(L-ドパ非併用107例、併用243例)を対象として行った。その結果、改善率はL-ドパ非併用例で53.3%(48/90例)、併用で50%(103/206例)であり、至適用法・用量は初回用量が0.25mg/日で、漸増投与し2~4mg/日の範囲で維持量を定める方法が推奨された。
(2) 第III相二重盲検試験11,12)
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)L-ドパ非併用154例、併用235例を対象として、それぞれ二重盲検試験を実施した。その結果、カベルゴリンの改善率はL-ドパ非併用例で50%(35/70例)、併用例で43.7%(45/103例)であり、それぞれの試験で本剤の有効性が確認された。
(3) 長期臨床試験13-17)
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)296例を対象として最長約3年(6カ月以上261例、1年以上168例)長期投与を行った。その結果、全症例での改善率は45.5%(130/286例)であり、投与期間の長短による改善率に大きな変動はみられなかった。安全性に関しては特に問題はみられず、依存性を思わせる所見もみられなかった。
2. 乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害及び高プロラクチン血性下垂体腺腫
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者325例を対象に二重盲検試験を含む臨床試験を実施した結果、改善率(「中等度改善」以上の割合)は80.4%(242/301例)であった。効能別の改善率は以下のとおりであった。(承認時)(表1参照)
(1) 前期・後期第II相試験18,19)
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者34例を対象として0.125~1.0mg/週の前期第II相試験を実施した結果、87.9%(29/33例)の改善率を認めた。
後期第II相試験では高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者125例を対象として0.25~0.75mg/週の漸増投与を実施した結果、14週時において82.4%(84/102例)の改善率が得られ、臨床推奨用法・用量は、0.25mg~0.75mg1週1回漸増投与とされた。
(2) 第III相比較臨床試験20)
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者184例を対象として、二重盲検比較試験を実施した結果、カベルゴリンの改善率は76.2%(64/84例)であり、本剤の有効性が確認された。
(3) 長期臨床試験21)
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者102例を対象として、最長132週(26週以上59例、53週以上15例)の長期投与試験を実施した結果、改善率は76.4%(68/89例)であり、長期投与による効果の減弱はみられず、忍容性は良好であった。
3. 産褥性乳汁分泌抑制
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦339例(有効性評価例数)を対象に二重盲検試験を含む臨床試験を実施した結果、1.0mg単回投与による著効率(「著効」の割合)は以下のとおりであった。(承認時)(表2参照)
(1) 前期・後期第II相試験22,23)
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦46例を対象として前期第II相試験を実施した結果、1.0mg単回投与による著効率は100%(17/17例)であった。
後期第II相試験では分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦189例を対象として3用量間の二重盲検比較試験を実施した結果、著効率94.2%(49/52例)の1.0mg単回投与が臨床推奨用法・用量とされた。
(2) 第III相比較臨床試験24)
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦246例を対象として、二重盲検比較試験を実施した結果、カベルゴリンの著効率は96.8%(120/124例)であり、本剤の有効性が確認された。
表1
効能・効果 改善率(%)
高プロラクチン血性排卵障害 77.2(125/162例)
高プロラクチン血性下垂体腺腫 79.3(46/58例)
乳汁漏出症 87.7(71/81例)
表2
効能・効果 著効率(%)
産褥性乳汁分泌抑制 96.4(186/193例)
薬効薬理
本剤は持続的なドパミンD2受容体刺激作用を有し、中枢神経系に対しては黒質線条体のドパミンD2受容体に作用して抗パーキンソン作用を示す。また、内分泌系に対しては下垂体前葉のドパミンD2受容体に作用してプロラクチン分泌を特異的に抑制し、抗プロラクチン作用を示す。
1. 中枢神経系に対する作用
(1) 脳内ドパミンD2受容体に対する親和性25)
ラット線条体のドパミンD2受容体に強い親和性を示した。
(2) 旋回運動誘発作用26)
黒質破壊ラット(Ungerstedtモデル)において破壊側と反対側への旋回運動を示した。
(3) MPTP誘発パーキンソン様症状の改善作用27)
カニクイザルのMPTP誘発パーキンソン様症状を持続的に改善した。
(4) レセルピン誘発運動障害モデルの改善作用28)
マウスあるいはラットのレセルピン誘発アキネジア、カタレプシー及び固縮を持続的に改善した。
(5) L-ドパとの併用効果28,29)
カニクイザルのMPTP誘発パーキンソン様症状及びマウスのレセルピン誘発カタレプシーに対してL-ドパとの併用により、その効果の増強が認められた。
2. 内分泌系に対する作用
(1) プロラクチン分泌に対する作用30,31)
雌性ラット及びマーモセットを用いた各種高プロラクチン血症モデルにおいて、血清プロラクチン濃度を用量依存的に低下させた。
(2) 乳汁分泌抑制作用32)
授乳中のラットにおいて、0.03mg/kgより用量依存的に乳汁分泌を抑制した。
(3) 高プロラクチン血性排卵障害に対する作用33)
ラットの高プロラクチン血性排卵障害モデルにおいて、0.003mg/kgより用量依存的に無排卵状態を改善した。
(4) 下垂体腺腫に対する作用34)
ラットのプロラクチン産生下垂体腺腫モデルにおいて、用量依存的に血清プロラクチン濃度を低下させ、下垂体重量の増加を抑制した。
(5) 内分泌ホルモンに対する影響30,35)
ラットのプロラクチン分泌を抑制したが、LH、FSH、TSH、ACTH、GHには影響しなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カベルゴリン(cabergoline)
化学名
(-)-1-[(6aR,9R,10aR)-7-allyl-4,6,6a,7,8,9,10,10a-octahydroindolo[4,3-fg]quinoline-9-carbonyl]-1-(3-dime