合以外は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分行ったうえで適用を考慮すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
糖質コルチコイド
ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン等
臨床症状・措置方法
本剤の成長促進作用が抑制されるおそれがある。ただし、本剤に関する症例報告はない。
機序・危険因子
機序はあきらかではないが、糖質コルチコイドの投与は小児の発育を抑制する。したがって、本剤の成長促進作用についても糖質コルチコイド投与により抑制される可能性が考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
インスリン受容体異常症
承認時までの臨床試験及び市販後調査において、副作用(臨床検査値異常を含む)は、単回投与時35例中8例(22.9%)に認められ、治療投与時34例中19例(55.9%)に認められた。(再審査結果通知:2009年3月)
成長ホルモン抵抗性小人症
承認時までの臨床試験及び市販後調査において、副作用(臨床検査値異常を含む)は、単回投与時23例中8例(34.8%)に認められ、治療投与時23例中16例(69.6%)に認められた。(再審査結果通知:2009年3月)
その他の副作用
低血糖注1)
頻度不明
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、発汗、心悸亢進、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、眠気、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)
過敏症
頻度不明
嘔気、蒼白、蕁麻疹
臓器腫大
頻度不明
下垂体腫大、扁桃腫大、顎下腺腫大、脾臓腫大、腎腫大、卵巣腫大等
循環器
頻度不明
肥大型心筋症の増悪
生殖器
頻度不明
多嚢胞性卵巣
適用部位障害
頻度不明
注射部位の発赤、腫脹、疼痛、硬結、 熱感
その他
頻度不明
糖尿病性網膜症の発症・悪化注2)、浮腫、めまい、気分不良、トリグリセリド上昇、リンパ球数減少
その他の副作用の注意
注1)徐々に進行する低血糖では精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること。
注2)定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、用量に留意し、定期的に検査を行うなど慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
適用上の注意
1. 投与経路:
本剤の適用は皮下注射に限る。
2. 調製方法:
用時、添付の日本薬局方生理食塩液1mLを加えた後、静かに円を描くように回して溶解すること(激しく振盪しないこと)。溶解後はできるだけ速やかに使用すること。
3. 投与部位:
皮下注射にあたっては、注射部位を上腕、大腿、腹部、臀部等広範に求め、順序よく移動し、同一部位に短期間内に繰返し注射しないこと。
4. アンプルカット時(添付の溶解液):
ガラス微小片の混入を避けるため、エタノール綿等で清拭することが望ましい。
薬物動態
1. 血中濃度
(1)
健康成人(5例)に対照として生理食塩液を皮下投与した場合の血漿中IGF-I濃度はほぼ一定で、173~197ng/mLの変動を示したが、本剤0.06及び0.12mg/kgを単回皮下投与した場合、投与後3~4時間目に最高血中濃度(それぞれ約400及び480ng/mL)に達した1)。また、0.1mg/kgを1日1回7日間反復皮下投与した場合、投与2日目に定常状態に達した2)。
(2)
インスリン受容体異常症患者(13例)に本剤0.1~0.4mg/kgを単回皮下投与した場合、投与3時間後に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、Cmaxは投与量の増加とともに上昇した。また、0.1~0.25mg/kgを1日2回反復皮下投与した場合、投与後7日目までに定常状態に達した3)。
(3)
成長ホルモン単独欠損症Type1A(2例)では投与前値が18ng/mLと極めて低かったが、本剤0.05~0.2mg/kgを単回皮下投与したとき、83~699ng/mLのピーク値を示した。その後血漿中濃度はゆるやかに減少し投与24時間後の濃度は前値と差がなかった。ラロン型小人症の1例も投与前値は≦4ng/mLと低く、0.05~0.15mg/kgの単回皮下投与に対し投与後3時間値は72~205ng/mLであった。成長ホルモン単独欠損症Type1A及びラロン型小人症各1例に反復皮下投与したときの血漿中濃度はそれぞれの患者でほぼ一定であり、速やかに定常状態に達していると考えられた4)。
2. 血漿中蛋白結合率
内因性ソマトメジンCは血漿中で分子量約150KD及び40KDの蛋白と結合しており、ソマゾン無添加時には遊離型は存在せず、蛋白結合率はほぼ100%であった。ソマゾンを添加すると、40KD分画の結合量はやや増加したが、150KD分画の結合量はほとんど変化せず、結合の飽和が示唆された。一方、遊離型ソマトメジンCの割合はソマゾンの添加量の増加とともに増加し、血漿蛋白結合率はソマゾン1,000及び2,500ng/mL添加時には、それぞれ13.3%、8.3%に低下した5)6)。
臨床成績
1. インスリン受容体異常症患者における成績
インスリン受容体異常症12例を対象にした国内臨床試験において、血糖値、糖化蛋白及び血中インスリン値等の改善がみられ、臨床的にも、黒色表皮腫、多毛及び皮膚弾性欠如等の他覚所見の改善が認められた7)~9)。また、イギリスにおけるラブソン・メンデンホール症候群1例に対するソマゾン投与においても、血糖値、血中インスリン値の低下及びケトン体産生の抑制が認められている10)11)。
2. 成長ホルモン抵抗性小人症における成績
成長ホルモン抵抗性小人症3例を対象にした国内臨床試験において、成長ホルモン単独欠損症Type1Aの1例では、成長ホルモンによる治療時の成長率が6.4cm/年であったのが、ソマゾン治療後8.2cm/年となり、ラロン型小人症の1例では治療前の成長率3.2cm/年が治療後5.4cm/年といずれも改善が認められた12)。また、イスラエルにおけるラロン型小人症5例に対するソマゾン投与においても、治療前2.8~5.8cm/年であった成長率が治療後8.8~13.6cm/年と