一過性の複視
その他
0.1~5%未満
熱感
その他
0.1%未満
一過性の血圧変動、倦怠感
その他の副作用の注意
注2)このような場合には投与を中止すること。
適用上の注意
1.
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
(1)
筋肉内注射は、やむを得ない場合にのみ、必要最少限に行うこと。なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。また、低出生体重児、新生児、乳児、小児には特に注意すること。
(2)
神経走行部位を避けるよう注意すること。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
2.
静脈内に投与する場合には、できるだけゆっくり投与すること。
臨床成績
1.
頭部外傷並びに脳手術に伴う意識障害
頭部外傷や脳手術に伴う意識障害患者の意識水準、脳波等を改善する。なかでも著明な脳幹症状を伴わない患者に対する改善効果が高いことが認められている。1,2)
2.
脳梗塞急性期意識障害3)
脳卒中発症後2週間以内の急性期意識障害患者に本剤1g/日2週間連日静注した二重盲検比較試験において、脳梗塞では本剤投与群が非投与群より有意に優れたが、脳出血の場合には有意の差が認められなかった。この相違は、コンピュ-タ-断層撮影の所見から脳の器質的病変の程度が脳出血においては脳梗塞に比し大であることに起因すると考えられ、脳出血急性期意識障害に対する効能・効果を取得していない。
3.
脳卒中片麻痺患者の上肢機能回復促進
リハビリテ-ション及び通常の内服薬物療法を行っている発症後1年以内の脳卒中片麻痺患者を対象として、本剤0.25g/日、1g/日を8週間静注した二重盲検比較試験において上肢運動機能の改善率は4週目では1g投与群が0.25g投与群及び本剤非投与対照群より高く、8週目では0.25g及び1g投与群が本剤非投与対照群より優れることが認められている。4,5)また、製造販売後の204例についての使用成績調査でも有用性が認められている。6)
4.
急性膵炎
膵炎患者を対象として蛋白分解酵素阻害剤ガベキサ-トメシル酸塩に併用して本剤1g/日を1~2週間静注した二重盲検比較試験において、本剤併用群が蛋白分解酵素阻害剤単独群に比し、全般改善度で有意に優れ、症状別では特に上腹部痛、腹部膨満、腹膜炎症状、AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン等の改善効果が高く、併用療法の有用性が認められている。7)また、蛋白分解酵素阻害剤アプロチニンに併用して本剤1g/日を1~2週間静注した非盲検比較試験においてもアプロチニン単独群と比べ、上記と同様に併用群がより優れる成績が得られている。8)
薬効薬理
1. 意識障害、脳卒中後の片麻痺に対する作用
(1)
意識障害患者1)、脳を無酸素ないし低酸素状態にしたラット9)及び視床梗塞犬10)の脳波を改善する。
(2)
大脳皮質刺激による皮質脳波覚醒反応及び誘発筋放電の閾値の上昇を抑制し、上行性網様賦活系及び錐体路系の働きを促進して意識水準及び運動機能を高める(ウサギ)。11)
(3)
実験的脳虚血下の脳卒中易発症ラット12)、脳虚血-再灌流ラット13)、低酸素下の虚血ラット14)及び実験的脳梗塞サル15)などの病態モデルにおいて、急性卒中発作、神経症状(意識障害、運動障害)の発現を抑制し、死亡率を低下させる。
(4)
脳循環障害患者において脳血流の増加作用、脳血管抵抗の低下作用を示し、脳循環を改善する。16)特に脳幹部血流量を増加させる(イヌ)。17)
(5)
脳血管障害患者において、筋電図上、不全麻痺筋の低下した最大筋仕事量の増加18)及び荷重負荷時の疲労現象発現時間の延長をもたらし、中枢性運動機能障害を改善する。
(6)
グルコ-スの脳内取り込み促進(脳虚血-再灌流ラット19)、ネコ脳灌流法20))、乳酸の脳内蓄積の抑制(ネコ脳灌流法)20)、実験的脳梗塞家兎21)における脳ミトコンドリアの呼吸機能低下の改善、虚血により低下したグルコ-スからアセチルコリンの生合成促進及びド-パミン代謝回転の改善(ラット)22)、脳虚血時の脳内脂肪酸遊離の抑制(ラット)23,24)等、脳機能・代謝改善作用を示す。
(7)
脳虚血ラットにおいて神経細胞膜分画に取り込まれ、リン脂質生合成を促進し、リン脂質代謝を改善する。25)
2. 膵炎に対する作用
(1)
実験的急性膵炎イヌ26)及びラット27)において膵・肝組織の壊死を主とする変性を軽減し、生存時間を延長させる。本剤の単独投与に比較して、本剤を蛋白分解酵素阻害剤(ガベキサ-トメシル酸塩又はアプロチニン)と併用した場合にその作用は増強される。
(2)
実験的急性膵炎ラットの回復期に膵の膜脂質画分によく取り込まれることから、レシチン生合成促進作用を介して膵の生体膜修復に関与するものと推定される。28)
(3)
ヒト膵液及び急性膵炎患者血清中のフォスフォリパ-ゼA2活性を阻害し、レシチンの分解を抑制する(in vitro)。29~31)
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
シチコリン(Citicoline)〔JAN〕
化学名
Cytidine diphosphate choline(CDP-choline)
分子式
C14H26N4O11P2
分子量
488.32
性状
シチコリンは白色の結晶性の粉末で、においはない。水に極めて溶けやすく、エタノ-ル(95)、アセトン又はクロロホルムにほとんど溶けない。極めて吸湿性である。
取扱い上の注意
【注意】
本品は「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、ヤスリを用いず、アンプル枝部のマ-ク(青)の反対方向に折り取ること。
包装
0.5g・2mL : 50管
**1g・4mL : 10管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
横山育三他 : 診療,21 : 1894,1968.
2)
石井昌三他 : 脳と神経,16 : 281,1964.
3)
田崎義昭他 : 医学のあゆみ,136 : 791,1986.
4)
間 得之他 : 臨牀と研究,53 : 3781,1976.
5)
上田 敏