デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は-0.09%であった。空腹時血糖値(FPG)の低下量は本剤群で大きかった。
低血糖(血糖値が56mg/dL未満であった低血糖及び第三者による処置が必要な低血糖)の患者あたりの発現件数は、26週にわたって両群で同様であった。夜間低血糖(0:01から5:59に発現した低血糖)の患者あたりの発現件数は、最初の4週間は両群で同様であったが、それ以降の期間ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。夜間低血糖の患者あたりの年間発現件数はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。
有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
上記試験をさらに26週間延長して、長期安全性を検討した試験では、血糖コントロールが52週まで維持され、本剤投与後に予期しない安全性上の問題は認められなかった。
2. インスリン治療歴のない2型糖尿病患者における試験:本剤の1日1回投与と経口糖尿病薬との併用療法(アジア共同治験)12)
インスリン治療歴のない2型糖尿病患者435例[本剤群:289例(日本人:89例)、インスリン グラルギン群:146例(日本人:44例)]を対象とし、26週間投与試験を実施した。本剤又はインスリン グラルギンは、経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はα-グルコシダーゼ阻害薬)の併用下で1日1回投与した。試験実施中、本剤及びインスリン グラルギンの投与量は、平均朝食前血糖値(血糖自己測定)に基づいて継続的に調節した。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン グラルギンに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.11%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。維持期間(投与後16週以降と定義:インスリン投与量が安定し、安定した血糖コントロールが得られたと考えられる時点以降)における低血糖及び夜間低血糖(低血糖の定義は【臨床成績】の項1と同様)の患者あたりの年間発現件数は、インスリン グラルギン群と比較して本剤群で少なく、低血糖及び夜間低血糖の発現件数の比(本剤/インスリン グラルギン)の推定値[95%信頼区間]は、それぞれ0.63 [0.42;0.94]及び0.52 [0.27;1.00]であった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
3. 注射のタイミングの検討
(1) **インスリンによる治療を受けている日本人2型糖尿病患者における試験13)
経口血糖降下薬の併用又は非併用下で持効型インスリンによる治療を受けている2型糖尿病患者458例[本剤の注射時刻を変更可能な群(変更可能群):229例、本剤を固定時刻に注射する群(固定時刻群):229例]を対象とし、26週間投与試験を実施した。変更可能群では、毎日ほぼ同じ時刻に注射すべきであるが、必要な場合は、合意した注射時刻から±8時間の範囲で注射時刻を変更してもよいこととした。固定時刻群では、試験期間を通して本剤を毎日同じ時刻に注射することとした。
各投与群の全投与回数に対し、予定された注射時刻と実際の注射時刻の差が2時間以内であった割合は、変更可能群で87.3%、固定時刻群で97.0%、2~4時間以内の場合は、変更可能群で6.8%、固定時刻群で1.9%、4~8時間以内の場合は、変更可能群で5.4%、固定時刻群で1.0%であった。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤の注射時刻を変更可能とした投与の本剤の固定時刻での投与に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.08%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。確定低血糖及び確定夜間低血糖の単位時間あたりの発現件数並びにそれらの発現した被験者の割合に、変更可能群と固定時刻群との間に明らかな違いは認められなかった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
(2) **1型糖尿病及び2型糖尿病患者における試験(参考:海外臨床試験)14) 15)
1型糖尿病患者(Basal-Bolus療法)及び2型糖尿病患者[経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はピオグリタゾン)との併用療法]に本剤を1日1回夕食時に投与、又は注射時刻を曜日により変更して投与した(投与期間:26週間)。注射時刻を変更した場合では、月水金曜日には朝(前回投与から8~12時間後)、火木土曜日には夕方(前回投与から36~40時間後)、日曜日には夕方(前回投与から24時間後)に投与した。
両試験の結果、本剤の注射時刻を変更した場合においても、HbA1cを指標とした長期血糖コントロールは改善された(本剤を1日1回夕食時に投与した場合に対して非劣性)。また、注射時刻を変更した場合においても、夜間低血糖(低血糖の定義は【臨床成績】の項1と同様)の発現に明らかな違いは認められなかった。
4. *小児1型糖尿病患者における試験:Basal-Bolus療法(国際共同治験)16)
小児(1~18歳未満)1型糖尿病患者350例[本剤群:174例(日本人:23例)、インスリン デテミル群:176例(日本人:32例)]を対象とし、26週間投与試験を実施した。前治療のインスリン療法からインスリン アスパルト(Bolusインスリン)と本剤又はインスリン デテミルを用いたBasal-Bolus療法に、BasalインスリンとBolusインスリンの比が30:70から50:50の間になるように切り替えた。本剤は1日1回一定の時刻に、インスリン デテミルは承認されている用法・用量に従って1日1回又は2回投与した。インスリン デテミル群では1日1回投与から1日2回投与への変更を可とした。インスリン アスパルトは各食直前に投与した。試験実施中、本剤及びインスリン デテミルの投与量は、3日間の朝食前血糖値(血糖自己測定)の最低値に基づいて継続的に調節した。
投与後26週のHbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.15%であった。26週の投与期間中の空腹時血糖値(FPG)は、本剤群では低下し、インスリン デテミル群では上昇した。低血糖注1)及び夜間低血糖(23:00から7:00に発現した低血糖)の患者あたりの年間発現件数は両群で同様であった。重大な低血糖[国際小児・思春期糖尿病学会(ISPAD)2009の定義による]の患者あたりの発現件数は、最初の4週ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で多い傾向がみられた。ケトーシス(1.5mmol/L超)を伴う高血糖(250mg/dL超)はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なく、患者あたりの年間発現件数の比(本剤/インスリン デテミル)は0.36(95%信頼区間[0.17;0.76]