主とする末梢血白血球数の回復を促進した16)。
(4) 白血球減少症患者血清中のコロニー形成能(CSA)増加作用
抗癌剤投与による白血球減少症患者の血清中CSAを増加させることが認められた17)18)。
2. 作用機序
(1)
ヒト単球系前駆細胞に作用して,その分化,増殖を促進し,単球・マクロファージから成るコロニーを形成させた19)。
(2)
ヒト末梢血単球及び骨髄細胞の単球・マクロファージに作用して,G‐CSF,GM-CSFの産生を刺激した19)。
(3)
ヒト非分画骨髄細胞に作用して共存する単球・マクロファージのG-CSF,GM-CSF産生作用を介して,顆粒球,顆粒球-単球,単球コロニーの形成を刺激,促進した20)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ミリモスチム(mirimostim)
本質
ヒト尿より精製される214個のアミノ酸残基からなる蛋白質のホモ2量体で構成される糖蛋白質(分子量:約84,000)である。
包装
1瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
元吉和夫他:新薬と臨床,37(5),689(1988)
文献請求No. 013-430
2)
野上俊彦他:基礎と臨床,22(9),2531(1988)
文献請求No. 013-431
3)
野上俊彦他:基礎と臨床,22(9),2547(1988)
文献請求No. 013-432
4)
野上俊彦他:基礎と臨床,22(9),2558(1988)
文献請求No. 013-433
5)
野上俊彦他:基礎と臨床,22(9),2555(1988)
文献請求No. 013-434
6)
柴田弘俊他:今日の移植,1(2),191(1988)
文献請求No. 013-439
7)
笠松達弘他:日本癌治療学会誌,23(7),1551(1988)
文献請求No. 013-441
8)
元吉和夫他:日本癌治療学会誌,23(11),2760(1988)
文献請求No. 013-443
9)
吉田賀津雄他:薬理と臨床,1(1),19(1991)
文献請求No. 013-425
10)
吉田賀津雄他:医学のあゆみ,144(11),865(1988)
文献請求No. 013-451
11)
Masaoka,T.et al.: