ら集計した。頻度不明の副作用は海外の臨床試験での報告による。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。なお、動物実験(ラット及びウサギ)において、それぞれ4.5及び2.25mg/kg/日(臨床最大用量15mg、週3回投与での曝露量のそれぞれ約2.2及び5.9倍に相当する)を器官形成期に静脈内急速投与した結果、母動物に対する影響(血清カルシウム低下、振戦、体重及び摂餌量の減少)により胎児体重の低値が認められたが、催奇形性は認められなかった。動物実験(ラット)において、1.5及び3mg/kg/日(臨床曝露量にほぼ相当する)を着床から離乳時まで静脈内急速投与した結果、母動物に対する影響により、生産児数及びその生存率のわずかな低値や授乳期間中の出生児の一過性の体重増加抑制が認められ、妊娠期間のわずかな延長も認められた。また、動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている。〕
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与は低カルシウム血症を発現させると考えられる。過量投与の場合、低カルシウム血症の徴候及び症状を観察し、低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。
適用上の注意
1.
他剤との混注を行わないこと。
2.
本剤は透析回路静脈側に注入し、皮下、筋肉内には投与しないこと。
その他の注意
1.
海外において、他のカルシウム受容体作動薬による過度のPTHの低下により、無形成骨症が生じたとの報告がある。
2.
海外において、他のカルシウム受容体作動薬投与後の急激なPTHの低下により、低カルシウム血症及び低リン酸血症を伴う飢餓骨症候群(hungry bone syndrome)を発現したとの報告がある。
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与
日本人の血液透析下の慢性腎臓病患者に本剤5、10及び20mgを透析終了後に単回静脈内投与したときの血漿中エテルカルセチド濃度推移及びAUCは以下の通りであった。血漿中エテルカルセチド濃度は投与直後から速やかに低下したが、投与後24時間から次回透析まで概ね一定の濃度で推移した。1)投与後65時間から69時間まで血液透析を実施した結果、透析直後の血漿中エテルカルセチド濃度は透析直前の35~38%であった。本剤のAUCは用量に比例して増加した。2)
用量(mg):AUC(ng・hr/mL)
5mg:1110±360
10mg:2550±110
20mg:5460±680
n=4、平均値±標準偏差
(2) 反復投与
日本人の血液透析下の慢性腎臓病患者に本剤5mgを透析終了時の返血時に透析回路静脈側から週3回反復投与したときの透析直前の血漿中エテルカルセチド濃度推移は以下の通りであった。2)
2. 分布
(1)
慢性腎臓病患者の血漿中における本剤の非共有結合による蛋白結合率は41%、血液/血漿中濃度比は0.69であった(in vitro)。3)
(2)
本剤はジスルフィド交換反応により蛋白等と共有結合複合体を形成する。本剤のジスルフィド交換反応は可逆的であった(in vitro)。4)
(3)
血液透析下の慢性腎臓病患者に[14C]エテルカルセチドを静脈内投与したとき、血漿中総放射能の73%が蛋白との複合体として存在した(参考:外国人でのデータ)。5)
3. 代謝
(1)
本剤はCYPによる代謝を受けなかった(in vitro)。3)
(2)
本剤はCYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aを阻害せず、CYP1A2、2B6及び3A4を誘導しなかった(in vitro)。3)
4. 排泄
(1)
本剤は主に透析により生体内から消失し、血液透析下の慢性腎臓病患者に[14C]エテルカルセチドを静脈内投与したとき、175日以内に投与放射能の約60%が透析液中に排泄された。投与放射能の糞中及び尿中への排泄はいずれも5%未満であった(参考:外国人でのデータ)。5)
(2)
本剤はP-糖蛋白、BCRP、OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3、OCT2、PEPT1及びPEPT2の基質ではなく、P-糖蛋白、BCRP、BSEP、OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3及びOCT2に阻害作用も示さなかった(in vitro)。3,6,7)
臨床成績
1. プラセボ対照二重盲検比較試験
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者155例(本剤78例、プラセボ77例)を対象に、本剤又はプラセボを5mgより投与開始し、2.5~15mgの範囲で用量調整を行い週3回12週間透析回路静脈側に注入した。その結果、投与開始85日目の血清iPTH濃度が60~240pg/mLの範囲となった患者の割合(目標達成患者の割合)は、本剤で59.0%、プラセボで1.3%であり、本剤ではプラセボと比較し有意に高かった(p<0.0001)。8)
投与群:本剤群
目標達成患者の割合:59.0%(46/78例)
p値a):<0.0001(プラセボ群との比較)
投与群:プラセボ群
目標達成患者の割合:1.3%(1/77例)
p値a):<0.0001(プラセボ群との比較)
a)スクリーニング検査時の血清iPTH濃度、スクリーニング検査時の血清cCa濃度、シナカルセト塩酸塩のwash outの有無により層別したMantel-Haenszel検定
2. 長期投与試験
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者190例を対象に、本剤を5mgより投与開始し、2.5~15mgの範囲で用量調整を行い週3回1年間透析回路静脈側に注入した。その結果、本剤の血清iPTH濃度低下効果は長期にわたり維持され、投与開始365日目に目標値(60~240pg/mL)に達した患者の割合は87.5%(140/160例)であった。9)
薬効薬理
1. 作用機序
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH