ン18) 30mg
(単回) 600mg
(BID、反復) 12/11 S(-)体
1.00
(0.97,1.04) S(-)体
0.88
(0.83,0.94)
BID:1日2回投与
a):日本人データ
臨床成績
日本人C型慢性肝炎患者を対象とした国内第III相試験成績概要は以下のとおりであった。
(1) 過去にインターフェロン等の治療を受けたことのない患者20)
ジェノタイプ1かつ高ウイルス量(コバスTaqMan HCV「オート」:5.0LogIU/mL以上)のC型慢性肝炎未治療患者を対象として、本剤a)の有効性及び安全性を検討することを目的としたプラセボb)対照無作為化並行群間比較試験を実施した。その結果、投与終了後24週目のHCV RNA陰性化率は、対照群で55.1%(54/98例)、本剤群で83.7%(82/98例)であり、本剤群と対照群との対比較において、統計学的に有意な差が認められた(p<0.001、IL28B遺伝子の一塩基多型及び年齢を層としCochran-Mantel-Haenszel法で調整した)。
(2) 過去のインターフェロン等の治療後に再燃した患者21)
ジェノタイプ1かつ高ウイルス量(コバスTaqMan HCV「オート」:5.0LogIU/mL以上)のC型慢性肝炎既治療再燃患者を対象として、本剤a)の有効性と安全性を検討することを目的とした非盲検試験を実施した。その結果、投与終了後24週目のHCV RNA陰性化率は、92.0%(23/25例)であった。
(3) 過去のインターフェロン等の治療が無効であった患者22)
ジェノタイプ1かつ高ウイルス量(コバスTaqMan HCV「オート」:5.0LogIU/mL以上)のC型慢性肝炎既治療無効患者を対象として、本剤c)の有効性と安全性を検討することを目的とした非盲検試験を実施した。その結果、投与終了後24週目のHCV RNA陰性化率は、61.9%(26/42例)であった。
表 国内第III相臨床試験成績
前治療 投与群 投与終了後24週目のHCV RNA陰性化率
初回 対照b)群 55.1%(54/98例)
初回 本剤a)群(12週投与群) 83.7%(82/98例)
再燃 本剤a)群(12週投与群) 92.0%(23/25例)
無効 本剤c)群(24週投与群) 61.9%(26/42例)
a)バニプレビル(12週間投与)とペグインターフェロンα-2b及びリバビリン(24週間投与)の3剤併用投与
b)ペグインターフェロンα-2b及びリバビリン(48週間投与)の2剤併用投与
c)バニプレビル、ペグインターフェロンα-2b及びリバビリン(24週間投与)の3剤併用投与
薬効薬理
1. 作用機序23)~25)
バニプレビルはHCV複製に必須であるHCV NS3/4Aセリンプロテアーゼに可逆的に結合する大環状ペプチド構造の阻害剤である。バニプレビルはヒトセリンプロテアーゼや他のプロテアーゼと比較してHCV NS3/4Aセリンプロテアーゼに高い選択性を持つ。
2. 抗ウイルス作用(in vitro)23)
バニプレビルの各酵素に対する阻害作用は、HCVジェノタイプ1a、1b、4a、5a及び6aでは強く(IC50<0.20nM)、ジェノタイプ2a及び2bではやや弱く、ジェノタイプ3aでは弱かった。バニプレビルはHCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞で顕著な阻害活性を示し、EC90値はそれぞれ4.0及び3.9nMであった。また、40%正常ヒト血清存在下での活性変化は、7倍未満であった。バニプレビルは細胞毒性を示さなかった(Hela細胞及びHuh-7細胞でのCC50値:それぞれ>25μM及び>50μM)。レプリコン細胞でのバニプレビルとインターフェロンα-2b又はリバビリンとの併用効果は概して相加的若しくは相加/相乗的であった。
3. 抗ウイルス作用(in vivo)26)
HCV感染チンパンジー(HCVジェノタイプ1a)にバニプレビルを7日間(5mg/kg、1日2回)経口投与したところ、投与第2~5日に血漿中HCV RNA量が速やかに1/105未満に減少し、この低下は投与期間中維持された。
4. 薬剤耐性20)~23)
HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞パネルを用いてバニプレビルの抗ウイルス活性の変化をみたところ、R155、A156及びD168のアミノ酸変異によりバニプレビルに対する感受性の変化がみられた。EC90値が100倍以上となったのは、HCVジェノタイプ1aではR155K/T及びD168A、また、HCVジェノタイプ1bではR155G/K/Q/W、A156T/V及びD168A/G/K/T/V/Yの各変異であった。他方、V36、T54、Y56及びQ80を含む他のアミノ酸配列における変異に対するバニプレビルのEC90値の変化は、HCVジェノタイプ1bのF43S(14.8倍)を除き概ね5倍未満であった。
国内第III相臨床試験でのバニプレビルによる治療非奏効にはD168の変異a)の関与が大きいことが示唆された。また、治療開始前に既に存在していた変異として多く見られたものはY56、Q80及びV170の変異a)であったが、これらはバニプレビルを含む3剤併用療法の成果に顕著な影響を及ぼさなかった。
a)ABI 3730XL DNA Analyzer(ダイレクトシークエンス法)を使用
有効成分に関する理化学的知見
一般名
バニプレビル(Vaniprevir)
化学名
(5R, 7S, 10S)-10-(1, 1-Dimethylethyl)-N-{(1R, 2R)-1-[N-(cyclopropanesulfonyl)carbamoyl]-2-ethylcyclopropyl}-15, 15-dimethyl-3, 9, 12-trioxo-2, 3, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 14, 15, 16, 17, 18, 19-hexadecahydro-2, 23:5, 8-dimethano-1H-benzo[n][1, 10, 3, 6, 12]dioxatriazacyclohenicosine-7-carboxamide
分子式
C38H55N5O9S
分子量
757.94
構造式
性状
白色の粉末。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
取扱い上の注意
冷蔵保存しないこと(カプセルが脆くなる可能性があるため)。
包装
バニヘップカプセル150mg:28カプセル