児気管支喘息治療・管理ガイドライン2000に基づき、併用薬の使用状況を集計した点数
薬効薬理
作用機序
モンテルカストは、システイニルロイコトリエン タイプ1受容体(Cys LT1受容体)に選択的に結合し、炎症惹起メディエーターであるLTD4やLTE4による病態生理学的作用(気管支収縮、血管透過性の亢進、及び粘液分泌促進)を抑制する。この作用機序に基づき、モンテルカストは抗喘息作用として、喘息性炎症の種々の因子を改善する。
1. LT受容体拮抗作用(受容体結合試験)
受容体結合試験(モルモット肺細胞膜、U937細胞膜及びTHP-1細胞膜)で、LTD4の受容体結合を強力に阻害し、その作用は血液成分による影響を受けなかった。LTC4及びLTB4に対する受容体拮抗作用は弱かった27)。
2. 気管支収縮抑制作用(摘出臓器及び動物試験)
モルモット摘出気管におけるLTD4の収縮を競合的に阻害した。また、モルモット及びリスザルにおいてLTD4誘発気管支収縮反応に対して強力かつ持続的な阻害作用を示した。一方、モンテルカストは、LTC4(LTC4の代謝を阻害した条件下)による摘出組織の収縮を阻害しなかった。また、モルモットを用いたヒスタミン、アラキドン酸、セロトニン及びアセチルコリン誘発の気管支収縮をほとんど阻害しなかった27)。
3. 抗原誘発による気管支収縮抑制作用
感作した近交系喘息ラット、モルモット及びリスザルの抗原誘発による気管支収縮反応を静脈内投与及び経口投与で抑制した27)。海外の臨床試験において、抗原投与による即時型及び遅発型気管支収縮をそれぞれ75%、57%抑制した28)。
4. 即時型及び遅発型気管支収縮反応に対する抑制作用
感作リスザルの抗原誘発による即時型及び遅発型気管支収縮反応を経口投与で抑制した27)。
5. アナフィラキシーショックに対する抑制作用
感作モルモットの卵アルブミンによるアナフィラキシ-ショックを部分的に抑制した29)。
6. 肺機能の改善作用
軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、1秒量及び最大呼気流量を改善した30)。
7. 好酸球に対する効果
軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、喀痰中の好酸球比率をプラセボに比べて有意に低下させた31)。同様に成人30)、小児患者9),32)における末梢血好酸球比率も有意に低下させた。
**有効成分に関する理化学的知見
一般名:モンテルカストナトリウム(Montelukast Sodium)[JAN]
**化学名:Monosodium(1-{[((1R)-1-{3-[(1E)-2-(7-chloroquinolin-2-yl)ethenyl]phenyl}-3-[2-(1-hydroxy-1-methylethyl)phenyl]propyl)sulfanyl]methyl}cyclopropyl)acetate
分子式:C35H35ClNNaO3S
**分子量:608.17
**性状 :本品は白色~微黄白色の粉末である。本品はメタノール及びエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、水に溶けやすい。本品は吸湿性である。本品は光によって黄色に変化する。本品は結晶多形が認められる。
**化学構造式:
包装
キプレス細粒4mg
アルミ包装:28包(7包×4)、100包(10包×10)、140包(7包×20)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
1歳以上6歳未満小児気管支喘息患者を対象とした国内臨床試験における有害事象の解析(社内資料).
2)
Van, Adelsberg, J., et al., Am. J. Respir. Crit. Care. Med., 167(7), A271(2003).
3)
Bisgaard, H., et al., Eur. Respir. J., 16(Suppl 31), 307(2000).
4)
西間三馨, 他, 臨床医薬, 21(6),605(2005).
5)
Kondo, N., et al., Allergol. Int., 55(3), 287(2006).
6)
Storms, W., et al., Clin. Exp. Allergy., 31(1), 77(2001).
7)
Philip, G., et al., J. Allergy Clin. Immunol., 124(4), 691(2009).
8)
Philip, G., et al., J. Allergy Clin. Immunol., 124(4), 699(2009).
9)
古庄巻史, 他, 臨床医薬, 21(10), 1019(2005).
10)
Migoya, E., et al., J. Clin. Pharmacol., 44(5), 487(2004).
11)
Knorr, B., et al., J. Clin. Pharmacol., 41(6), 612(2001).
12)
モンテルカスト細粒剤4mgの食事の影響(社内資料).
13)
モンテルカストの肝機能障害患者における薬物動態(社内資料).
14)
モンテルカストの蛋白との結合(社内資料).
15)
Filppula, A. M., et al., Drug Metab. Dispos.,39(5), 904(2011).
16)
Karonen, T., et al., Br. J. Clin. Pharmacol.,73(2), 257(2012).
17)
Karonen, T., et al., Clin. Pharmacol. Ther.,88(2), 223(2010).
18)
Chiba, M., et al., Drug Metab. Dispos., 25(9), 1022(1997).
19)
Friedman, E., et al., Clin. Pharmacol. Ther., 79(2), 72(2006).
20)
大西明弘, 他, 臨床医薬, 17(4), 443(2001).
21)
Balani, S. K., et al., Drug Metab. Dispos., 25(11), 1282(1997).
22)
Holland, S., et al., Clin. Pharmacol. Ther., 63(2), 231(1998).
23)
Malmstrom, K., et al., Am. J. Ther., 5(3), 189(1998).
24)
Schwartz, J., et al., Clin. Pharmacol. Ther., 61(2), 162(1997).
25)
Depre, M., et al., J. Clin. Pharmacol., 39(9), 941(1999).
26)
Van Hecke