臨床成績
延べ172施設において行われた二重盲検を含む872例の臨床試験の概要は次のとおりである。4~19)
1.
一般臨床試験及び二重盲検比較試験成績
常用量を用いた臨床試験で,416/537例(77.5%)に高脂血症改善効果が認められている。血清脂質の変化率は,総コレステロールの低下が11~19%,LDL-コレステロールの低下が12~21%,トリグリセリドの低下が30~57%,HDL-コレステロールの上昇が32~48%であった。
WHO分類の型別改善率は下表のとおりであった。
また,二重盲検比較試験においてもベザトールSR錠100mg及び200mgの有用性が認められた。
2.
家族性高脂血症に対する成績
家族性高コレステロール血症に対して,ベザトールSR錠100mg及び200mgの有用性が認められている。
3.
長期投与成績
ベザトールSR錠200mg1年以上の長期投与例(99症例)では,投与1ヵ月後より有意な血清脂質の改善が得られ,以後安定した効果が認められた。
臨床成績の表
タイプ 中等度改善以上
IIa 135/181例(74.6%)
IIb 199/247例(80.6%)
III 4/5例(80.0%)
IV 63/86例(73.3%)
V 15/18例(83.3%)
薬効薬理
1. 血清脂質改善作用
(1)
高脂血症患者の血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを有意に低下させ,HDL-コレステロールを有意に上昇させた。4)
(2) 血清総コレステロール低下作用20)
高コレステロール食負荷誘発高コレステロール血症ラットに対する,ベザフィブラートの経口投与は,用量依存的に血清総コレステロール値の上昇を抑制した。
(3) 血清トリグリセリド低下作用20)
フルクトース誘発高トリグリセリド血症ラットに対する,ベザフィブラートの経口投与は,用量依存的に血清トリグリセリド値の上昇を抑制した。
2. 作用機序
(1) 脂質生合成に対する作用21,22)
1) コレステロール生合成抑制
アセチルCoAからメバロン酸に至るコレステロール生合成過程を抑制する(ラット,ヒト)。
2) トリグリセリド生合成抑制
アセチルCoAカルボキシラーゼ活性を抑制し,トリグリセリドの生合成を抑制する(ラット)。
(2) リポ蛋白代謝に対する作用5,23)
1)
LPL(リポ蛋白リパーゼ)活性及びHTGL(肝性トリグリセリドリパーゼ)活性を亢進し,リポ蛋白の代謝を促進する(ヒト)。
2)
LDLレセプターの活性を亢進し,LDLの代謝を促進する(ヒト)。
*有効成分に関する理化学的知見
一般名:ベザフィブラート(Bezafibrate)
化学名:2-(4-{2-[(4-Chlorobenzoyl)amino]ethyl}phenoxy)-2-methylpropanoic acid
構造式:
分子式:C19H20ClNO4
分子量:361.82
性状:本品は白色の結晶性の粉末である。本品はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく,メタノールにやや溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けにくく,水にほとんど溶けない。
融点:181~186℃
包装
ベザトールSR錠100mg:500錠,100錠[10×10], 500錠[10×50],1000錠[10×100]
ベザトールSR錠200mg:1000錠,100錠[10×10], 500錠[10×50],1000錠[10×100],1400錠[14×100]
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
健康成人を対象とした臨床薬理試験[単回投与](社内資料)
2)
健康成人を対象とした臨床薬理試験[連続投与](社内資料)
3)
健康成人を対象とした第I相臨床試験(社内資料)
4)
中谷矩章ほか:臨床医薬, 4(10), 1779, 1988.
5)
佐々木淳ほか:臨床医薬, 4(11), 2121, 1988.
6)
高脂血症患者を対象とした臨床試験(社内資料)
7)
梶山梧朗ほか:臨床医薬, 4(12), 2343, 1988.
8)
小沼富男ほか:薬理と治療, 16(12), 4947, 1988.
9)
松沢佑次ほか:臨床医薬, 4(11), 2137, 1988.
10)
山本 章ほか:臨床医薬, 4(10), 1811, 1988.
11)
末廣 正ほか:臨床と研究, 65(8), 2673, 1988.
12)
竹迫賢一ほか:臨床医薬, 5(2), 397, 1989.
13)
後藤由夫ほか:臨床と研究, 66(2), 571, 1989.
14)
高脂血症患者を対象とした長期投与試験(社内資料)
15)
斎藤 康ほか:臨床医薬, 5(1), 175, 1989.
16)
井出 肇ほか:臨床と研究, 65(12), 4010, 1988.
17)
甲斐元朗ほか:新薬と臨床, 37(12), 2229, 1988.
18)
鬼原 彰ほか:Prog. Med., 13(12), 2761, 1993.
19)
末廣 正ほか:基礎と臨床, 27(16), 6199, 1993.
20)
草間 寛ほか:日本薬理学雑誌, 92(3), 175, 1988.
21)
草間 寛ほか:日本薬理学雑誌, 92(3), 181, 1988.
22)
Blasi, F. et al.:Pharmacol. Res., 21(3), 247, 1989.
23)
Stewart, J. M. et al.:Atherosclerosis, 44(3), 355, 1982.
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