とした試験は実施されていない。
注)本剤の承認用法・用量は1日1回125mgを食後に経口投与する。[「用法・用量」の項参照]
表1 単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量
(mg) N Cmax
(ng/mL) AUCinf
(ng・h/mL) Tmax
(h) t1/2
(h)
75 11 37.34(20) 1071(24) 6.00
(6.00-8.02) 23.4(16.1)
100 11 51.79(18) 1487(21) 6.00
(2.00-8.10) 23.5(14.0)
125 11 65.16(23) 2021(20) 8.00
(4.02-12.0) 23.3(13.2)
150 11 86.64(26) 2497(22) 6.05
(6.00-12.0) 23.4(14.2)
N:4用量すべて投与完了した例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:消失半減期
Tmaxは中央値(最小値、最大値)、それ以外は幾何平均値(幾何変動係数%)
表2 反復投与時の薬物動態パラメータ
投与量
(mg) N Cmax
(ng/mL) AUC24h
(ng・h/mL) Tmax
(h) Ctrough
(ng/mL)
125 6 124.7(26) 1979(16) 4.90
(2.00-8.20) 59.75(38)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUC24h:0時間から24時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、Ctrough:トラフ血漿中濃度
Cmax、Ctrough及びAUC24hは幾何平均値(変動係数%)、Tmaxは中央値(最小値、最大値)
臨床成績
1. HR陽性かつHER2陰性であり、進行乳癌に対して内分泌療法歴のない手術不能又は再発閉経後乳癌患者を対象とした国際共同第III相試験20)
HR陽性かつHER2陰性であり、進行乳癌に対して内分泌療法歴のない手術不能又は再発閉経後乳癌患者666例(日本人46例を含む)を対象に、本剤+レトロゾール併用投与とプラセボ+レトロゾール併用投与の有効性を検討することを目的とした、無作為化、二重盲検、並行群間、国際共同第III相試験を実施した。本剤は、開始用量として125mgを1日1回3週間連続経口投与後1週間休薬し、レトロゾールは2.5mgを1日1回連続投与した。
主要評価項目である無増悪生存期間の中央値は、本剤+レトロゾール群で24.8ヵ月、プラセボ+レトロゾール群で14.5ヵ月であり、ハザード比0.576(95%信頼区間:0.463,0.718;片側層別ログランク検定p<0.000001)で本剤+レトロゾール群で統計学的に有意な無増悪生存期間の延長が認められた。
治験責任医師判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(全解析対象集団)
2. HR陽性かつHER2陰性であり、内分泌療法に抵抗性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした国際共同第III相試験21)
HR陽性かつHER2陰性であり、内分泌療法に抵抗性の手術不能又は再発乳癌患者(閉経状態を問わない)521例(日本人35例を含む)を対象に、本剤+フルベストラント併用投与とプラセボ+フルベストラント併用投与の有効性を検討することを目的とした、無作為化、二重盲検、並行群間、国際共同第III相試験を実施した。本剤は、開始用量として125mgを1日1回3週間連続経口投与後1週間休薬し、フルベストラントは500mgを初回、2週後、4週後、その後4週ごとに投与した。閉経前・閉経周辺期患者にはゴセレリンを併用投与した。
中間解析時点(2014年12月5日カットオフ)において主要評価項目である無増悪生存期間の顕著な延長が認められ、事前に規定した中止基準を満たし、本試験は有効中止となった。無増悪生存期間の中央値は、本剤+フルベストラント群で9.2ヵ月、プラセボ+フルベストラント群で3.8ヵ月であり、ハザード比0.422(95%信頼区間:0.318,0.560;片側層別ログランク検定p<0.000001)で本剤+フルベストラント群で統計学的に有意な無増悪生存期間の延長が認められた。
治験責任医師判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(全解析対象集団)
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果22)
パルボシクリブは、ヒト乳癌由来T47D及びMCF7細胞株の増殖を抑制した。また、ヒト乳癌由来ZR-75-1細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した。
2. 作用機序23)
パルボシクリブはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6に対して阻害活性を有する低分子化合物である。パルボシクリブは、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、網膜芽細胞腫(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
パルボシクリブ(Palbociclib)
化学名
6-Acetyl-8-cyclopentyl-5-methyl-2-{[5-(piperazin-1-yl)pyridin-2-yl]amino}pyrido[2,3-d]pyrimidin-7(8H)-one
分子式
C24H29N7O2
分子量
447.53
構造式
性状
パルボシクリブは黄色~橙色の粉末である。N,N-ジメチルアセトアミドに溶けにくく、エタノール(99.5)及びメタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
分配係数(log D)
0.99(pH7.4、1-オクタノール/水)
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
イブランスカプセル25mg:50カプセル(10カプセル×5PTP)
イブランスカプセル125mg:21カプセル(7カプセル×3PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資