。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与(日本人データ)4)
健康成人14例に本剤75、100、125及び150mg注)を食後に単回投与したとき、投与後6時間でCmaxに達した。本剤の消失半減期は約23時間であり、Cmax及びAUCinfは用量に比例して増加した。
(表1参照)
単回投与時の血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
(2) 反復投与(日本人データ)5)
進行乳癌患者6例に本剤125mgを食後に反復投与したときのサイクル1第15日(定常状態時)の薬物動態パラメータを以下に示す。
(表2参照)
反復投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
進行固形癌患者6例に本剤125mgを空腹時反復投与したときの累積係数は1.9であり、本剤のt1/2から予測される値と一致した。
(3) バイオアベイラビリティ(外国人データ)6)
健康成人14例に本剤125mgを空腹時単回経口投与及び本剤50mg注)を単回静脈内投与注)したときの絶対的バイオアベイラビリティは46%であった。
(4) 食事の影響(外国人データ)7)
本剤を健康成人に空腹時投与した場合、約13%の健康被験者の曝露量が著しく低下した。食後投与により著しく低い曝露量を示す被験者において曝露量の増加が認められたが、他の被験者では臨床的に意味のある増加は認められなかった。
健康成人28例に本剤125mgを高脂肪食後に単回経口投与したときのAUCinf及びCmaxは、空腹時と比較して、それぞれ21%及び38%増加した。
2. 分布(外国人データ)8)
健康成人14例に本剤50mg注)を空腹時単回静脈内投与注)したとき、分布容積の平均値(変動係数)は1008L(29%)であった。癌患者に本剤125mgを空腹時反復経口投与したときの定常状態時の見かけの分布容積(変動係数)は2583 L(26%)であった。
in vitro試験より、本剤のヒト血漿蛋白結合率は約85%であり、蛋白結合率は500~5000ng/mLの範囲では薬物濃度に依存しなかった。
3. 代謝(外国人データ)9)
in vitro及びin vivo試験より、本剤はヒトにおいて主に肝代謝を受け、本剤が主にCYP3A及びSULT2A1により代謝されることが示された。in vivo試験より、ヒトにおける主な代謝経路は酸化及び硫酸抱合であり、マイナーな経路としてアシル化及びグルクロン酸抱合が認められた。
また、健康成人6例に14Cで標識した本剤125mgを空腹時単回経口投与したとき、ヒト血漿中では主に未変化体として存在し(血漿中総放射能の23.3%)、主要な代謝物はグルクロン酸抱合体(血漿中総放射能の14.8%)であった。
4. 排泄(外国人データ)10)
健康成人6例に14Cで標識した本剤125mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後15日までに投与放射能の91.6%が回収され、投与放射能の74.1%が糞中に、17.5%が尿中に排泄された。未変化体の糞中及び尿中への排泄率は投与量のそれぞれ2.3%及び6.9%であり、本剤は主に代謝物として排泄された。
5. 薬物相互作用
(1) イトラコナゾール(外国人データ)11)
健康成人12例に本剤125mgを食後にイトラコナゾール(200mg1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ87%及び34%増加した。
(2) リファンピシン(外国人データ)12)
健康成人15例に本剤125mgを空腹時にリファンピシン(600mg1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ85%及び70%減少した。
(3) モダフィニル(外国人データ)13)
健康成人14例に本剤125mgを食後にモダフィニル(400mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ32%及び11%減少した。
(4) ラベプラゾール(外国人データ)14)
1)
健康成人26例に本剤125mgを空腹時にラベプラゾール(40mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ56%及び75%減少した。
2)
健康成人14例に本剤125mgを食後にラベプラゾール(40mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ13%及び41%減少した。
(5) ミダゾラム(外国人データ)15)
健康成人26例にミダゾラム2mgを空腹時に本剤(125mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、ミダゾラムのAUCinf及びCmaxはそれぞれ61%及び37%増加した。
(6) タモキシフェン(外国人データ)16)
健康成人25例に本剤125mgを空腹時にタモキシフェン(20mg1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のAUCinf及びCmaxはそれぞれ13%及び20%増加した。
(7) In vitro試験17)
本剤はin vitro試験において、消化管のP-gp及びBCRP、並びにOCT1に対し阻害作用を示した。
6. 特殊集団における薬物動態
(1) 肝機能障害を有する被験者における薬物動態(外国人データ)18)
正常肝機能の被験者並びに軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者28例に、本剤75mg注)を単回投与したときの本剤の非結合型濃度から求めたAUCinfは、正常肝機能の被験者と比較して、軽度の肝機能障害を有する被験者(Child-Pugh分類 A)では17%減少し、中等度(Child-Pugh分類 B)及び重度(Child-Pugh分類 C)の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ34%及び77%増加した。また、本剤の非結合型濃度から求めたCmaxは、正常肝機能の被験者と比較して、軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者では、それぞれ7%、38%及び72%増加した。
(2) 腎機能障害を有する被験者における薬物動態(外国人データ)19)
正常腎機能の被験者並びに軽度、中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者31例に、本剤125mgを単回投与したときの本剤のAUCinfは、正常腎機能(クレアチニンクリアランス≧90mL/min)の被験者と比較して、軽度(60mL/min≦クレアチニンクリアランス<90mL/min)、中等度(30mL/min≦クレアチニンクリアランス<60mL/min)及び重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min)の腎機能障害を有する被験者でそれぞれ、39%、42%及び31%増加した。本薬のCmaxは、正常腎機能の被験者と比較して、軽度、中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者でそれぞれ17%、12%及び15%増加した。なお、血液透析が必要な患者を対象