**肝臓
頻度不明AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、ALP上昇、LAP上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇、尿ウロビリノーゲン上昇、黄疸、コリンエステラーゼ低下
腎臓
頻度不明BUN上昇、クレアチニン上昇、尿中β2-マイクログロブリン上昇、尿蛋白陽性
消化器
頻度不明下痢、嘔気、嘔吐、腹痛、食欲不振
菌交代症
頻度不明口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
頻度不明ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
頻度不明血清カリウム上昇、頭痛、倦怠感、不穏、血清ナトリウム低下、血清カリウム低下、CK(CPK)上昇、トリグリセリド増加、胸部不快感、血中尿酸減少又は増加、注射部位反応(炎症、疼痛、硬結等)、ミオクローヌス、せん妄
注2)このような症状又は異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1) 高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2) 高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2. **投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。
国内のメロペネム水和物製剤の小児臨床試験では、軽度のAST(GOT)、ALT(GPT)上昇が多く報告されている。
臨床検査結果に及ぼす影響
1. **テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2. 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
3. ウロビリノーゲン検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
適用上の注意
1. 投与経路 本剤は点滴静脈内投与にのみ使用すること。
2. 調製時
(1) 溶解後は速やかに使用すること。なお、やむをえず保存を必要とする場合でも、日局生理食塩液に溶解した場合、室温保存では6時間以内に、5℃保存では24時間以内に使用すること。
0.5gバイアル製剤を、25±2℃で主な輸液に溶解したとき、本剤の残存力価が90%以上を示した時間については、「取扱い上の注意」の項参照。
(2) 本剤溶解時、溶液は無色から微黄色澄明を呈するが、色の濃淡は本剤の効力には影響しない。
その他の注意
1. 化膿性髄膜炎の患者では、疾患の自然経過によるもののほか、薬物が中枢に移行しやすくなることから、痙攣等の中枢神経症状が起きやすいことが知られている。
2. 動物の腎毒性試験において、ラットの14日間静脈内投与試験では、500mg/kg及び1000mg/kgともに腎毒性を示唆する所見は認められなかった。カニクイザルの7日間静脈内投与試験では、180mg/kg及び500mg/kgで投与初期に一過性の尿中酵素活性値(ALP、γ-GTP、NAG)の増加が認められ、また500mg/kgでは尿細管障害像が認められた。
3. ラットの3ヵ月静脈内亜急性毒性試験において、AST(GOT)活性の上昇が雌の120mg/kg以上の投与で認められた。また、6ヵ月慢性毒性試験ではAST(GOT)及びALT(GPT)上昇が雌の240mg/kg以上の投与で認められた。
薬効薬理
1. *抗菌作用1) メロペネムは、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌などのグラム陽性菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、緑膿菌などのグラム陰性菌、バクテロイデス属、プレボテラ属などの嫌気性菌に抗菌作用を示した。
2. *作用機序2) メロペネムは、ペニシリン結合たん白(PBPs)に高い親和性を有し、細菌の細胞壁合成(細菌壁ペプチドグリカンの架橋形成)を阻害することで抗菌作用を発揮し、その作用は殺菌的である。
有効成分に関する理化学的知見
性 状 メロペネム水和物は白色~淡黄色の結晶性の粉末である。
本品は水にやや溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品は炭酸水素ナトリウム試液に溶ける。
一般名 メロペネム水和物 Meropenem Hydrate
略 号 MEPM
化学名 (4R,5S,6S)-3-[(3S,5S)-5-(Dimethylcarbamoyl)pyrrolidin-3-ylsulfanyl]-6-[(1R)-1-hydroxyethyl]-4-methyl-7-oxo-1-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic acid trihydrate
分子式 C17H25N3O5S・3H2O
分子量 437.51
構造式
取扱い上の注意
1. 注射液の調製法
(1) バイアル通常0.25g~1.0g(力価)当たり100mL以上の日局生理食塩液等に溶解する。ただし、注射用水は等張にならないので使用しないこと。
(2) キット添付の生理食塩液100mLにて用時溶解する。
(溶解操作方法)
1. 使用直前に外袋を開封する。
2. 本品を展開する。抗生剤部分のカバーシートをはがす。
3. 溶解液部分を手のひらで押して隔壁を開通させ、さらに溶解液部分を繰り返し押して薬剤を完全に溶解する。
4. 溶解を確認する。
開通確認シールをはがす。
2. キットでは、下記の点に注意すること。
(1) 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
(2) 次の場合には使用しないこと。
1) 外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているとき。
2) 隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているとき。
3) 抗生物質が変色しているときや、薬剤溶解前に溶解液が着色しているとき。
(3) 容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
3. 主な輸液との配合変化 0.5gバイアル製剤を、25±2℃で主な輸液に溶解したとき、本剤の残存力価が90%以上を示した時間は下記の通りである。
輸液/名称容量(残存力価90%以上を示した時間)
生理食塩液10mL(6hr)
100mL(24hr)
5%ブドウ糖注射液10・100mL(3hr)
キリット注5%500mL(6hr)
果糖注射液5%