への投与
1.
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また,妊娠する可能性のある女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には,適切な避妊をするよう指導すること。[妊娠中に本剤を投与された患者で児の奇形が報告されており,動物実験(ラット,ウサギ)で催奇形性、胎児毒性が認められている。また,マウスに本剤10mg/kg以上を投与した結果,マウス精原細胞に染色体異常が認められたとの報告がある。]
2.
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していないので,投与する場合には副作用の発現に特に注意し,慎重に投与すること。なお,子宮頸癌では小児に対する使用経験はない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
その他の注意
1.
動物実験(イヌ・ラット)で精巣の萎縮,精子形成障害が発現し,投与後約1カ月の休薬において回復性は認められなかった。これらの毒性については,別の動物実験で投与後2又は3カ月の休薬において回復又は回復傾向が認められている。
2.
細菌での修復試験,復帰変異試験,マウスの小核試験において変異原性が認められている。
薬物動態
1.
癌患者に本剤1日1回150mgを5日間経口投与したところ,1日目と5日目の血中濃度の推移に差はなく,蓄積傾向は認められなかった。2),9)
2.
癌患者に本剤1日1回50mgを21日間経口投与したところ,1日目と21日目の血中濃度の推移に差はなく,蓄積傾向は認められなかった。2),9
臨床成績
9)~20)
1. 肺小細胞癌
単独投与の試験における奏効率は25.0%(33/132)であった。また,併用療法の試験における奏効率は23.1%(3/13)であった。
2. 悪性リンパ腫
単独投与の試験のA法(5日間投与)における奏効率は44.3%(43/97),B法(21日間投与)における奏効率は53.0%(44/83)であった。また,併用療法の試験のA法(5日間投与)における奏効率は81.8%(9/11)であった。
3. 子宮頸癌
単独投与の試験(21日間投与)における奏効率は23.5%(23/98)であった。また,子宮頸癌における病理組織別奏効率は,扁平上皮癌では27.1%(23/85)であったが,腺癌8例(うち未治療例1例)及び腺扁平上皮癌5例(うち未治療例はなし)では奏効例はなかった。
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用21)~23)
マウス可移植性ルイス肺癌に対して抗腫瘍作用が認められた。
ヌードマウスの可移植性ヒト悪性リンパ腫(Case2及びCase6),ヒト肺癌(LX-1,Lu-134,N231,Lu-24,Lu-61),ヌードマウス皮下移植ヒト子宮頸癌(HeLa S3,TCO-1)及びヌードマウス子宮移植ヒト子宮頸癌(HeLa S3)に対して増殖抑制効果を示した。
2. 作用機序24)~27)
細胞周期のS期後半からG2期にある細胞に対して殺細胞作用を示し,その機序は,DNAに対する直接作用ではなく,DNA構造変換を行う酵素トポイソメラーゼIIの活性を阻害するなどが考えられる。また,この殺細胞作用は作用濃度と作用時間の双方に依存して増強する。
有効成分関する理化学的知見
一般名
エトポシド(Etoposide)
化学名
(5R,5aR,8aR,9S)-9-{[4,6-O-(1R)-Ethylidene-β-D-glucopyranosyl]oxy}-5-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)-5,8,8a,9-tetrahydrofuro[3',4':6,7]naphtho[2,3-d][1,3]dioxol-6(5aH)-one
構造式
分子式
C29H32O13
分子量
588.56
性状
エトポシドは,白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールにやや溶けにくく,エタノール(99.5)に溶けにくく,水に極めて溶けにくい。
融点
約260℃(分解)
包装
ベプシドカプセル50mg:20 カプセル
ベプシドカプセル25mg:40 カプセル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
小川一誠ほか:癌と化学療法,10(11),2403(1983)
2)
野田起一郎ほか:癌と化学療法,21(10),1633(1994)
3)
Ratain,M.J.et al.:Blood,70(5),1412(1987)
4)
Pui,C.H.et al.:New Eng.J.Med.,325(24),1682(1991)
5)
Pedersen-Bjergaard,J.et al.:Lancet,338(10),359(1991)
6)
Sugita,K.et al.:Am.J.Ped.Hema.Oncol.,15(1),99(1993)
7)
黒田浩明ほか:小児外科,27(10),1246(1995)
8)
平林一美ほか:日小児血液会誌,9,223(1995)
9)
朴 勤植ほか:基礎と臨床,26(3),1136(1992)
10)
吉田 喬ほか:癌と化学療法,21(16),2793(1994)
11)
仁井谷久暢ほか:癌と化学療法,19(4),561(1992)
12)
木村禧代二ほか:癌と化学療法,12(10),2011(1985)
13)
古瀬清行ほか:癌と化学療法,12(12),2352(1985)
14)
松井祐佐公ほか:癌と化学療法,12(9),1801(1985)
15)
本間 威ほか:癌と化学療法,12(2),309(1985)
16)
木村禧代二ほか:癌と化学療法,13(3),496(1986)
17)
小西一郎ほか:癌と化学療法,12(7),1482(1985)
18)
三比和美ほか:癌と化学療法,12(2),314(1985)
19)
野田起一郎ほか:癌と化学療法,25(13),2061(1998)
20)
池田正典ほか:癌と化学療法,25(14),2249(1998)
21)
森田真寿行ほか:日薬理誌,87(1),53(1986)
22)
岡本一也ほか:薬理と臨床,5(12),2175(1995)
23)