害に対して、メコバラミンとして1回500μg及び100μg(低用量群)を週3回4週間筋肉内投与し、二重盲検比較試験を行った。慢性期及び固定期の症例に対して、500μg投与群は症状の悪化を有意に抑制し、本剤の有用性が認められた。2)
末梢性神経障害に対して、プラセボを対照薬とした静脈内投与と筋肉内投与との二重盲検比較試験において、1回500μgを週3回4週間投与した後の改善率は、静脈内投与で改善以上38.7%(24/62)、やや改善以上74.2%(46/62)、筋肉内投与で改善以上46.3%(25/54)、やや改善以上81.5%(44/54)であり、同等の有効性が認められた。疾患の内訳は糖尿病性神経障害、多発性神経炎、頸部脊椎症、坐骨神経痛、アルコール性神経障害、顔面神経麻痺、単神経炎等であった。3)
ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血に対して、3週間から2カ月で貧血像や一般症状の回復が認められた。
薬効薬理
1. メコバラミンは、生体内補酵素型ビタミンB12の1種
メコバラミンは、ホモシステインからメチオニンを合成するメチオニン合成酵素の補酵素として働き、メチル基転位反応に重要な役割を果たす。
2. 神経細胞内小器官へよく移行し、核酸・蛋白合成を促進
シアノコバラミンに比し、神経細胞内小器官への移行がよい(ラット)。また、脳由来細胞・脊髄神経細胞の実験系で、デオキシウリジンからチミジンへの合成系に関与し、貯蔵型葉酸の利用促進とともに核酸代謝にも関与し、コバマミドに比して核酸・蛋白の合成を促進する(ラット)。4) 5) 6)
3. 軸索内輸送、軸索再生の促進
ストレプトゾトシン投与による実験的糖尿病ラットの坐骨神経細胞で、軸索の骨格蛋白の輸送を正常化し、アドリアマイシン、アクリルアミド、ビンクリスチンによる薬物性神経障害(ラット、ウサギ)及び軸索変性モデルマウス、自然発症糖尿病ラットの神経障害に対して、神経病理学的、電気生理学的に変性神経の出現を抑制する。7) 8) 9) 10) 11) 12)
4. 髄鞘形成(リン脂質合成)の促進
髄鞘の構成成分であるレシチンの合成を促進し、培養神経組織でコバマミドに比して神経線維の髄鞘形成率を高める(ラット)。13) 14)
5. シナプス伝達の遅延、神経伝達物質の減少を回復
挫滅した坐骨神経で、神経線維の興奮性を高めることにより、終板電位の誘発を早期に回復する(ラット)。また、コリン欠乏食ラットで低下した脳内アセチルコリン量を正常化する。15) 16)
6. 赤芽球の成熟・分裂を促進し、貧血の血液像を改善
ビタミンB12欠乏によって、特異な巨赤芽球性貧血が出現することはよく知られている。メコバラミンは骨髄中の核酸合成を促進し、赤芽球の成熟・分裂を促進し、赤芽球の産生を増加させる。
ビタミンB12欠乏ラットに対し本剤を投与することによって、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の低下を速やかに回復させる。
有効成分に関する理化学的知見
一 般 名
メコバラミン(Mecobalamin)
*化 学 名
Coα‐[α‐(5, 6‐Dimethyl‐1H‐benzoimidazol‐1‐yl)]‐Coβ‐methylcobamide
分 子 式
C63H91CoN13O14P
*分 子 量
1,344.38
*構 造 式
*物理化学的性状
メコバラミンは暗赤色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
本品は光によって変化する。
取扱い上の注意
本剤は、保管中の品質の安定性確保のためLPEパックを使用しているので、使用直前にLPEパックから取り出すこと。
包装
メチコバール注射液500μg(1mL):10管
メチコバール注射液500μg(1mL):50管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
小川 正ら:ビタミン, 63, 123 (1989) MBL‐0652
2)
亀山正邦ら:臨牀と研究, 49, 1967 (1972) MBL‐0142
3)
丸山勝一ら:臨牀と研究, 66, 995 (1989) MBL‐0651
4)
稲田雅美ら:神経系とメチルB12 (協和企画通信) , 23 (1981) MBL‐0680
5)
中澤恒幸ら:ビタミン, 42, 193 (1970) MBL‐0044
6)
中澤恒幸ら:ビタミン, 42, 275 (1970) MBL‐0045
7)
竹中敏文ら:Prog. Med., 2, 1759 (1982) MBL‐0313
8)
大西晃生ら:臨床薬理, 18, 387 (1987) MBL‐0571
9)
Watanabe, T. et al.:J. Neurol. Sci., 122, 140 (1994) MBL‐0774
10)
斉藤豊和ら:神経系とメチルB12 (協和企画通信) , 75 (1981) MBL‐0542
11)
Yamazaki, K. et al.:Neurosci. Lett., 170, 195 (1994) MBL‐0773
12)
八木橋操六:臨床薬理, 19, 437 (1988) MBL‐0624
13)
中澤恒幸ら:神経系とメチルB12 (協和企画通信) , 54 (1981) MBL‐0679
14)
米沢 猛ら:神経系とメチルB12 (協和企画通信) , 49 (1981) MBL‐0544
15)
渋谷統寿:神経系とメチルB12 (協和企画通信) , 134 (1981) MBL‐0540
16)
Sasaki, H. et al.:Pharmacol. Biochem. Behav., 43, 635 (1992) MBL‐0775
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
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