により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
薬物動態
1. 血中濃度2, 3)
(1) 単回投与
健康成人男性にエドキサバン30mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。また、食後に投与したときCmaxは13%上昇したが、AUCに影響は認められなかった。
エドキサバン単回経口投与時の血漿中濃度推移(空腹時)
(表1 参照)
健康成人39例にエドキサバン30~150mgを単回経口投与したとき、Cmax及びAUCは概ね投与量に比例して上昇した。
(2) 反復投与
健康成人男性9例にエドキサバン120mgを8日間反復経口投与したとき、蓄積性は認められなかった。
2. 血漿蛋白結合率
健康成人男性18例にエドキサバン90mg及び120mgを単回経口投与したとき、投与2、6及び12時間後のex vivo 血漿蛋白結合率は40.0~58.9%であった。 (外国人データ)
3. 吸収
健康成人35例にエドキサバン60mgを経口投与した際の絶対的バイオアベイラビリティは61.8%であった。 (外国人データ)
4. 分布・代謝・排泄
健康成人男性35例にエドキサバン30mgを単回静脈内投与したとき、本剤の分布容積は107Lであった。全身クリアランスは21.8L/hであり、その約50%(10.7L/h)が腎クリアランスであった。健康成人男性6例にエドキサバン60mgを単回経口投与したマスバランス試験において、投与後168時間までに投与された放射能の35.4%及び62.2%が、それぞれ尿中及び糞中へ排泄され、その大部分(それぞれ23.8%、49.1%)はエドキサバンであった。血漿中にも主にエドキサバンとして存在した。
エドキサバンはカルボキシエステラーゼ1による加水分解、抱合及びCYP3A4による代謝を受け、CYP3A4による代謝は投与量の10%未満であった。
投与後72時間までの血漿中濃度データに基づくt1/2は10~14時間であった。 (外国人データ)
5. 腎機能障害患者における薬物動態
(1) 腎機能障害患者4)
腎機能障害患者24例にエドキサバン15mgを単回経口投与したとき、クレアチニンクリアランス(CLCR)の低下に伴いt1/2の遅延とAUC0-infの上昇が認められた。 (外国人データ)
(表2 参照)
(2) 高度腎機能障害患者5)
高度腎機能障害(15mL/min≦CLCR<30mL/min)を有する非弁膜症性心房細動患者での定常状態でのAUCとCmaxは、腎機能正常又は軽度腎機能障害(50mL/min≦CLCR)を有する非弁膜症性心房細動患者に同じ用量を投与したときと比べて、それぞれ2倍、1.6倍と推定された。
6. 肝機能障害患者における薬物動態6)
軽度及び中等度の肝機能障害患者16例にエドキサバン15mgを単回経口投与したとき、健康成人と比較し薬物動態に大きな差異は認められなかった。 (外国人データ)
7. 高齢者における薬物動態
健康高齢男性4例にエドキサバン90mgを1日1回8日間反復経口投与したとき、健康成人男性と比較しAUCtauは33%高値を示した。 (外国人データ)
8. 薬物相互作用
エドキサバンは臨床用量で想定される血漿中濃度で主要なヒトCYP分子種を阻害あるいは誘導しなかった。エドキサバンはP糖蛋白の基質であることが示唆された。(in vitro 試験データ)
(1)
ジゴキシン(0.25mg/日)とエドキサバン(60mg/日)を併用したとき、ジゴキシン及びエドキサバンの薬物動態への影響はわずかであった。
(2)
ケトコナゾール(400mg/日、経口剤:国内未承認)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、ともに1.9倍に上昇した。
(3)
キニジン(300mg×3/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、それぞれ1.9倍、1.8倍に上昇した。
(4)
ベラパミル(240mg/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、ともに1.5倍に上昇した。
(5)
エリスロマイシン(500mg×4/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、それぞれ1.7倍、1.9倍に上昇した。
(6)
シクロスポリン(500mg/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、ともに1.7倍に上昇した。
(7)
アミオダロン(400mg/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのCmax及びAUCは、それぞれ1.7倍、1.4倍に上昇した。
(8)
リファンピシン(600mg/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、エドキサバンのAUCは約34%低下したが、PT及びAPTTには影響が認められなかった。
(9)
アスピリン(100mg/日あるいは325mg/日)とエドキサバン60mgを併用したとき、単独投与時に比べて出血時間が1.3~1.6倍に延長した。
(10)
ワルファリンナトリウム(国内未承認)を反復経口投与しPT-INRが2.0~3.0となるように調整後、ワルファリン最終投与の24時間後にエドキサバン60mg 1日1回投与に切り替えたとき、エドキサバン投与1時間後にPT-INRは投与前の2.31(算術平均)から3.83まで上昇したが、24時間後にはプラセボ群と同程度(1.81)まで低下した。なお、薬物動態学的な相互作用は認められなかった。
(外国人データ)
注)本剤の承認用量は30mg及び60mgである。
表1 単回経口投与時のエドキサバンの薬物動態パラメータ(空腹時)
投与量 n Cmax
(ng/mL) Tmaxa)
(h) t1/2
(h) AUC0-24h
(ng・h/mL)
30mg 34 218.9
(34.1) 1.0
(0.5~3.0) 4.9
(19.2) 1,187.0
(21.7)
幾何平均値(幾何CV%)、a:中央値(最小値~最大値)、t1/2は投与後24時間までの血漿中濃度データに基づく
表2 腎機能障害患者に15mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
パラメータ 腎機能障害程度(CLCR:mL/min)