試験において、母集団薬物動態解析により推定した過活動膀胱患者におけるCL/Fの母集団平均値は、男性が6.95L/h、女性が5.76L/hであった。母集団推定値から予想される10mg投与時の定常状態におけるAUC24hは、男性が1,085ng・h/mL、女性が1,309ng・h/mLであり、本剤を10mg投与したときの血漿中濃度は健康高齢者とほぼ同じと考えられた。
6. 相互作用10)11)(外国人データ)
本剤10mgをケトコナゾール200mg及び400mgと併用したとき、本剤のAUCinfは併用によりそれぞれ2倍及び2.8倍に上昇した。
7. QT間隔に対する影響12)(外国人データ)
本剤反復投与時のQT間隔に及ぼす影響を検討することを目的として、健康成人女性86例を対象に二重盲検比較対照試験を実施した。本剤10mg投与時の定常状態において、QT間隔の変化はプラセボと同程度であった。一方、本剤30mg投与時の定常状態、及びモキシフロキサシン400mgの単回投与時においてQT間隔の増加が認められた。(「薬物動態の表」表3参照)
薬物動態の表
表1 単回投与時のパラメータ
投与量
(mg) 例数 Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUCinf
(ng・h/mL) t1/2
(h) CL/F
(L/h)
5 12 6.54
±2.41 5.50
±1.17 314.57
±110.61 38.03
±7.48 13.68
±5.81
10 12 14.87
±3.41 5.67
±0.78 751.65
±255.96 40.28
±9.21 11.04
±3.46
20注) 12 25.94
±4.01 5.67
±1.15 1,191.59
±316.94 36.94
±8.51 13.57
±3.74
40注) 12 53.09
±9.18 5.33
±1.23 2,535.55
±613.92 40.55
±13.17 12.54
±2.89
80注) 12 100.31
±27.54 4.08
±1.78 4,144.65
±1,571.57 34.20
±4.79 16.43
±6.17
(平均値±標準偏差)
注)国内で承認された本剤の1日最高投与量は10mgである。
表2 反復投与時のパラメータ
対象 例数 Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUC24h
(ng・h/mL) t1/2
(h) CL/F
(L/h)
非高齢男性 15 34.47
±11.12 3.9
±1.1 624.71
±226.48 44.0
±10.1 13.76
±5.20
非高齢女性 14 37.57
±18.31 5.2
±1.4 732.84
±375.83 39.2
±9.1 12.83
±5.71
高齢男性 16 52.89
±23.47 4.6
±1.6 1,091.27
±493.88 71.1
±28.3 8.60
±4.68
高齢女性 16 53.82
±10.27 5.6
±1.8 1,095.61
±213.19 61.3
±13.1 7.18
±1.69
(平均値±標準偏差)
表3 定常状態におけるQT間隔のベースラインからの変化量(プラセボとの差)
薬剤 QTc注1)
(msec) 90%信頼区間:下限 90%信頼区間:上限
コハク酸ソリフェナシン10mg/日 0 -5 5
コハク酸ソリフェナシン30mg/日注2) 6 1 11
モキシフロキサシン400mg/日 10 6 13
注1)被験者毎に補正したQTcの推定値。被験者毎にQT及びRR間隔の実測値を直線回帰式に当てはめ、QTcを求めた。
注2)国内で承認された本剤の1日最高投与量は10mgである。本剤10mgをCYP3A4阻害剤であるケトコナゾール400mgと併用したとき、本剤のAUCinfは2.8倍に上昇したが、これは本剤30mg投与時の血漿中濃度に相当する。
臨床成績
国内で実施された過活動膀胱患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験における成績は以下のとおりであった。本剤5mgあるいは10mgを1日1回経口投与したときの結果は、主要評価項目である24時間あたりの平均排尿回数の変化量、副次的評価項目である24時間あたりの平均尿意切迫感回数の変化量、24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数の変化量及び24時間あたりの平均尿失禁回数の変化量に関して本剤5mg群、10mg群ともプラセボ群に比し有意な減少が認められた13)。(「臨床成績の表」表4、表5、表6、表7参照)
臨床成績の表
表4 最終評価時の24時間あたりの平均排